かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

馬場あき子の外国詠343(スイス)

2014年11月23日 | 短歌一首鑑賞

 馬場あき子旅の歌 (2011年11月)【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)165頁
                 参加者:K・I、N・I、泉可奈、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
                 レポーター:渡部 慧子
                 司会とまとめ:鹿取 未放


330 上り上りつひに立つなるつるつるの氷河胎内の薄蒼き闇

     (まとめ)(2011年11月)
 329番歌でも見たように、ユングフラウ鉄道で上ってきたのであろう。この鉄道の終点は、高度3454メートルのユングフラウヨッホ(ユングフラウの「肩」の意)駅。この駅は山の中に穿たれたトンネルの中にあるそうだ。だからこの歌は終点の駅で降りて、まだトンネルの中にいる場面だろう。そしてトンネルの中はつるつるとよく滑る。薄蒼き闇がいかにもそうであろうと思わせるが、やはり胎内のような感覚なのだ。(鹿取)
 
    (意見)(2011年11月)
★角度によって氷は薄青く見える。氷河の中にいろいろ閉じこめられていて、亡くなった人もいる
 から闇。(曽我)
★「蒼き」はよく使うが、「闇」は独特のもの。(崎尾)

(レポート)(2011年11月)
 スイスの観光ハイライトは雄大なアルプスのパノラマ、氷河鉄道で上り詰めた頂上、滑りやすい地上にしっかりと立った。胎内とは作者にとって大自然を内に取り入れている言葉だと思います。おそらく周りは観光客で賑わっているのだろうけれど、自分自身の孤の内を見つめている。それは歌人としての業なのではないでしょうか。(N・I)


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