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デューク・アドリブ帖

超絶変態ジャズマニア『デューク・M』の独断と偏見と毒舌のアドリブ帖です。縦横無尽、天衣無縫、支離滅裂な展開です。

コートにすみれを

2006-09-10 06:51:35 | Weblog
 テニスの全米オープンが開催されていて、マリア・シャラポワが、決勝に勝ち進んだ。益々、強さを増したが、美しい顔に似合わない野獣のような雄叫を上げてコートを走り回る妖精は、恐ろしい迫力すらある。コートに咲くロシアの華もまた、女帝エカテリーナや、エリザヴェータのように、強く、恐ろしく、美しい。

 弾き語りの名手マット・デニスは、曲作りにも長けていて、1000曲以上の曲を書いている。「ウイル・ユー・スティル・ビ・マイン」、「エンジェル・アイズ」、「エブリシング・ハプン・トゥー・ミー」等、長く歌い継がれる美しい代表曲が並ぶ。個性的なフレージングと、スキャットを交えた当意即妙な歌いかたは、ユニークな味があり、「プレイズ・アンド・シングス」で、これらの自作曲を取り上げ、名人芸ともいえる軽妙洒脱な弾き語りを披露している。

 ジョン・コルトレーンの名演もある「コートにすみれを」もデニスの曲で、デニスが美しい女性とテニスを楽しむコートの傍らに、美しく咲くすみれをイメージしたものだ。と、思っていたら大変な間違いで、原題は「Violets For Your Furs」という。テニスコートではなく、毛皮のコートだと知ったのは随分後の事で、大恥を掻くところだった。アメリカのように女性に花を贈る習慣もなく、毛皮のコートにすみれを挿している女性も見かけたことがないだけに、哀しいかな日本的発想をしてしまう。

 濃い紫色のすみれは、この曲とイメージが繋がると花の観賞も、曲の鑑賞も美しく楽しいものだ。宝塚スターのタカラジェンヌもまた「すみれ」と呼ぶ。どちらかというと、美しいこちらのすみれの観賞はもっと楽しい。
コメント (15)
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