脱ケミカルデイズ

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印刷所で胆管がん-厚労省調査結果

2012年07月14日 | 化学物質

 厚労省:胆管がんに関する一斉点検結果の取りまとめ等について 

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000002ez6b.html

 

 

 

朝日新聞年7月10日 印刷会社で胆管がん新たに3人 因果関係本格調査へ

印刷業で働く人に胆管がんが多発している問題で、厚生労働省が全国の561事業所を調べた結果、新たに3人が胆管がんになっていたことがわかった。小宮山洋子厚生労働相が10日、発表した。業務との因果関係を調べる疫学的調査を実施する方針も示した。

561事業所調査 厚労省発表

3人が働いていたのは、東京都、静岡県、石川県の事業所。1人は40代で入院し、治療した。2人は60代と70代で死亡した。この結果、すでに判明していた大阪、宮城も含めて印刷会杜における胆管がんの発症例は計5事業所、17人となった。このうち8人が死亡。朝日新聞の調べでは、大阪でさらに1人が死亡している。厚労省によると、これまで労災申請が出ている大阪と宮城の事業所については、地下室や通風が不十分な屋内の作業場で、インクの洗浄剤として「1,2ジクロロプロパン」を大量に使っていた可能性があることが共通しているという。

厚労省は、二つの事業所で使っていた洗浄剤や作業環境に何らかの問題があったとみて、専門家による研究班をつくる。疫学的調査では、印刷業以外の胆管がんの発症例も詳しく調べ、印刷業で発症する割合がどの程度高いかを調べる。発症との関係を調べるため、1,2ジクロロプロパンなどで動物実験を行う。

今回の調査は、洗浄剤を多く使っている事業所や大規模な事業所が対象。特定の化学物質を取り扱う場合のルールを守っているかを調べ、同時に、在職者や退職者に胆管がんになった人がいないかを聞いた。規制対象の化学物質(54種類)を使う場合、局所排気装置の設置や、6ヵ月以内ごとの空気中の有機溶剤の濃度測定、特別な健康診断の実施などが義務づけられている。だが、調査したなかで、規制対象の物質を使っていた494事業所のうち、383事業所で何らかの法令違反があった。

大阪・宮城の共通点探る

事業所調査の結果について、小宮山洋子厚生労働相は10日、「(大阪、宮城以外に)あまり多くの広がりがなかったことは良かったと思う」との認識を示した。

今回の調査は、胆管がんの発症が、すでに労災申請が出ている大阪や宮城の印刷会杜に特有の理由によるのか、それとも、同じような作業をしている他の印刷会社でも起きているのかを把握するのが目的だった。

厚労省は①発症年齢が若い人はいないか②同じ事業所で複数の発症がないか、の2点に注目して調査を進めた。新たにわかった3人の発症者は、静岡の1人が40代で入院し、治療した。比較的若いが、同じ事業所での発症はなかった。東京と石川の2人はそれぞれ70代と60代で死亡している。

今後の調査について、厚労省の高崎真一・安全衛生部計画課長は「若い年齢で複数発症している事業所は大阪と宮城だけ。共通点を明らかにすることが基本になる」と説明する。また、今回の調査は、事業所に対する聞き取りが中心で、事業所側が退職者も含めた病歴をどの程度まで把握できていたかなどについては疑問も残る。厚労省は專用の相談窓口をもうけることで、今後も情報提供を呼びかけていく。

 ■厚生労働省が発表した今後の対策

・全印刷事業所で自主点検を実施

・有機塩素系洗浄剤を使う場合には、十分な換気をするよう指導する

・専用の相談窓口を設ける。東日本は13日から実施し、電話は0120・860・915。西日本は12日からで、0120・616・700。時間は平日午前9時半~正午、午後1~4時・産業医学の専門家チームを編成し・疫学調査をする

 

