脱ケミカルデイズ

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藤本義一氏死因は大震災時のアスベストによる中皮腫

2013年01月26日 | アスベスト

昨年10月30日に亡くなった作家の藤本義一氏の死因は肺がんと報道されていましたが、より詳しくいうと、アスベストで発病する中皮腫だったそうです。
今年1月12日に神戸市内で開かれたシンポジウム「震災とアスベスト」で、娘の中田有子さんが初めて父の死について詳しく語り、中皮腫になった原因は、阪神・淡路大震災で被災者支援活動に携わったためではないかと訴えたそうです。

 

朝日新聞20130126 
記者有論 アスベスト 復興災害、阪神の教訓生かせ 大阪校閲センター 日比野容子

深夜番組「11PM」の司会で知られ、昨年10月に79歳で亡くなった直木賞作家の藤本義一さんの死因は「中皮腫」だった。長女の中田有子さん(52)は、病名を聞いて不思議に思った。中皮腫はアスベスト(石綿)を吸うことで発症するがんの一つ。吸い込むと10年から数十年の潜伏期間を経て発症する。父はいったいどこで吸ったのだろう。

(略)

答えに行き着いたのは、亡くなった数日後。かかりつけ医が言った。「お父様は、震災の時に石綿を吸われたのだと確信しています」

1995年1月の阪神大震災。全半壌したビルや家屋は約29万棟にのぼり、旧耐震基準の81年以前の建物が多かった。石綿建材の中で最も飛散性が高く危険とされる「吹き付けアスベスト」は、主に75年まで使われていた。

藤本さんが住んでいた西宮市でも多くの建物が壊れ、千人以上が亡くなった。水道が止まり、土ぼこりが街を覆った。「静かな時限爆弾」と言われる石綿はこの時、藤本さんの体にセットされたのか。被災地では、地震から13年後の2008年以降、復旧作業の作業員4人が中皮腫を発症し、労災認定を受けている。中田さんは。「石綿被害は誰にも起こりうる」と訴える。

(略)

東日本大震災の被災地でも、倒壌建物の解体現揚など17カ所で、大気汚染防止法の基準を超える石綿の飛散が確認された。阪神の教訓が十分に生かされたとは言えない。

(略)