う~ん!なるほどクライマックスはこうきたか。チラシに「ラスト9分19秒の衝撃は圧巻にしてもはや痛快」とあったが、誇張ではない。エンドロールが終わって劇場が明るくなっても、しばし動けなかった。いい映画だった、というざわめきも聞える。ジャズ映画は演奏同様、スピードが不可欠だが、若干28歳のデイミアン・チャゼル監督もアカデミー賞助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズの演技もスピードがある。「セッション」だ。
まだご覧になっていない方もいるだろうからネタバレしない範囲で紹介しよう。バディ・リッチに憧れるジャズ・ドラマーと名門音楽学校の鬼教師の壮絶なレッスンを描いた作品で、この練習風景が凄い。音を外すとパイプ椅子が飛んできたり、テンポがずれると平手で打たれ、罵声を浴びせられるのだ。そして「ジョー・ジョーンズがチャーリー・パーカーにシンバルを投げた」とか、「ドナ・リーを5小節吹け」、「オカズを入れろ」、「マリサリスのバンドにいた」等々、ジャズ・ミュージシャンの実名や、難曲、フィルインの俗称が出てくる。ならばジャズを普段聴かない方は興味がわかないのではないかと思われそうだが、これが面白い。
「セッション」という邦題はジャズを強調したタイトルで、原題は「Whiplash」という。むちで打つという意味で、しなやかなドラマーのスティックさばきをイメージさせるし、劇中で使用される練習曲がこのタイトルである。作曲者はプレイヤーが名前を聞くだけで震え上がるハンク・レヴィだ。古くはスタン・ケントン楽団に楽曲を提供しているし、有名なところではドン・エリスの変拍子ジャズの曲も書いている。この曲のオリジナルが収められているのがエリスの「Soaring」だ。1973年の録音で、当時流行っていたクロスオーバーだが、リズムは変幻自在で知的なスウィングを味わえる。
自身のジャズ観と映画観に照らし合わせると面白い作品だったが、一部で酷評されているという。確かに今時スパルタ教育をする音楽学校などあり得ないし、実名で出てくるジャズ・ミュージシャンの位置付けやエピソードの解釈が事実と異なる部分もあるが、それをいちいち指摘していたらエンターテイメントとしての映画は成立しない。仮に事実との齟齬が気になってもクライマックスでそれが消えるのがいい作品だ。
まだご覧になっていない方もいるだろうからネタバレしない範囲で紹介しよう。バディ・リッチに憧れるジャズ・ドラマーと名門音楽学校の鬼教師の壮絶なレッスンを描いた作品で、この練習風景が凄い。音を外すとパイプ椅子が飛んできたり、テンポがずれると平手で打たれ、罵声を浴びせられるのだ。そして「ジョー・ジョーンズがチャーリー・パーカーにシンバルを投げた」とか、「ドナ・リーを5小節吹け」、「オカズを入れろ」、「マリサリスのバンドにいた」等々、ジャズ・ミュージシャンの実名や、難曲、フィルインの俗称が出てくる。ならばジャズを普段聴かない方は興味がわかないのではないかと思われそうだが、これが面白い。
「セッション」という邦題はジャズを強調したタイトルで、原題は「Whiplash」という。むちで打つという意味で、しなやかなドラマーのスティックさばきをイメージさせるし、劇中で使用される練習曲がこのタイトルである。作曲者はプレイヤーが名前を聞くだけで震え上がるハンク・レヴィだ。古くはスタン・ケントン楽団に楽曲を提供しているし、有名なところではドン・エリスの変拍子ジャズの曲も書いている。この曲のオリジナルが収められているのがエリスの「Soaring」だ。1973年の録音で、当時流行っていたクロスオーバーだが、リズムは変幻自在で知的なスウィングを味わえる。
自身のジャズ観と映画観に照らし合わせると面白い作品だったが、一部で酷評されているという。確かに今時スパルタ教育をする音楽学校などあり得ないし、実名で出てくるジャズ・ミュージシャンの位置付けやエピソードの解釈が事実と異なる部分もあるが、それをいちいち指摘していたらエンターテイメントとしての映画は成立しない。仮に事実との齟齬が気になってもクライマックスでそれが消えるのがいい作品だ。