朝日新聞2012年7月10日 有機溶剤使い 8割違反 胆管がん調査 換気など不十分

胆管がんをめぐり、厚生労働省が10日に発表した調査結果が明らかにしたのは、発症者の相次いだ印刷会社で、従業員が高濃度の化学物質を浴び続けていた実態だった。8割近い事業所が有機溶剤の取り扱いに関する規則に違反していたことも判明。印刷現場での化学物質への認識の薄さも浮かび上がった。

「十分な換気をしていなかったことが胆管がん発症に影響したと考えられる」厚労省は発表の中で、胆管がんの発症が続出する大阪市中央区の印刷会社についてこう指摘した。会社は市内中心部の住宅地の一角にあり、作業場はビルの地下1階。洗浄剤を多く使う校正印刷部門の従業員は約30人という。元従業員の証言から再現したところ、地下の作業場は換気が不十分で、揮発した洗浄剤の成分の大部分が室内に還流していた。

一方、2人が胆管がんを発症したとして労災申請している宮城県の印刷事業所は、地下室ではないが、窓を閉めて作業しており、1日の洗浄時間が長時間に及んでいたという。

厚労省は大阪と宮城のケースの共通点について、「通風の不十分な環境で洗浄作業をしていた」と指摘した。

厚労省の調査では、発症者が相次いだ印刷会社以外でも、有機溶剤の中毒を防ぐための規則などに違反した事業所が8割に上る実態も浮かび上がった。「局所排気? 聞いたことがない。換気扇で足りると思う」。大阪府内のある校正印刷会社に20年勤める現場責任者は話した。問題発覚まで同社は、胆管がん発症との因果関係が疑われているジクロロメタン80%の洗浄剤を使用していた。規則では、有機溶剤を吸い込んで屋外へ排出する「局所排気装置」の設置が義務づけられているが、この現場責任者は知らなかったという。同じように義務づけられた空気濃度の測定もしたことがなかった。有機溶剤を取り扱う労働者には半年ごとに特別な健康診断を行う必要があるが、一般的な健診を「各自で任意でやっている」という。

仙台市若林区の印刷会社の社長も「校正印刷の作業は気温と湿度が大事。(問題になった)大阪の事業所のように地下室で外気を嫌って作業するのも分からなくもない」と話した。日本印刷産業連合会(東京)は1980年代から90年代にかけて、手引書「印刷と有機溶剤」を作り、業界内で啓発してきた。しかし、業界に浸透しなかった。連合会の担当者は「業界の末端まで伝わらなかった面がある。印刷業界は零細企業が多く、健康が後回しになっていたのかもしれない」。

調査結果を発表した厚生労働省の担当者は10日、規則違反が常態化している現状について、「現場の順法意識が低いと批判されても仕方ない」と話した。

 


感染症防止 光で免疫高め、細菌攻撃

2012年07月14日 | 化学物質

毎日新聞2012年7月1日 感染症防止:光で免疫高め、細菌攻撃 防衛医科大

 

 光を当てて体の免疫を高め、細菌による感染症を防ぐことに、防衛医科大や米マサチューセッツ総合病院のチームがマウスで成功した。人で実用化できれば、免疫が弱った高齢者の感染症防止に役立つという。

 けがや手術後は感染症にかかりやすく、特に骨や関節では抗生物質が届きにくいため細菌が増殖しやすい。

 チームは、光を当てると、がん細胞や細菌を攻撃する「活性酸素」を発生させる薬剤を使った手法に注目。光の強さや薬剤の濃度を工夫すると、光を当てた周囲で細菌を死滅させる白血球の一種「好中球」の働きが活発化することを発見した。

 実験で、抗生物質が効かないことで問題になっているMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)を、マウスのひざ関節に感染させて試すと、MRSAが死滅したことが確認できた。また、あらかじめ光を当てて処置した後に、ひざ関節にMRSAを入れても感染を防ぐことができた。

 防衛医科大の守本祐司・准教授は「生体が持つ防御力を高めるので、さまざまな細菌に有効だ。抗生物質に頼らない治療や予防法として期待できる」と話す。【神保圭作】

http://mainichi.jp/select/news/20120702k0000m040029000c.html

 

【ケミカルデイズ http://www16.plala.or.jp/chemicaldays/index.html