BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

IBF世界バンタム級タイトルマッチ

2009-08-10 22:58:47 | Boxing
王者 ジョセフ・アグベコ VS 挑戦者 ビック・ダルチニャン

アグベコ ユナニマスディシジョンで勝利

考察 ~アグベコ~

6ラウンド終わりにホプキンスのごときcut the throatを見せていたが、
7ラウンド以降で急に展開が変わったな。
ノックダウン(には見えなかったが)を喫したのは不本意だろうが、
ダメージはなかったはず。
マルケスvsフアレスだったか、2分というラウンドもあったが、
4分というラウンドは実に珍しいものを見た。

7ラウンドで展開が変わった書いたが、実際はもっと前から
アグベコが流れを掴んでいた。
上体を振ることで相手に的を絞らせないと同時に、
上半身主導で振るうパンチの勢いを増す効果もあったように思う。
実際はほとんど当たらなかったが、
ウィービングから放たれるフックは拳の硬質さとも相俟って
ダルチニャンに相当のプレッシャーになったのではないか。
「これに手を出せばかち合うかもしれない」と言おうか。
腰、肩、肘の連動がないパンチながら特にフック系は引きがやけに速い時があり、
先天的なフィジカルでも相手より上だった。
だが惜しいかな、団体統一路線などに踏み出すには派手さ、華やかさが足りない。
地味にシドレンコと雌雄を再び決するぐらいか。

考察 ~ダルチニャン~

実戦ではなく観戦においてダメージを測るには
選手の脚、呼吸、表情などがチェック項目になるが、
それよりももっと分かりやすい判断基準がある。
打ち合い、あるいはクリンチのブレイクの際にレフェリーが
どちらの選手をより凝視しているかを見ることだ。
カットによる出血のせいもあるだろうが、レフェリーが見ていたのは
7:3でダルチニャンだったように感じた。

頭を下げながら打つ右フック、左のオーバーハンドは
以前の腰を落とした構えから斜め上に伸びあがる打ち方と正反対で、
自身にとってナチュラルな変則ではなく不自然な変則に見えた。
いいタイミングで当たったパンチは無数にあったが、
階級・耐久力の差以上に、フォームを崩したパンチでは威力が減じるのは当然。
曲がりなりにも体重を乗せて打つ自身のパンチより、
拳自体の硬さで腕で打ってくる相手のパンチの方が強いことに狼狽しただろう。
バンタムで一試合お披露目兼前哨戦をやるべきだったか。
この試合であらためて階級の壁を実感するとともにパッキャオの異常さを再確認した。

WBC世界ライト級挑戦者決定戦

2009-08-10 22:58:02 | Boxing
1位 アントニオ・デマルコ VS 2位 アンジス・アジャホ

デマルコ 9ラウンドTKO勝利

考察 ~デマルコ~

左ストレートの鋭さはあるが、それを撃ち込むための地固めが足りない。
時折右でショートとロングのアッパーを使い分けるが、主武器はやはり左。
長身を利した打ち方というわけではなく、あくまで水平方向の軌道をキープする。
フィニッシャーは一種類でもいいが、フェイントを駆使するなどして
それを決められるタイミングを構築する方法を複数持たなければ、
世界には届かないのではないか。
無表情にプレッシャーをかけてきながらも手が出ず、
顔面を結構打たせるのは先日の粟生を見るようだ。
粟生との違いはフィジカルとメンタルのタフネス。
バレロを喰ってしまう予感は感じさせないが、
左ストをコンスタントに1ラウンド30発ペースで繰り出せれば
かなりの好勝負を期待できそうだ。

考察 ~アジャホ~

くにゃくにゃした動きに人を喰ったようなパフォーマンスを見せるが、
黒人選手に共通するメンタルの弱さをこの男も持っていた。
へなへなと倒れ込んであわよくば反則打をアピールしようというのは
その時点で心が敗北を受け入れた証拠。
柔軟な上半身にシャープで伸びる左、踊るようなフットワークを持っているのだから、
打たせずに打つを徹底すればいいのだ。
ヨーロッパを主戦場に1~2年ボクシングを作り直せば、
フリオ・ディアスには勝てるだろう。
その頃までフリオがトップ戦線に残っているかどうかは分からないが。

余談。
アブラハム―ミランダⅡから注目していたレフェリーのアッシメニオスが
ここにきてWOWOWによく登場するようになったのは嬉しい。
今日の試合の最後の場面も決然とカウントを進めるところなど
さらなる大舞台を任せられる日も近そうだ。