
ジャズの支援者として知られるニカ男爵夫人が、1960年代に300人のジャズ・ミュージシャンに、「もし3つの願いが叶うなら、なにを望む?」と訊ねている。その回答をまとめたのが、「Three Wishes」という本だ。一癖も二癖もあるミュージシャンたちもパノニカの前では素直になるとみえて、なかには冗談めいたものもあるが、真面目に切実な願いを答えていた。血気盛んな若者は「Sex」、落ち着いてくると「Health」という単語が出てくる。
そして一番多いのは「Money」で、なかでもフィリー・ジョー・ジョーンズは「Money,money,money!」の3つを挙げていたが、示し合わせたように全く同じ回答を寄せているのはチャーリー・パーシップだ。ガレスピーのバンドを皮切りに多くの仕事をこなしているドラマーなので、金に不自由していないように思えるが、1960年代という時代に重ねるとパーシップの願いもわかる。それは1960年にザ・ジャズ・ステイツメンというコンボを率いていたからだ。ブレイキーに対抗したような形で、このリーダー作にはフレディ・ハバードやロニー・マシューズ、ロン・カーターという将来のジャズ界を担う若手を起用しているが、メッセンジャーズほどの知名度もないためグループ維持に金も必要だったのだろう。
ドラマーとしては中堅どこで、派手さがないこともあり多くのレコードで耳にしているにもかかわらず目立たないが、パーシップってすげえなぁと感心したのはレッド・ガーランドのセント・ジェームス病院だった。「When There Are Grey Skies」をお持ちの方は早速聴いてみよう。ガーランドのシングルトーンから演奏が始まり、数小節弾いた一瞬に入るブラッシュである。いや、一瞬というより時間の最小単位の刹那と言ったほうが正しいか。歌い、泣く表現力に優れた名手や、機械のように正確なテクニシャン、どんなに広い会場でもマイクを必要としない大きな音を出せる怪物は数いても、絶妙なタイミングを計れるドラマーは少ない。
さて、貴方なら3つの願いに何を挙げるだろう。健康、成功、名声、平和、幸福、愛・・・そして、ジャズ・ミュージシャンでなくとも金をその一つに入れるかもしれないし、欲張りな小生のように3つでは足りないかもしれない。天明期を代表する狂歌師の太田南畝は、「世の中は いつも月夜と米の飯 それにつけても金の欲しさよ」と詠んでいる。古今東西、願いは同じなようで、簡単に叶わないのも同じである。
そして一番多いのは「Money」で、なかでもフィリー・ジョー・ジョーンズは「Money,money,money!」の3つを挙げていたが、示し合わせたように全く同じ回答を寄せているのはチャーリー・パーシップだ。ガレスピーのバンドを皮切りに多くの仕事をこなしているドラマーなので、金に不自由していないように思えるが、1960年代という時代に重ねるとパーシップの願いもわかる。それは1960年にザ・ジャズ・ステイツメンというコンボを率いていたからだ。ブレイキーに対抗したような形で、このリーダー作にはフレディ・ハバードやロニー・マシューズ、ロン・カーターという将来のジャズ界を担う若手を起用しているが、メッセンジャーズほどの知名度もないためグループ維持に金も必要だったのだろう。
ドラマーとしては中堅どこで、派手さがないこともあり多くのレコードで耳にしているにもかかわらず目立たないが、パーシップってすげえなぁと感心したのはレッド・ガーランドのセント・ジェームス病院だった。「When There Are Grey Skies」をお持ちの方は早速聴いてみよう。ガーランドのシングルトーンから演奏が始まり、数小節弾いた一瞬に入るブラッシュである。いや、一瞬というより時間の最小単位の刹那と言ったほうが正しいか。歌い、泣く表現力に優れた名手や、機械のように正確なテクニシャン、どんなに広い会場でもマイクを必要としない大きな音を出せる怪物は数いても、絶妙なタイミングを計れるドラマーは少ない。
さて、貴方なら3つの願いに何を挙げるだろう。健康、成功、名声、平和、幸福、愛・・・そして、ジャズ・ミュージシャンでなくとも金をその一つに入れるかもしれないし、欲張りな小生のように3つでは足りないかもしれない。天明期を代表する狂歌師の太田南畝は、「世の中は いつも月夜と米の飯 それにつけても金の欲しさよ」と詠んでいる。古今東西、願いは同じなようで、簡単に叶わないのも同じである。
多くのセッションに参加しているチャーリー・パーシップですが、人気もなく評価も低いのが残念です。今週はパーシップのお好みのアルバムをお寄せください。リーダー作はあまりありませんのでサイド作を含めて、これぞパーシップのドラミングを挙げていただければ幸いです。
管理人 Charlie Persip Best 3
Red Garland / When There Are Grey Skies (Prestige)
Charles Persip & The Jazz Statesmen (Bethlehem)
Lee Morgan Vol.3 (Blue Note)
多種多様な作品に名を連ねておりますので、どのアルバムが挙がるのか楽しみです。
「Three Wishes」は昨年、埼玉の珈琲パウエルを訪れたとき、店主の KAMI さんからいただいたものです。その節はありがとうございました。ネタが切れてきましたので(笑)ネタ帖に活用させていただきます。
今週も皆様のコメントをお待ちしております。
チャーリー・パーシップは、意識して聴いたことが少ないのです。まだまだ勉強不足ですね。(汗)
お気に入りは、
When There Are Grey Skies /Red Garland
Lee Morgan Vol.3
手抜きのお気に入りです。(笑)
The Saxophones Of Sonny Stitt (Roost)
を挙げたいです。
ところで、このアルバムのベースは誰か
わかりますか?
