
CR直列2段の特性計算は難しい、と尻込みすることはありません。
2次までなら淡々とやっていけば意外と簡単に解けたりします。
ではまず、CRCR2次フィルタの伝達関数を計算しましょう。
CRCRの2次フィルタは図のような回路ですね。2つの回路は同じもので視覚的に書換えてあるだけです。
それぞれの素子のインピーダンス(交流に対して電流を妨げる性質)は
R=R(Ω)
C=1/sC(Ω)
ついでに
L=sL(Ω)
よって本回路の入力E0からグランドまでの合成インピーダンスは
R1+(R2+1/sC2)(1/sC1) / (R2+1/sC2+1/sC1 )
[抵抗の直・並列計算ですね]
R1とR2の接続点電圧をE2とすると
E2=E0[{ (R2+1/sC2)(1/sC1) / (R2+1/sC2+1/sC1 ) }
/{R1+(R2+1/sC2)(1/sC1) / (R2+1/sC2+1/sC1 )}]
分母分子に (R2+1/sC2+1/sC1 ) をかけます
E2=E0{(R2+1/sC2)(1/sC1)}/{R1(R2+1/sC2+1/sC1 )+(R2+1/sC2)(1/sC1)}
分母分子に (sC1) をかけます
E2=E0 (R2+1/sC2) /{R1(sC1R2+C1/C2+1 )+(R2+1/sC2)}
分母分子に (sC2) をかけます
E2=E0 (sC2R2+1) /{R1(s^2 C1C2R2+sC1+sC2 )+(sC2R2+1)}
E2=E0 (sC2R2+1) /{(s^2 C1R1C2R2+sC1R1+sC2R1 )+(sC2R2+1)}
E2=E0 (sC2R2+1) /{s^2 C1R1C2R2+s(C1R1+C2R2+C2R1)+1}----- ①
フィルタ出力電圧をE1とすると
E1=E2 (1/sC2)/ (R2+1/sC2)
E1=E2 / (sC2R2+1)
これに式①を代入します
E1=E0 (sC2R2+1) /{s^2 C1R1C2R2+s(C1R1+C2R2+C2R1)+1}/ (sC2R2+1)
分母分子を (sC2R2+1) でわると
E1=E0 /{s^2 C1R1C2R2+s(C1R1+C2R2+C2R1)+1}
E1/E0=1 /{s^2 C1R1C2R2+s(C1R1+C2R2+C2R1)+1}----- ②解
この式②が伝達関数で、周波数特性(振幅特性、位相特性)を示しています。
ここで R1=R2 C1=C2 であれば
E1/E0=1 /{s^2 CRCR+s(CR+CR+CR)+1}
E1/E0=1 /{s^2 (CR)^2+s3CR+1} ----- ③解2
これは簡単になりましたね
振幅特性と位相特性を計算します。
s=jωとしてフーリエ変換する
E1/E0=1 /{(jω)^2(CR)^2+jω3CR+1}
このように複素数になりますから、絶対値を求めます。
E1/E0=1 /{-(ωCR)^2+jω3CR+1}
E1/E0=1 /{1-(ωCR)^2+jω3CR}
[E1/E0]=1 / √[ {1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 ] ----- ④
これが振幅特性です。
式④をエクセルに入力すれば図のような特性カーブが得られます。
(C1=C2=0.01μF R1=R2=35Ωとしています)
次に位相の計算(と言うほどのこともありませんが)
式④の分子が1の場合は
∠[E1/E0 ]=-tan(-1)(虚数部/実数部)
よって
∠[E1/E0 ]=-tan(-1)[ω3CR / {1-(ωCR)^2} ] ----- ⑤
これが位相特性です。
式⑤をエクセルに入力すれば図のような特性カーブが得られます。
(C1=C2=0.01μF R1=R2=35Ωとしています)
位相=-45°時点の周波数計算
-45°=-tan(-1)[ω3CR / {1-(ωCR)^2} ]
tan45°=ω3CR / {1-(ωCR)^2}
1=ω3CR / {1-(ωCR)^2}
1-(ωCR)^2=ω3CR
ω^2(CR)^2+ω3CR-1=0
2次方程式の、解の公式 {-b±√(b^2-4ac)}/ 2a より
ω=[-3CR±√{9(CR)^2+4(CR)^2}]/2(CR)^2
C=0.01μF R=35Ω であれば
ω=865k (rad/sec)
f=138k(Hz) ----- 解
カットオフ周波数(fc)の計算
fc における振幅倍率を-3dBとすると
1 / √[ {1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 ]=-3 (dB)
1 / √[ {1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 ]=1/ √2
√[ {1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 ]=√2
{1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 =2
{ (CR)^2ω^2 }^2-2(CR )^2ω^2+1+9(CR)^2ω^2=2
{ (CR)^2ω^2 }^2+7(CR )^2ω^2-1=0
解の公式 {-b±√(b^2-4ac)}/ 2a より
ω^2={-7(CR )^2±√[{7(CR )^2}^2+4(CR)^4 ]}/2(CR)^4
ω^2=[-7(CR )^2±√{49(CR )^4+4(CR)^4 }] /2(CR)^4
ω^2=[-7(CR )^2±√{53 (CR )^4 }] /2(CR)^4
ω^2={-7(CR )^2±(CR )^2 √53 } /2(CR)^4
ω^2={-7±√53 } /2(CR )^2
ω=√(-7±√53 ) / (CR )√2
ωc=0.375 / CR
fc=0.375 / 2πCR ----- ⑥
C=0.01μ R=35 であれば
fc=0.375 / 2π・0.01μ・35
