BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界ライト級タイトルマッチ

2010-11-11 20:28:15 | Boxing
王者 ウンベルト・ソト VS 挑戦者 リカルド・ドミンゲス

ソト 判定勝利

考察 ~ソト~

体全体にパワーがあふれ、長い四肢を振り回してもバランスが乱れず崩れない。
コンビネーションが多彩で、射程の長短のみならずリズムの長短を持ち、
スタッカートに喩えられるべきショートアッパーは命中せずとも威嚇力に満ちている。
防御におろそかな瞬間を作るせいで打たれ強さに注目が集まるが、
八の字ガードの裾を瞬間的に開閉させる様はセンスではなくキャリアに裏付けされた試合勘によるもの。
メキシコという国のボクサー育成の主眼の一つに試合数があることを改めて思い知らされる。
右ストレートの引きから体をひねりこんでの内側に抉るような右アッパーに惚れ惚れさせられた。
ジョー小泉はストレート主体の試合だから日本の指導者に参考になると言っていたが、
技術的には確かにそうだ。
けれど追いつき追い越せとなると日本の水や空気を変えないことにはどうしようもないかも。
嘆いても詮ないこと、テレビでかの地のボクシングを堪能できる時代と社会に感謝しよう。

ソトは肩幅こそないが、上背があり筋肉があり、30歳ということで時間もある。
バレラ、モラレス、マルケスよりもソトの方が4階級制覇に近い。
リナレス戦?
セニョール本田はまとめるつもりなどなかろう。


考察 ~ドミンゲス~

ストレート系のパンチがキレるが、カウンターの意図が浅い。
前進を止めるための牽制なのか、明確なダメージを与えるためなのか。
しかし、いずれの選択をしても相手がそれ以上の対応を見せたはず。
ボディ打ちはメキシカンの文法に則る角度の決まった左だったが、
相手が自分以上の歴戦のメキシカンだったがために
右の前腕尺側できれいに払われた。
右アッパーに左フックをカウンターで入れられれば面白かったが、
そんなことができるボクサーは今現在はN・ドネアとF・メイウェザーのみ。
こういうアホな(実現性の低い)攻略法を思いつくところが、
ジョー小泉に言わせると子どもなのだろう。
とりあえず観戦歴では自分の親父に追いつこうと…… 無理ですね、ハイ。

敗北を糧にするのはスポーツに限らず人生全般そうだが、
日本はそういう意味ではどんどん世知辛くなっている。
24歳で39戦できるメキシコの土壌と気風がうらやましい。
選手層の厚さというだけでなく、それを大過なく育て花開かせようという
その環境そのものがメキシコの文化なのだろうな。