脱ケミカルデイズ

身の周りの化学物質を減らそうというブログです。 

冷感グッズ、効果がなかったり、肌の異常や熱中症を促進する危険も

2012年07月30日 | 化学物質

朝日新聞2012年7月22日 スカーフ・フプレー・ベスト・腕カバー 冷感グッズ 効果いろいろ

猛暑の夏、節電意識が高まる中で、「ひんやりグッズ」に人気が集まっています。新しい素材やデザインも登場し、タイプもさまざま。ただし、使い方に注意が必要な場合もあるようです。

売り場にぎわう

水を吸わせて首や頭に巻く冷却タオル、冷却スプレー、霧状の風を送る扇風機……。高知市で少年サッカーチームなどを指導する寺尾隆さん(64)は東日本大震災以降、節電のためにエアコンの利用を減らし、さまざまなひんやりグッズで暑さをしのいでいる。最近「冷却ベスト」を買った。保冷剤を前後のポケットに計七つ入れ、下着やTシャツの上に着る。毎週末、サッカーをするときに愛用している。「炎天下でも2時間は冷たさが続き、体温を下げるのに有効です」

東京都内の主婦(57)はこの夏、首に巻く冷却スカーフを買うつもりだ。昨年、通信販売で買ったものはブカブカで、家の中でしか使えなかった。「もっとフィットして、外にも手軽につけて行けるものが欲しい」という。生活雑貨がそろう「東急ハンズ新宿店」(東京都渋谷区)は6月、涼感グッズ売り場を設けた。幅広い世代に売れているのは、米国で開発された「クールコンフォートテクノロジー」という高機能素材を使ったタオルやスカーフ。水にぬらして軽く絞り、強く数回振ると冷たくなる。昨年6月に発売された商品は、国内で計170万枚近く売れた。今年は腕カバーなど種類が増え、この素材を使う他杜製品も出た。千円から3千円と、比較的手頃なことも人気の理由だ。

同店では7月中旬時点で、保冷剤を背負う薄型のリュックや水を入れると噴霧器にもなる水筒が、30~40代の男性に支持されて品薄に。冷やして使う枕は絵柄が豊富になり、若い女性に人気だ。いずれも、このところの猛暑で一気に売り上げが伸びているという。

体温下げぬ商品も 肌の異常にも注意

こうしたグッズは効果があるのだろうか。熱中症予防の専門家で横浜国立大の田中英登教授は昨年、代表的な5製品を検証した。室温35度、湿度60%の部屋で、30代の男性2人が各製品を使った時の体温変化や体感を記録した。最も効果があったのは、氷水を中に入れたアイスバッグ。首の後ろを冷やしたところ、体温が下がり、効果が続いた。一方で冷却スカーフや、肌にはる冷却シートは効果があまり続かなかった。冷却スプレーは、ひんやり感が続いても、体温を下げる効果はほとんどなかったという。田中教授は「暑い場所で使うと涼しく感じ、体温を下げる必要がないと体が錯覚するので、屋外で運動する前につけるのは間違い。体温が上がって熱中症を促進させる危険があり、使い方に注意が必要」と指摘する。

国民生活センターが注意を呼びかけているものもある。湿らせて首に巻く冷感ベルトの子ども用製品は、内部の芯の締め付けがきつく、痛みを感じることがあるという。また、水にぬらす冷感タオルで「湿疹が出た」「赤く腫れた」といった苦情があり、一部の商品からアレルギー性の接触皮膚炎を起こすおそれのある防腐剤が検出された。同センターは、初めて使う前にぬるま湯でよく洗い、異常を感じたらすぐ専門医の診察を受けるよう勧めている。(坂本真子)