明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

幽霊  


新発見の鏑木清方作『茶を献ずるお菊さん』は、1906年、三遊亭円朝の七回忌法要が営まれた際に絵はがきの図柄として使われた後、所在不明になっていたそうである。それがオークションに出品されていたのを某画廊が入手したらしい。なんたる奇遇。私は“何か持ってる”といいたくなるが、某ハンカチピッチャーは「あんなこといわなければ良かった」。といっていたから私も止めておこう。 江戸深川資料館に出品中の円朝は、本当は明治の高座を再現するため、二本の燭台だけでなく、火鉢や、その上の鉄瓶まで用意してあったのだが、高座に見立てた花台が会場に持って行ったらあまりに狭く、燭台と扇子だけにしてしまった。湯飲みくらいは、と思ったが、予定が狂って扇子を加えたにとどまった。10日で展示が終わるので、扇子だけでも全生庵に持っていっても良いだろう。 牡丹灯籠の幽霊制作が非常に面白く、振り上げた拳がなかなか下ろせないまま、すでに涼しくなったというのに素材として幽霊を撮影した。発表する予定のない物は作ってはならない、とキツく戒めてはいるが、まあ、しかたがない。そのままでは使えないが、いずれ機会があったら完成させよう。仕上げに入れる鬼火はまだまだいくらでも出番を待っている。

※8月31日まで谷中『全生庵』円朝旧蔵の幽霊画を公開中。それに伴い三遊亭円朝像を出品中。
※8月10日より20日まで深川江戸資料館“深川お化け今昔”にて三遊亭円朝像、及び写真作品「鏑木清方作三遊亭円朝像へのオマージュ」『怪談牡丹灯籠』など6点出品。 別室では11月まで九代目市川團十郎像を展示。

HP

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