来月13日からの丸善の人形展に出品する写真作品に誰を被写体にするか決められないまま、塩浜の倉庫から、三島由起夫、泉鏡花、永井荷風、夏目漱石を持って帰った。人形自体を出品するかは未定。 3時に木場でMさんと待ち合わせ、千駄木から全生庵の『幽霊画展』へ。行ってみたら部屋の入り口で私の円朝像がまず迎えるように入ってすぐに置かれていた。円山応挙、伊藤晴雨、鏑木清方作品と同部屋とは恐れ多いことである。 牡丹灯籠を手がけたばかり、つい技術的な部分を観察してしまう。女の執念を描く幽霊画は、やり過ぎず、見る側の想像力にゆだねることが肝腎のようである。 前妻が後妻を妬んで修羅と化し、荒れ野で後妻の白骨を杖で打ち壊す「骨を打つ修羅」(作者不詳)。昨年も印象に残ったが、説明書きを読むと、前妻が後妻を、と伝わっている、ということで詳細は明らかではないらしい。杖を振り上げる前妻、あばらの浮いた胸を露出しているが乳房はないし乳首すらない。そう思うと髪こそ長いが、この体格、顔は男ではないのか?つまり前妻が後妻の骨を、ではなく、旦那がかみさんの骨を叩き割っている図ではないのか?私はそう解釈した。Mさんに同意を求めると先日孫が生まれたばかりのMさん。苦笑いを浮かべるばかりであった。恨まれるのが、何も男ばかりと限られたものではないだろう。 受付の女性は昨年、未完成の圓朝の頭部を持って見に来たことを憶えていただいており、たまたま世田谷文学館での展示も見ていただいたそうである。 暗い真夜中も私の円朝はこの幽霊達と共に1ヶ月同じ部屋で過ごしたのだな、と思ったら奇妙な感慨が。ヘンな物連れて帰って来ないでくれよ。
※8月31日まで谷中『全生庵』円朝旧蔵の幽霊画を公開中。それに伴い三遊亭円朝像を出品中。
※深川江戸資料館11月まで九代目市川團十郎像を展示。
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