かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男の一首鑑賞 415

2017年07月03日 | 短歌一首鑑賞

  渡辺松男研究49(2017年5月実施)『寒気氾濫』(1997年)
    【睫はうごく】P166
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:泉 真帆       司会と記録:鹿取未放
  

415 耳たぶのうしろのがわを冷やしくるひかりありけり橋わたるとき

      (レポート)
 結句の「橋わたるとき」が一首にリアリティーを与えている。作者の髪型は耳やうなじが出るような短い髪型なのだろう。高所が嫌いなのだろうか。いや、そんな単純な歌では無いだろう。こちら側からあちら側へ作者は渡ろうとしている。それが過去へ行くのか未来へ行くのか、明暗か、ただ茫洋と平たいのか。しかし怖い一首である。(真帆)


      (当日意見)
★ひかりなのに冷やし来るんですね。橋を渡るって哲学的な意味合いがあるから松男さんたくさん
 橋の歌歌っていますが。(鹿取)
★前の歌で鹿取さんが自愛と言うことを言われましたが、葛藤いろいろ含めて自分を受け入れたい
 と思っているのかなと思いました。(A・Y)
★橋って下が空洞で隠れるところがないんですよね。だから橋を渡るときには不安がある。それを
 あからさまに言わないで「耳たぶのうしろのがわを冷やしくる」ということで言っているのでは
 ないでしょうか。(慧子)
★橋を渡るとは何かを始める、今とは違ったところへ行く事じゃないかなと思いました。その時
 には恐怖のようなものがあるのかなと。(T・S)



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