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かまくらdeたんか   鹿取 未放

「かりん」鎌倉支部による渡辺松男の歌・馬場あき子の外国詠などの鑑賞

 

渡辺松男句集『隕石』

2013年11月05日 | 日記
     
 馬場あき子が『寒気氾濫』について「一冊すべて秀歌」とつぶやいていたのを、『隕石』を読みながら思い出した。現代の俳句をあまり読んでいない私から見ると、『隕石』はほとんどが秀句に思えるし、歌とは異なる俳句の世界をしっかり構築しているように思える。それでもやっぱり詠まれているのは渡辺さんの世界だ。
 それにしても〈あたたかをハンス・コパーのくちもとへ〉と〈ゆふおぼろ絣のひとのゐずまひの〉の二句の落差にはちょっと驚いた。前者は放尿を詠んだと思われるが、こういう句が俳句的なのかな、いのちの温かさと切なさがあって好きである。しかし古風な(あるいは古風を装った)絣の句も好きである。
 しかし俳人からみたら全く違う感想になるのかもしれない。ネットで俳人の方が褒められる『隕石』の句をみると、私がよいと思う句とはあまり重ならないからだ。そこで、よい句というのではなく、好きな句をあげさせていただく。書き出して眺めてみると、やはり短歌的な選びなのかもしれない。またエロティックな印象の句を多く選んでしまったようだ。

てふてふや石の口からいづる息

牛の尻ぶろぶろとひるがすみかな

挿木してどこへも行かせたくはなし

さくら森乳暈(ちがさ)のいろにふくらめる

瀝(したたり)の一滴一滴に余震

青山河ををへし大父(おほちち)に

万緑や円空どこにでも彫りて

前世にも前世ありキャベツ剥く中に

ろくぐわつのをんなうごけば沼うごく

日ざかりにあッと人生を消さる

旻天に置く一本の紙縒(こより)かな

うろこ雲なくししものの億倍の

雨月の夜捲る日本霊異記を

太陽のくしやみいちめんまんじゆしやげ

吐く息の白さがこのごろの誇り

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ブログ拝見しました。 (浦河奈々)
2013-11-10 12:49:33
先日はお世話になりました。
初めてブログ拝見しました。

渡辺さんの俳句、ウエットで有機的なところが魅力的ですね。短歌と読み比べてみたらおもしろそうだと思いました。
返信する
Unknown (鹿取 未放 )
2013-11-10 20:04:18
浦河さん、コメントありがとうございます。
渡辺松男さんの句集、ほんとうに魅力的ですね。
返信する

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