今日は、夜まで真面目に働く?ので、
早めの投稿です(笑)
派手さのないパーシップですので、ドラム、特にスネアの叩き方を研究される人以外は意識して聴かないようです。
ガーランドとモーガンのパーシップは外せないですね。
そして、スティットとも共演しておりましたか。忘れておりました。ベースのクレジットはないようですが、58年という年代とルースト盤から推測するとウェンデル・マーシャルかアーロン・ベルと思われます。おそらくベルでしょう。ときどきベルが鳴るような音が聞こえませんか。(笑)
ベスト3がお題とは、いやはや!
流石のデューク・アドリブ帖のネタ帳も、
種が尽きてきましたかな?
それはともかく、目立たないけど
いいドラマーですよね。
ピート・ラロカを「小エルヴィン」と例える人もいますが、
パーシップは、差し詰め「小マックス」というところか?
正統派バップ・ドラマーというイメージです。
一番に、ベツレヘムのリーダー。
二番は、私は「Bright & Breezy / Red Garland」を。
緑イルカでのシンバル・ワークの小気味よさは絶品。
三番は、「Curtis Fuller Jazztet」(Savoy)。
It's Allright With Me のイントロの、
怒涛のドラミングは印象的ですね。
パーシップはガレスピーのビッグバンドにいた割におとなしい人ですね。ビッグバンドのドラマーは通常派手さが売り物ですが、親分があれだけ賑やかだと控え目になるのでしょうか。良いバップ・ドラマーです。
トップにベツレヘムのリーダー作、そしてガーランドの「Bright & Breezy」がきましたか。確かにシンバル・ワークは気持ちがいいですね。
フラーの It's Allright With Me は、25-25 さんのお気に入りでしたね。展開が期待できるイントロです。
ガーランドもフラーもウィズ・ミーも話題にしましたので、さぁ来週どうしよう。(笑)
dukeさん、みなさんこんばんは
素晴らしいドラマーですね!ダメロン・スクールとディジー・スクール出身なエリート
名前がマイナーチェンジしていますよね(ハービー・Sみたく(笑))
最前線で彼と同期といえばジミー・コブとローレンス・マラブル(少し心配ですが)、故人にA.Tとアラン・ドーソン…素晴らしい29年組(笑)
At Newport/Dizzy Gillspie(Verve)
リーのドミンゴや初演ウィスパー・ノットへの思い入れは過大にありますが、この一枚によって全てが集約されます!この興奮の一枚に参加しているだけで彼の名前は忘れてはいけない名前になります
彼はベニー(ダメロン・スクール)本人の初演やエディ・シャンブリー(ダイナ・メイツ)、彼自身のビッグバンド等ウィスパー・ノットの録音回数が多いあたりが個人的に贔屓にしたくなります(笑)ゴルソニア(個人的妄想)でも演らないかなぁ
Charles Persip and the Jazz Statesmen(Bethlehem)やはり処女作というのは絶対的に永遠であります…フレディの素晴らしさ!ロニーのモンキッシュなダークな魅力!
Intrinsic Evolution/Charli Persip and Supersound(C.persip&Supersound)
1940年生まれあたりを境にドラマーのノリというものの違いを痛感します、現在の録音を聞けばルイス・ヘイズにしろ、ジミー・コブにしろ、チャールス本人然りやはり、こんなのケニー・ワシントンやルイス・ナッシュがズルイよと言うしかないわけです(笑)レガートの大きな波の魅力!
