BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界Sフェザー級統一戦

2012-02-07 07:37:35 | Boxing
正規王者 内山高志 VS 暫定王者 ホルヘ・ソリス

内山 11ラウンドTKO勝利

考察 ~内山~

同じ団体でも2ヶ月休みで休養王者にされる者あれば
10ヶ月休みでも休養王者にされないとは一貫しませんなあ。
正規と暫定の統一戦決定でまた暫定立てるとか、
そこまでいくとWBAのboard of controlは腐っているとしか言いようがない。
承認団体に信を置けないならば、我々は何をもって世界王者を認定するべきか。
それは我々自身の眼に他ならない。

内山の最大の特徴はそのパンチ力。
しかし、最大の長所はというとその洗練されたスタイルだと思う。
最近の日本の世界王者(あるいはその予備軍)は、
性急なマッチメークで当面のランクアップだけを目指し、
ボクサーとしてのレベルアップには目を瞑ってきたように見えるが、
この王者は近年の日本のボクシングシーンには珍しく、
世界王者になるまでに十分な経験を積み、
なおかつ世界を獲得してからもその伸びしろを着実に伸ばしてきている。。

坂東、三浦に一発を食ってきた不安要素は、
技術の欠如というよりも集中力の途切れによるもので、
相手のレベルが高くなるほどconditioningやconcentrationが
より高まるタイプだと推測される。
故E・バレロと互角のスパーを繰り広げたという業界の噂は
試合を観れば観ればみるほど事実だったのだと首肯せざるを得ない。

パンチ力そのもの威嚇としたプレッシャーと
全てに卒のないボディワーク、リングを巧みcut offするフットワークと
それらを総合したintelligenceは日本のボクシング史上において
屈指の完成度と言える。


考察 ~ソリス~

浜さんが言う「変なタイミングの持ち主」という評価は表現としては不適切だが、
評価としては当たっている。
正統派を極める王者の攻撃に対して、歴戦のキャリアで培った勘と防御技術で
対抗しようとしたが、それらを押しつぶす王者の重厚なボクシングに初回から膝を屈した。
中盤以降はカウンターに活路を見出すしか方策がなく、
あわよくばアクシデンタルなノックダウンでも、という心境だったようだ。
超一流相手にKOで沈む姿が様になってきた感すらある。
最後の左フックはそのコンパクトさにおいて日本人離れしたボディメカニクスを証明し、
そのインパクトにおいてドネアを彷彿させた王者。
ガンボアに敗れたところから超一流であることは証明されていたが、
それでも日本のリングでこのレベルの相手にKO防衛を飾った選手は
近年では見当たらない。
素晴らしい敗者(≠負け役)となってくれた。