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デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

Opus de Funk の再演を聴く

2014-10-19 09:37:49 | Weblog
 マル・ウォルドロンの「Left Alone」、デューク・ジョーダンの「No Problem」、レイ・ブライアントの「Golden Earrings」、ドン・フリードマンの「Circle Waltz」、ヘレン・メリルの「You'd Be So Nice To Come Home To」・・・この決定的名演に共通するのは何か?来日した折に再録音されたものを並べてみた。初演、それも決定的といわれる名演を超えるわけがないと思いつつ、興味本位から聴かずにいられないのがこの再演だ。

 「Opus de Funk」もそのひとつで、名義はジュニア・マンスだが、あのミルト・ジャクソンの名盤「Opus de Jazz」で、ヴァイヴと見事なユニゾンを決めたフルートのフランク・ウエスが参加している。「Opus de Jazz」ではミルトとハンク・ジョーンズ、ウエスと共にベイシー楽団を支えたベーシストのエディ・ジョーンズ、そしてケニー・クラークという編成だったが、ここではマーティン・リヴェラとアルヴィン・クイーンのマンス・トリオをバックにしている。ヴァイヴが抜けているので物足りなさはあるものの、ウエスの透き通るようなフルートは健在だ。1955年の名盤から36年の歳月が流れた1991年に六本木グッドデイ・クラブで開かれたライブを収録している。

 「Opus de Funk」は、作者のホレス・シルバーが1953年にトリオでブルーノートに吹き込んだものが初演だが、この曲を有名にしたのは「Opus de Jazz」で、ヴァイブとフルートという趣向の異なる楽器の組み合わせながら最高のグルーヴ感を生み出した。モダンジャズの世界でフルートが積極的に使われるようになったのはこの名演があったからである。ウィントン・ケリーの「ケリー・ブルー」もフルートのボビー・ジャスパーの参加があってこその名盤であるし、エリック・ドルフィーがフルートを吹かなければ、1960年のブッカー・リトルとの邂逅を記録した「ファー・クライ」も名作として語られることがなかったろう。

 往年のミュージシャンに全盛期の名演を再び演奏してもらう、という企画には反対論もあるが、歓迎する声も大きい。先に挙げたプレイヤーのなかでドン・フリードマン以外は生で聴いているが、若いころの輝きはないものの、いぶし銀に光るコンサートばかりだった。どのライブでも一番拍手が多いのはお馴染みの曲であり、これを聴かなければコンサートに行ったことさえ忘れるかもしれない。
コメント (10)
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