80歳のお祝いのジョー・チェンバースアレンジのパンジャブが美しいです
愛聞盤として
ガーランドなら断然に
Bright and Breezy(Jazzland)
ジャケも選曲もサムも!
The Warmsound/Johnny Coles(epic)
選曲もメンツも!
Roberta/Morris Nanton(Warner.Bros.)
ジャケは最悪ですが…基本ビッグバンドドラマーな彼のあまりないピアノトリオでの小品
次点に
Gretsch Drum Night at Birdland(Roulette)
(消去法でチャールスを当てるという(笑))エルヴィンとはルームメイトだった彼はギルのアウト・オブ・ザ・クールでも一緒ですね
コンボ物ではティナの兄貴ブッバの
Polka Dots and Moonbeams/David“Bubba”Brooks(Tcb)
がロニーのクレイジーなB3のバックで渋いリズムを刻んでいてやはりスジモンだと唸りました
ところでパーシップですか、スネアのチューニングが低めで重さを感じさせますが、そのオカズがいいですね。ダニー・リッチモンドとスネアの音が似ている気がします。
レガートも重そうで実は繊細で。
パーシップの三枚となるとそうですね、以下の様になりますか。
1、Red Garland / When There Are Grey Skies (Prestige)
2、Charles Persip & The Jazz Statesmen (Bethlehem)
3、Lee Morgan Vol.3 (Blue Note)
次点:At Newport/Dizzy Gillspie(Verve)
オマケ:The Saxophones Of Sonny Stitt (Roost)
1番はパーシップのみならずガーランドも最高でして、このガーランドのセント・ジェームス病院が何とも好きです。
ところで皆さん、三つのお願いと言いますが・・・実は人間手が二本しかないので二つしか持てないそうです。
健康・財産・名誉・・この内、二つが選べるそうです、皆さんは何を諦めますか?
それから、私がニカ夫人に三つのお願いを書けといわれたら、1、健康、2、お金、3、三つの願いを10個に増加して欲しい。
この三つにします。謙虚なもんです。
ところでDukeさん、遂にネタの引き出しが空になったとか・・引き出しではなく、オツムが空になった・・・のでは・・心配しております。お大事に!
29年組が活躍した50年代は最もジャズが輝いていた時代ですね。いつ産まれようと、その人にとっては生きた時代が一番良い時代なのですが、ことジャズに限って言うと30年前後に生を享けたジャズメンはジャズがピークを迎えたときに現役なのですからこれは素晴らしいことです。挙げられたドラマーは同世代ということもあり切磋琢磨したことでしょう。ライバルがいてこそ面白い。
トップにウィスパー・ノット初演のガレスピーがきましたか。この曲は私も大好きでして以前話題にしましたが、何度聴いてもくすぐるメロディです。当時のガレスピー・バンドは勢いがありました。
そしてリーダー作、やはり外せないですね。若い頃赤いシャツを真似ましたが、お前は坊ちゃんか、と言われました。(笑)
Supersound を聴くと、やっぱビッグバンドがサイコーというパーシップの声が聞こえてきそうです。ドラマーなら一度は持ちたいビッグバンドですが、コンボで失敗したパーシップにとっては夢の夢でしたので、嬉しそうです。
Charlie Persip soloing with his band "Supersound"
http://www.youtube.com/watch?v=6zM2pA3N2YE
愛聴盤にジョン・コールとは嬉しいですね。レイ・チャールズのバックバンドに参加したコールを北見で聴きましたが、実にウォームでした。
ニカ夫人に訊かれるとさすがにふざけて答えられないようでして、真面目に答えているのが逆に笑えます。
スネアは独特ですね。なるほどダニー・リッチモンドに似ております。
ベストは私と並びましたが、トップのセント・ジェームス病院は堪りませんね。ひょっとしたらパーシップは適当なところでブラッシュを入れたのかもしれませんが、あの絶妙なタイミングは殺気さえ覚えます。
私は欲張りですので願いを三つに絞るのは難しいですね。一つなら簡単です。全ジャズレコードです。ジョー・ファレルは金と答えて、もしそれが手に入ったら2番目と3番目の願いは満たされる、と言っておりましたが、金で買えないジャズレコードの何と多いこと。
引き出しは空になりましたが、オツムはジャズを聴いて充電しておりますのでご安心ください。まぁ、最近は放電が早いようでして、昨夜聴いたレコードを忘れたりします。ところで、SHIN さん、朝食のメニュー覚えますかぁ。(笑)