electric

思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

少し詳しいΔΣ変調①序

2010-03-21 00:57:46 | 電子回路
この世の物事は、ほとんどの場合、深く考えていけば切りがありません。1つ新しいことを知ると更なる疑問が2つ3つとまた新たに湧いてくるからです。だから実際には、ほどほどのところで考えるのをやめて納めてしまいます。他にも知りたいことは山ほどありますからね。しかし考えるのをやめれば、その題目についてはそこでストップし先には進みません。多くの場合はそれでまったく問題ありませんが、知ることによる予期せぬ新しい扉もそこで潰えます。そんなとき、不意に「1+1=はなぜ2なんだ?」などと尋ねられると、ある意味大きなチャンスです。さて、1+1=はなぜ2なのでしょう?これを完全に説明するのは案外難しいかも知れません。まず、「数」とは何か?
(そんなん当たり前じゃん!ってのも有りですけどね。^^)

大事なのは誰かにこの質問をさせたということだと思います。こう聞かれたということは、「1+1=は2だと言い切った」からです。先述のように完全に知ることができる物事は、そう多くはありません。誰もが現在レベルにおいて知っているに過ぎないわけですが、現在レベルをもって、あえて「こうだ」と断定的に言い切ることが実は重要なのです。断定的でなくとも、とにかくアウトプットする。それは、更に深く新しい扉を開くチャンスを作っているといえるでしょう。上には上が必ずあり、上には上が必ずいます。そんな人達との出会いは幸運ですね。

そんなこんなで以前、ほどほどに分かったつもりで書いたΔΣ変調の記事にコメントをいただいたことが切っ掛けで、このメカニズムをまだ十分に分かっていないことを知り、更にあれこれと考えてみる機会を得ました。その方はアウトプットしたチャンスに応えてくださったのだと思います。

さて、前置きが長くなってしまいました。本題に入りましょう。
添付の図は、Yoshimitsu Murahashiさんが運営するWebサイト「ΔΣ変調の部屋」に掲載されているブロック図と、Java Appletを使ってΔΣ変調器を動かした時の各部の波形をお借りしてきたものです(黄色の吹き出しと、水色の塗り潰しは私の注釈です)。これは非常に興味深い波形ですね。特に積分器の出力など、じぃ~っと眺めていれば、色々なものが見えてきそうです。(このJava Appletは素晴らしいものですから、是非「ΔΣ変調の動作」を訪ねて動かしてみてください)

しかし、色々見えてくると同時に疑問も湧いてきます。添付図の注釈にも幾つか記入していますが、まずブロック図では、①「アナログ入力に負帰還をかけても、まだアナログのはず、積分器はディジタルフィルタでいいの?」同様に②「負帰還する信号はアナログ?ディジタル?」次に波形では、積分器の波形は興味深くも③「なんだこりゃ~?」ですね。等々。

量子化器の出力は、そのままΔΣ変調波形になりますが、一見、「粗密」が逆のようにも見えますね。これは水色の塗り潰しを見ればよくわかりますが、入力の振幅が大きいほど密になります。それから、ΔΣ変調を説明しているサイトはたくさんありますが、回路ブロック図は各々微妙に異なっていることが多いようです。積分器についてはボックスの中に∫の記号を入れたものが一般的です。上の①~③の疑問は、この図をいくら眺めていても、なかなか解答はやって来てくれないでしょう。実はこれらの疑問を解く大きな鍵は積分器の出力波形にあります。いかにもアナログとディジタルがミックスされたような波形ですよね。ということは積分器はアナログでありディジタルなのでしょうか?

いろいろと資料を調べていると、ひとつの論文に行き当たりました。シャープ(株)の技術者によって、自社の1ビットアンプ「SM-SX100」を紹介するために2000年8月に書かれたもので、これが多くの疑問に答えてくれていました。次回以降、この論文に沿ってΔΣ変調について考えていきたいと思います。

関連記事:
少し詳しいΔΣ変調② 始めにΔ変調ありき 2010-03-22
ΔΣ変調とAD変換 2009-09-02

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 刹那に生きる | トップ | 少し詳しいΔΣ変調② 始めにΔ変... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Z変換-離散 (kt)
2010-03-24 06:18:36
ども,ども,ktです。
いや~出張続きで,全く返答できませんでした。発展途上国のある国へいってました。宿泊中,停電が5回!日本ではあり得ない。 (^^;

え~と何を書けば良いのか... たくさんありすぎて困りますが,まず,私が思うに,ホロンさんとこの図を書いた方との大きな前提の異なりが見えます。それは,離散時間処理と連続時間処理です。ホロンさんはきっと連続時間処理を考えておられるのではないでしょうか?積分器も離散時間アナログ信号処理が可能で,スイッチドキャパシタ,スイッチドカレント等が用いられます。離散時間で表すと,どうしてもZ平面での話しになり,図のような表し方をしますね。一度,エクセルで,このプロセスを追いかけると理解が深まると思いますよ。
 もしかしたら解決済み? そのときはごめんね。
返信する
お帰りなさい(^^) (ホロン)
2010-03-24 21:06:18
たぶん、出張にでも行かれてるのかな~?なんて思ってたのですが、やはり、でしたね。お疲れ様です。
しかし、宿泊中に5回も停電があったとは、まさか、鬱蒼とした密林があるような国に行ってられたのでしょうか?

はい、ktさんのお話はよく分かります。標本化はされているけど、量子化はされていない信号ですね。つまり振幅はアナログのまま。一般のAD変換前段のサンプルホールドのようなものですね。しかし離散化はされているので積分器のアルゴリズムはディジタルフィルタで表されるのですね。
掲示板の方にもレスしますね。
返信する

コメントを投稿

電子回路」カテゴリの最新記事