明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



三島由紀夫で私の好きなエピソードに、三島35歳、馬込にある自邸の建築に際し、設計を担当した建築家は“初対面で必要な部屋や何かを聞いたあと出たのが、ヴィクトリアン王朝のコロニアル様式である。私はそこで率直に『良く西部劇に出てくる成り上がり者のコールマン髭を生やした金持ちの悪者が住んでいるアレですか』と聞いてみた。そしたら何と即座に『ええ悪者の家がいいね』ときた。これで私は完全に敗北して、本気でやってみようという気になったのである。”こういうところが私はたまらないのである。 背中に唐獅子牡丹の刺青を背負った三島を撮影。去年の個展に出品した作品は始めからヤクザ映画のポスター風に、と考えていたので、平面的な背景に陰影、立体感のある三島を切り貼りした。映画のポスターはそうしたものであるから、違和感があろうとそれで良かった。この時は背中の唐獅子牡丹を見せるために顔は横顔がかろうじて見える程度であったが、本職の刺青師に描いてもらった刺青は肩から胸にもあるし、私の場合、人形は顔が命であるから、顔を良く見せるためには、背景の風景の左右を反対にするくらい平気である。なので今回は前を向かせた。タイトルは映画そのまま『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』である。背中で泣いてる肝腎の唐獅子牡丹も勿論生かした。私が何故、唐獅子牡丹にこだわっているかは、下のSEACHでブログ内を唐獅子牡丹で検索していただければ、くどくどと書いているので判っていただけるだろう。三島は自決直前、実際にかただ撮影用かは定かではないが、刺青を入れることを考えていたのは間違いない。 相変わらず、ひたすら三島にウケることばかり考えている私である。

※8月31日まで谷中『全生庵』円朝旧蔵の幽霊画を公開中。それに伴い三遊亭円朝像を出品。
※深川江戸資料館11月まで九代目市川團十郎像を展示。

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