フランチャイズ開業&読書日記・・・どこまで行くの?

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市塵(下) 藤沢周平著 講談社文庫

2009年01月05日 00時01分53秒 | 書評 歴史系
市塵という言葉は、
新井白石の書生であった伊能佐一郎が
女と駆けおちする際に残した書置きの中にあった
「市井紅塵の間に生業をもとめ」からとった言葉です。

市塵(下) 藤沢周平著 講談社文庫


新井白石は、儒学を単なる訓詁学ではなく
現実の政治の中で活かすことを考え実践すべく
政治の中枢に進み、権力を行使することに
興奮を覚えていきます。
物語では、政治闘争に苦悩しながらも
権力を行使する白石の姿が克明に描かれています。

その一方で藤沢周平は、
不詳の弟子に「市井紅塵の間に生業をもとめ
ほそぼそと暮らしたい」という書置きをのこさせ、
題名にその「市塵」を採用しているのです。

藤沢周平の意図はどこのあったのか?

8代将軍吉宗の治世になり
その座を追われた白石は
権力闘争に敗れたことを認識しつつ
残された道が、
「市塵の中にもどることである」ということを悟ります。

うどん屋になった伊能と
権力から追われた白石。

はたしてどちらが幸せな人生を送ったといえるのか?

藤沢周平はその答えを出しているわけではありません。


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