
小説でも音楽でも最初に読んだり聴いた作品の印象が強い。その作品がその作家やプレイヤーのベストとは限らず、その時代に流行っていた作品が自然と目や耳に入る。ことジャズの場合はジャズを聴きだす以前の40年代や50年代にほとんどのプレイヤーの傑作が並んでいるだけに、60年代から70年代にかけてリアルタイムで耳にした1枚のアルバムは往々にしてベスト作品には程遠いケースが多く、それが大きくプレイヤー観を左右する。
ルー・ドナルドソンを最初に聴いたのは、「アリゲイター・ブーガルー」だった。発売された67年当時、ビルボードのシングル・チャート・ベスト100にランクインされただけあり、ラテンとソウルが混ざったリズムは乗りがよくて分かりやすくヒット性に富んでいるが、ドナルドソンのアルトも単調で、とてもジャズとは程遠い音楽に聴こえる。少しばかりモダンジャズなるものを分かりだしたころだから、いくらブルーノートであっても商業主義的な作品など評価できない。寧ろ、批判することで自分のジャズ観が高まるような気がした。それは本格的ジャズ鑑賞店と呼ばれたジャズ喫茶ではこのレコードをかけることもなければ、置かないプライドに似ていたのかもしれない。
このアルバムをつい最近でCDで購入した。当時流行ったサイケデリックなジャケットに懐かしさを覚えたのも事実だが、ドナルドソンのほぼ全作品を聴いたうえで再聴し、路線を変更したこの時代を孵化、いや俯瞰してみようというわけだ。ブルーノート初期の艶やかで伸びのある音は消え、若き日のジョージ・ベンソンに一歩も二歩も譲る平坦なフレーズだが、河川へ遡上するドナルドソン鱒のように活き活きして楽しそうではないか。一度ブルーノートを離れ、アーゴで一連のソウル路線に変更し、また古巣のレーベルに戻ってきたデビュー時からの流れでみるとドナルドソンの張り切りようもわかる。
再聴したことで大きくドナルドソン観は変わらないが、「アリゲイター・ブーガルー」は商業主義と批判されようとも、たまたまヒットしただけであり、ドナルドソンは本来持っているソウルフルな音楽性を飾らずに前面に押し出したのだろう。ただ、そのソウルフルさが内にあるか外に出るかの違いで、それは聴くものとって閃きか泥臭いかの違いになる。いまだにブーガルーの「ルー・ドナルドソン」と、ブラウニーと肩を並べた「ルーダーナスン」とは違うプレイヤーのような気がしてならない。
ルー・ドナルドソンを最初に聴いたのは、「アリゲイター・ブーガルー」だった。発売された67年当時、ビルボードのシングル・チャート・ベスト100にランクインされただけあり、ラテンとソウルが混ざったリズムは乗りがよくて分かりやすくヒット性に富んでいるが、ドナルドソンのアルトも単調で、とてもジャズとは程遠い音楽に聴こえる。少しばかりモダンジャズなるものを分かりだしたころだから、いくらブルーノートであっても商業主義的な作品など評価できない。寧ろ、批判することで自分のジャズ観が高まるような気がした。それは本格的ジャズ鑑賞店と呼ばれたジャズ喫茶ではこのレコードをかけることもなければ、置かないプライドに似ていたのかもしれない。
このアルバムをつい最近でCDで購入した。当時流行ったサイケデリックなジャケットに懐かしさを覚えたのも事実だが、ドナルドソンのほぼ全作品を聴いたうえで再聴し、路線を変更したこの時代を孵化、いや俯瞰してみようというわけだ。ブルーノート初期の艶やかで伸びのある音は消え、若き日のジョージ・ベンソンに一歩も二歩も譲る平坦なフレーズだが、河川へ遡上するドナルドソン鱒のように活き活きして楽しそうではないか。一度ブルーノートを離れ、アーゴで一連のソウル路線に変更し、また古巣のレーベルに戻ってきたデビュー時からの流れでみるとドナルドソンの張り切りようもわかる。
再聴したことで大きくドナルドソン観は変わらないが、「アリゲイター・ブーガルー」は商業主義と批判されようとも、たまたまヒットしただけであり、ドナルドソンは本来持っているソウルフルな音楽性を飾らずに前面に押し出したのだろう。ただ、そのソウルフルさが内にあるか外に出るかの違いで、それは聴くものとって閃きか泥臭いかの違いになる。いまだにブーガルーの「ルー・ドナルドソン」と、ブラウニーと肩を並べた「ルーダーナスン」とは違うプレイヤーのような気がしてならない。
アリゲイター・ブーガルー以降、ポップ路線に変更したルー・ドナルドソンですが、ブルーノート初期には多くの傑作を残しております。今週はドナルドソンのお気に入りのアルバムをお寄せください。
管理人 Lou Donaldson Best 3
Wailing With Lou (Blue Note)
Quartet / Quintet / Sextet (Blue Note)
Lou Takes Off (Blue Note)
サイド参加作品にも素晴らしい演奏を残しておりますので、サイド作からでもかまいません。
ブーガルーで踊った方は当時を思い出されたでしょうか。
今週もたくさんのコメントをお待ちしております。
筆者注)ドナルドソン鱒とはワシントン大学名誉教授、ドナルドソン博士が品種改良したサーモントラウトの一種です。北海道興部村に養鱒場があります。
ルー・ドナルドソンを最初に聴いたのは、バードランドの夜でした。
イカシテルと言うのが第一印象でした。
お気に入りは、
「WAILINNG WITH LOU」
ルーはもちろん最高!キャラバンでのアート・テイラーは実力を示している!
