脱ケミカルデイズ

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映画『世界が食べられなくなる日』が描く遺伝子組み換え作物の危険性

2013年05月18日 | 食品

週刊プレイボーイ2013年5月27日号
「TPP参加で遺伝子組み換え作物が日本の食を支配する!!」

6月に公開されるフランスのドキュメンタリー映画『世界が食べられなくなる日』が公開前から大きな話題を呼んでいる。映画は遺伝子組み換え作物の長期的な影響を調べる動物実験を取り上げ、遺伝組み換え作物と除草剤「ラウンドアップ」を摂取したラットが、乳がんや深刻な肝臓、腎臓障害を次々に発症する実例が映し出されている。特にラットに現れる巨大ながん腫瘍は目を背けたくなるような悲惨さで、事態の深刻さを物語っている。遺伝子組み換え作物とは、人為的な遺伝子操作によって、除草剤や害虫などに耐性を持つ作物のことで「GM(GeneticaI1y Modified)作物」と称される。GM作初を原材料に加工される食品は「GM食品」と呼ばれ、実はわれわれの身近なところにもありふれているという。

そして今、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)参加によって、GM食品の日本での表示義務が撤廃され、流通量が増えることが懸念されている。先の実瞼結果が示すように、本当に安全なのかと疑いた<なるGM作物。日本の食の安全が脅かされようとしている。

 

衝撃の実験結果にフランス政府も注目

まず、『世界が食べられなくなる日』に登場するラット実験の詳細を見ていこう。実験を行なったのはフランス、カーン大学の研究チームで、研究を率いたのはジル・エリック・セラリー二教授だ。

実験内容は、オス10匹とメス10匹で一グループ、計10グループを次の4パターンに分けて、24ヵ月間観察している。実験群の9グループのうち①3つには通常の飲み水と除草剤をかけないGMトウモロコシを、通常の飼料に11%、22%、33%の3段階に分けて混ぜて与えた。②別の3つには通常の飲み水と除草剤をかけたGMトウモロコシを同じく3段階に分けて与えた。③あとの3つのグループには非GMトウモロコシと除草剤を加えた飲み水を3段階に分けて与えた。④残りのーグループは対照群とし、非GMトウモロコシと通常の飲み水を与えた。

最初に大きな腫瘍を確認したのは実験開始から4ヵ月目の実験群のオスで、メスは7ヵ月目だった。一方、対照群で最初に腫瘍が確認されたのは14ヵ月後でメスだった。同時期の実験群のメスにはグループ別に10~30%の割合でがんが確認された。24ヵ月目では対照群のがん発生率は30%だったが、実験群のメスではグループ別に50~80%の割合でがん腫瘍が見つかり、70%のメスが早期死亡した。実験群のオスにも肝臓や皮膚に腫瘍が見られたが、がん発生率が高かったのはメスだった。

同映画監督のジャン=ポール・ジョー氏は、セラリー二教授との当時のやりとりを次のように振り返る。「2009年の8月、彼が私にこう言ってきました。『実は6ヵ月前からラットの実験を始めてるんだけど、想像もしなかった結果が出ている。ぜひ映画にしてくれないか?』と。2012年の9月、映画の公開とほぼ同時に研究結果も科学専門誌に発表されました。反響は大きく、フランス政府も注目しています。

研究結果を受けて、フランス政府は早速<GMトウモロコシとがんの関連性について、保健衛生当局に調査を要請。研究結果が、GM作物についての根本的な問題提起を促したのだ。

GM作物についての著書も多く、かねて警鐘を鳴らし続けている、食政策センター・ビジョン21代表の安田節子氏もこう話す。

「これまでの安全認証は、90日間の動物実験に基づいています。ですが今回の実験は、ラットの平均寿命である24ヵ月間にわたって調べたもの。大変意義がある実験だと思います。私たちが生涯食べて安全なのかは確認されてこなかったからです。そもそもGM作物やGM食品が国の認可を受ける場合に、アメリカでも日本でも動物実験による追試験をしないことが問題なんです。アメリカならFDA(米食品医薬品局)、日本なら食品安全委員会が企業側の書類を審査するだけ。日本の安全委も『安全性の測定は企業が経済的責任を負うべき』なんて言っているのが実情です」

(後略)