BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBC世界Sミドル級王座決定戦 カール・フロッチVSジャン・パスカル

2009-02-09 23:02:27 | Boxing
フロッチ ユナニマスディシジョンで勝利

このフロッチ、客受けする戦い方で面白い素材だとは思うが、
セオリーを無視しすぎている気がする。
左を思い切り下げたカウンターパンチャーのように見えて、
実は好戦的なファイターというギャップは見ていて楽しいが、
ショルダーブロックを始め、ディフェンスがかなり悪い。
タフさに任せた戦いは見ている側からすると痛快だが、
先のA・マルガリートの例もあるので、もう少し防御の練習にも力を入れて欲しいもの。
攻撃面で気になったのはジャブだ。
実況は「いいジャブです」と評していたが、そうは見えなかった。
ひとつひとつのジャブにテーマが込められていない(ように見えた)からだ。
右グローブの位置が悪いとジョー小泉が指摘していたが、
ジャバー、あるいはアウトボクサーでも右脇をかなりルーズにした状態から
ジャブを繰り出す選手はたまに見かける。
定石とはいえない構えだが、そういう選手たちのジャブからは
距離の測定や相手への牽制などのテーマが読み取れることが多い。
フロッチに必要なのは明確な意思を込めたパンチを打てるようになることだ。

ちなみにジョー小泉の言っていた『ノッティンガムの恋人』というのは
正確には『ノッティングヒルの恋人』では?
まあ、記憶違いではなくお得意のジョークだったのかもしれないが。

敗れたパスカルは圧倒的にスタミナが足りない。
がツンともらったわけでもなのに5ラウンドで失速するとはどういうことか。
さらに肉体のバネに瞬発力と、黒人特有の恵まれたathleticismを享受しながら
このメンタルのひ弱さは何事か。
中盤以降のフロッチは闇雲な大振りを捨て、的確なパンチをまとめるスタイルにchangeしたが、
パスカルは序盤の打ち合いに引きずり込まれてからの中盤以降に打開策を見出せなかった。
本人としては勝利の手応えがあっただろうが。
Caucasianは往々にして無骨なスタイルだが、メンタルの強さを持っている。
Negroidは身体能力の高さに反比例するかのように精神面が脆い傾向がある。
忌まわしき歴史の呪縛が現代のリングにも影を落としているのか。
こういう傾向にもchangeが必要だ。
ボクシングは同じ体重、同じ規格のグローブで争われるスポーツであり、
競技以外の要素が持ち込まれるのは望ましくない。
というのは単なるお題目で、ボクシングとは人種や民族、政治・経済まで含めた
擬似戦争 pseudo-war であり、これからもそのようにあり続けるだろう。