「BLUES WALK」
ブルース・ウォークの出だしのルー・・・痺れます!
「SUNNY SIDE UP」
ザ・マン・アイ・ラヴが好きだ!
最初に聴いたのはバードランドの夜でしたか。これを最初に聴くのと、ブーガルーでは全く違いますね。私も最初にブラウニーとのバトルを聴いていたらブーガルーをもっと扱き下ろしていたかもしれません。(笑)
トップは同じでしたね。キャラバンのめくるめくソロは凄いの一言です。アート・テイラーも素晴らしく、おそらくヴェンチャーズのメル・テイラーはこれを手本にしたと思います。
ブルース・ウォークはソウル・ジャズ路線を思わせる作品ですね。このリズムで歩くと、何故か腰を捻りたくなります。
「SUNNY SIDE UP」が挙げられましたが、一瞬ジャケが思い出せませんでした。マン・アイ・ラヴと朝日ですね。タイトルは「UP」だと勘違いしておりました。(笑)
dukeさんが挙げられた『WAILING~』『TAKES OFF』は以前CDでよく聴いたものですが、処分後まだ買い戻しておらず、登場願うのは控えさせていただきました。
NEW FACES-NEW SOUNDS(BN)
ブラウニーの『MEMORIAL ALBUM』のB面ですが、10インチ盤のアルバムタイトルがいいですね。ドナルドソンの鳴りのいいアルトは「YOU GO TO MY HEAD」で堪能できます。
SWING AND SOUL(BN)
冒頭2作品の替わりというわけではありませんが、コンガ色もまだあまり強くなく正統4ビートが楽しめる佳作かな、という印象です。ゆったりしたミディアムテンポにのったドナルドソンは気持ちよくスイングします。
番外としては私も『バードランドの夜』ですね。
これを抜きにルー・ドナは語れません、私の場合。
キャラバンのテイラーのドラミングはテイラーに引き継がれましたか。
早々に買い戻したくなりました(笑)。
ブラウニーとのセッションは素晴らしいものばかりですね。天才に引けを取らないパーカーを彷彿させるソロが輝きます。
「YOU GO TO MY HEAD」といえばペッパーの名演を思い出しますが、ルーもなかなかのものです。
「SWING AND SOUL」あたりからソウルジャズっぽくなりますが、おっしゃるようにコンガが控え目で正統派のルーを楽しめますね。酔っぱらって何とかマンボ(タイトル失念)を聴いて踊ったことがあります。
バードランドの夜を初めて聴いたときは、マーケットのMCでぶっ飛びました。しばらくの間「ルーダーナスン」とブーガルーは別人だと思っておりました。(笑)
早々に買い戻したくなったのはヴェンチャーズですか。キャラバンのベストはと聞かれると迷わずトップにヴェンチャーズを挙げます。(笑)
最近たくさんのアルバムを聴き返したので、3つ挙げることはできるのですが、dukeさんと似た結果になりました。
①Wailing With Lou (Blue Note)
②Quartet / Quintet / Sextet (Blue Note)
③Blues Walk (Blue Note)
なんだかんだいっても、やはりブルーノート初期ですね。③は、コンガが入っていますが、ワンホーンで、ルー自体は快調だと思います。トランペット入りでは、やはりLou Takes Offですが、ブルー・ミッチェル入りのThe Time is Rightも忘れ難い。収録曲中「Mack The Knife」のコンガ入りお気楽テーマは好みです。ジャケットの一番は、ユーモラスなGood Graciousでしょうか(笑)。
BNの初期もすき、近年のも好き、サイドではJMのNight at Birdlandは最高!
