脱ケミカルデイズ

身の周りの化学物質を減らそうというブログです。 

薬の副作用、命の危険も

2012年07月19日 | 

朝日新聞2012年7月17日 薬の副作用、命の危険も

病気を治したり、健康を保ったりするのに必要な薬。しかし、ごくありふれた薬でも命にかかわる副作用を起こすことがある。被害を最小限に食い止めるため、患者自身や家族はどんなことに気をつけたらいいのか。

風邪の薬で体に斑点

「なんだろう、これは」2002年6月の朝。大阪府に住む会杜員の黒岡昭光さん(43)の腕や胸などに、紫色の小さな斑点が現れていた。数時間もしないうちに全身に広がり、救急外来に駆け込んだ。水ぼうそうを疑われた。治療をしても悪化する一方。翌日、「ほかの感染症かもしれない」と、即入院を告げられ、隔離された。そのころ、目が刺すように痛み出し、ものがよく見えなくなった。水ぶくれのようになった顔や習中など全身の皮膚がめくれ、痛みで身動きもままならない。「このまま死ぬのか」

入院2日目。ようやく医師の一人が、薬がきっかけの重い副作用症状「スティーブンス・ジョンソン症侯群(SJS)」かもしれないと気づいた。斑点が出る3日前から発熱を繰り返し、近所の医院と総合病院で抗生物質や解熱鎮痛剤、胃薬など、複数一の薬を処方されていた。かぜで処方される、よくある薬ばかりだった。すぐに、それまで使っていたすべての薬をやめて、ステロイドによる治療が始まった。約1カ月後。皮膚の状態と視カが戻って退院したが、後遺症で今も肺は7割くらいしか働いていない。月1回の通院と、液体酸素の携帯が欠かせない。ステロイドなど毎日6種類の薬を飲み続けている。

服用記録手元に残す

適正な薬を用量や用法を守って使っても、副作用は起こり得る。特に皮膚の症状は頻度が高い。赤みやかゆみから、SJSや類似の中毒性表皮壊死症など命に関わるものまで幅広い。09年8月から12年1月の間に、製薬会杜から厚生労働省にあった、重い皮膚障害の副作用報告は1505例。このうち、131例は亡くなっている。抗てんかん薬や解熟鎮痛剤、総合感冒薬、ビタミンB1剤など265成分が疑われ、身近な薬も多い。

どうしたら重い副作用リスクを滅らせるか。大阪大の小豆澤宏明助教(皮膚科)は「症状を自覚したち、なるべく早く医師や薬剤師に相談し、早く治療をすることです」という。皮膚の発疹や発熱といった副作用症状の多くは、初期だとほかの病気との区別が難しい。相談する時は、どんな薬を飲んできたか正確に伝えることが原因にたどり着く手がかりになる。

「『おくすり手帳』などの正確な記録が、とても役に立ちます」と小豆澤さん。手元に記録がなければ、実物や処方箋のコピー、薬、局でもらった説明表でもいい。併用している薬を含めた全てを専門家に知らせるのが望ましい。副作用が疑われる薬は中断するのが原則。ただ、「必要な薬を急にやめる方が害が大きい場合もあります」と、妊娠と薬情報センター(東京都世田谷区)の渡邊央美副センター長。妊娠に気づかず薬を飲んだり、持病の薬による将来の妊娠への影響を心配したりする女性から相談を受け付けている。向精神薬など中枢神経に働く薬をのんでいる人からの相談も多い。「持病の治療に必要な薬を自已判断でやめると、持病が悪化するリスクが副作用や赤ちゃんへのリスクを上回ることもある。專門家に相談して、正しい情報で判断して欲しい」という。

どんな副作用があるか知りたい時は、医師や薬剤師に説明を求めるほか、薬の公式な説明文(添付文書)に目を通すといい。薬の審査や安全に関する対策を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)のサイトで、患者向けにかみ砕いた説明文を検索できる。副作用の起きやすさの目安も載っている。ただ、これは限られた患者で行った臨床試験のデータが根拠。発売後は、より幅広い年齢だったり、ほかの薬を併用するなど、様々な状況で使われるため、「副作用がより重くなって発見されたり、発売前には経験しなかった副作用が出ることもある」と、慶応大の望月真弓教授(医薬品情報学)は語す。国は今年3月、患者から直接、副作用情報を集める「愚者副作用報告」のデータベース作りを始めた。PMDAのサイトから入力できる。医師や製薬企業からの報告では見えづらい副作用を掘り起こすためだ。(権敬淑)

 

薬の副作用を最小限にするために、自分でできること

自覚症状に敏感になる

使う前に、起こりうる副作用を理解する

使った薬の記録をつける(いつ、名前、量、現れた症状)

医師、薬剤師に早めに相談する(薬を中断する前がよい場合も)

 

薬で困ったとき、迷ったとき

医薬品医療機器総合機構

電話相談03-3506-9457(平日9~17時)

都道府県別の相談窓口検索

http://www.info.pmda.go.jp/kusuri/soudan.html

副作用の症状、薬の説明文書の検索などhttp://www.info.pmda.go.jp/ippan.html

副作用被害の補償について0120-149-931(平日9~17時)

妊娠と薬情報センター

http://www.ncchd.go.jp/kusuri/index.html

03-5494-7845(平日10~12時、13~16時)