アリゲーター・ブーガルーだって当時はなんだと思いきや、今、聞き直せば懐かしのメロディーで悪くはない・・・。
でもやはり、ベスト盤を挙げろと言うなら、できるだけワン・ホーンものかと・・・。
1、Blues Walk(BN)
2、LD+3(BN)
3、Wailing with LOU
(BN)
次点:Light foot(BN)
なるべくワン・ホーンと思ったが、3番は相性のいい音色のドナルド・バードにアート・テイラーということで。
2番は外せない・・・スリーサウンズにルーというBNのお得意の組合せシリーズでスタンダードを快適にグルーヴさせる4人・・・ベストにしても良いくらいです。
しかし、どうしてもコンガとかオルガンとかギターが入ってしまう、これは天性の明るさなのか・・・。
最後に私的には・・・Sweet Slumberを挙げたいのであります。
ハバートやウエイン・ショータまで登場して、大所帯ですが、「Good life」が思い白い出来栄えなもんで・・。
因みにライブ盤では、ボローニャのジャズフェスのライブ盤があります。
昔のメンバーで1984年のもので、内容も良いので、推薦しておきます。Timeless盤です。
そうだ、ワン・ホーンでは本人名義では無いのですが・・・最高なモノがあります。
「Wee Small Hours」ガーランド+ナッサー+コブというトリオとルーです。
これがなんとTrio盤であるのです。
日本で録音した不思議な、でも良い盤が当時は結構ありましたね。
おっと、Best3より話がそれました、失礼!
今週のルーは azumino さんの記事からネタを拝借しました。ありがとうございました。
やはりブルーノート初期に集中しましたね。編成の違いはありますが、この時期の作品はストレート・アヘッドなルーを聴けます。
Lou Takes Off のジャケを見たときは、エレキグループのスプートニクスのアルバムかと思いました。(笑)メンバーだけで三管ハードバップの熱い音が聴こえてきますね。
笑っているのか居眠りしているのかよくわからないジャケの The Time is Right は、ホレス・パーランの活気あるソロが好きです。
Good Gracious は訳すと、見る欲望、見られる快感です。(笑)
皆さん、azumino さんのサイトでルーのアルバムが紹介されております。是非ご覧ください。
Blues Walk に次いで LD+3 がきましたね。ジーン・ハリス・ファンは外せない1枚です。ブルー・ムーンの歌いは見事ですし、スリーサウンズとの相性の良さはレギュラーコンボ並みです。
Sweet Slumber は、その後「Lush Life」で発売されたアルバムですね。 お蔵入りになっていたのが不思議なくらいの快演です。「Lush Life」を蔵から出したのは SHIN さんですか。(笑)
ボローニャはライブならではの面白さがありますね。スター・アイズはいい内容です。この時期、タイムレスやコテリオン、ミューズ等に録音しておりますが、ブルーノート初期を思わせるフレーズもみられますので聴きのがせません。
Wee Small Hours はガーランド名義でしたね。ガーランドと共演は、「Fine And Dandy」もありますが、「Fine And Funky」のふたりですので相性がいいとはいえません。
日本録音盤は日本人好みの選曲で馴染みやすいアルバムが多いのですが、ジャケがいまひとつでした。Light Foot のようなユーモアのセンスがほしいですね。
Lou のリーダー作の手持ちをチェックしてみると、
LPで3枚、CDで5枚ありました。
が、全く聴き込んでおりません。
正直、昔も今も、彼が自分の中で興味の
主たる対象になったことは一度もないです。
なので、敢えてベスト3は挙げませんが、誰も
挙げていない「A Man With A Horn」は意外と
好きなんですけど、ダメっすか?
冒頭のミスティのテーマの高音部分で半音外したような
音を出してしるのが、妙にガッツリ印象に残って、
「これ、わざとやってるのか?たまたまこうなったのか?」
と訝っていたんですけど、最後の方でも
同じような吹き方だったので、意図的だったと
判明した次第。
しかし、あれを仕組んでやるとは、憎いですね。
グラント・グリーンのギターも、アーシーでいい。
ラッパはいらんやろ?という気がしますけどね・・・。