fc=170.5kHz ----- 解
関連記事:
周波数変換(フーリエ変換)2009-07-12
部分積分(LCR回路)2009-08-04
2次までなら淡々とやっていけば意外と簡単に解けたりします。
ではまず、CRCR2次フィルタの伝達関数を計算しましょう。
CRCRの2次フィルタは図のような回路ですね。2つの回路は同じもので視覚的に書換えてあるだけです。
それぞれの素子のインピーダンス(交流に対して電流を妨げる性質)は
R=R(Ω)
C=1/sC(Ω)
ついでに
L=sL(Ω)
よって本回路の入力E0からグランドまでの合成インピーダンスは
R1+(R2+1/sC2)(1/sC1) / (R2+1/sC2+1/sC1 )
[抵抗の直・並列計算ですね]
R1とR2の接続点電圧をE2とすると
E2=E0[{ (R2+1/sC2)(1/sC1) / (R2+1/sC2+1/sC1 ) }
/{R1+(R2+1/sC2)(1/sC1) / (R2+1/sC2+1/sC1 )}]
分母分子に (R2+1/sC2+1/sC1 ) をかけます
E2=E0{(R2+1/sC2)(1/sC1)}/{R1(R2+1/sC2+1/sC1 )+(R2+1/sC2)(1/sC1)}
分母分子に (sC1) をかけます
E2=E0 (R2+1/sC2) /{R1(sC1R2+C1/C2+1 )+(R2+1/sC2)}
分母分子に (sC2) をかけます
E2=E0 (sC2R2+1) /{R1(s^2 C1C2R2+sC1+sC2 )+(sC2R2+1)}
E2=E0 (sC2R2+1) /{(s^2 C1R1C2R2+sC1R1+sC2R1 )+(sC2R2+1)}
E2=E0 (sC2R2+1) /{s^2 C1R1C2R2+s(C1R1+C2R2+C2R1)+1}----- ①
フィルタ出力電圧をE1とすると
E1=E2 (1/sC2)/ (R2+1/sC2)
E1=E2 / (sC2R2+1)
これに式①を代入します
E1=E0 (sC2R2+1) /{s^2 C1R1C2R2+s(C1R1+C2R2+C2R1)+1}/ (sC2R2+1)
分母分子を (sC2R2+1) でわると
E1=E0 /{s^2 C1R1C2R2+s(C1R1+C2R2+C2R1)+1}
E1/E0=1 /{s^2 C1R1C2R2+s(C1R1+C2R2+C2R1)+1}----- ②解
この式②が伝達関数で、周波数特性(振幅特性、位相特性)を示しています。
ここで R1=R2 C1=C2 であれば
E1/E0=1 /{s^2 CRCR+s(CR+CR+CR)+1}
E1/E0=1 /{s^2 (CR)^2+s3CR+1} ----- ③解2
これは簡単になりましたね
振幅特性と位相特性を計算します。
s=jωとしてフーリエ変換する
E1/E0=1 /{(jω)^2(CR)^2+jω3CR+1}
このように複素数になりますから、絶対値を求めます。
E1/E0=1 /{-(ωCR)^2+jω3CR+1}
E1/E0=1 /{1-(ωCR)^2+jω3CR}
[E1/E0]=1 / √[ {1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 ] ----- ④
これが振幅特性です。
式④をエクセルに入力すれば図のような特性カーブが得られます。
(C1=C2=0.01μF R1=R2=35Ωとしています)
次に位相の計算(と言うほどのこともありませんが)
式④の分子が1の場合は
∠[E1/E0 ]=-tan(-1)(虚数部/実数部)
よって
∠[E1/E0 ]=-tan(-1)[ω3CR / {1-(ωCR)^2} ] ----- ⑤
これが位相特性です。
式⑤をエクセルに入力すれば図のような特性カーブが得られます。
(C1=C2=0.01μF R1=R2=35Ωとしています)
位相=-45°時点の周波数計算
-45°=-tan(-1)[ω3CR / {1-(ωCR)^2} ]
tan45°=ω3CR / {1-(ωCR)^2}
1=ω3CR / {1-(ωCR)^2}
1-(ωCR)^2=ω3CR
ω^2(CR)^2+ω3CR-1=0
2次方程式の、解の公式 {-b±√(b^2-4ac)}/ 2a より
ω=[-3CR±√{9(CR)^2+4(CR)^2}]/2(CR)^2
C=0.01μF R=35Ω であれば
ω=865k (rad/sec)
f=138k(Hz) ----- 解
カットオフ周波数(fc)の計算
fc における振幅倍率を-3dBとすると
1 / √[ {1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 ]=-3 (dB)
1 / √[ {1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 ]=1/ √2
√[ {1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 ]=√2
{1-(ωCR)^2 }^2+(ω3CR)^2 =2
{ (CR)^2ω^2 }^2-2(CR )^2ω^2+1+9(CR)^2ω^2=2
{ (CR)^2ω^2 }^2+7(CR )^2ω^2-1=0
解の公式 {-b±√(b^2-4ac)}/ 2a より
ω^2={-7(CR )^2±√[{7(CR )^2}^2+4(CR)^4 ]}/2(CR)^4
ω^2=[-7(CR )^2±√{49(CR )^4+4(CR)^4 }] /2(CR)^4
ω^2=[-7(CR )^2±√{53 (CR )^4 }] /2(CR)^4
ω^2={-7(CR )^2±(CR )^2 √53 } /2(CR)^4
ω^2={-7±√53 } /2(CR )^2
ω=√(-7±√53 ) / (CR )√2
ωc=0.375 / CR
fc=0.375 / 2πCR ----- ⑥
C=0.01μ R=35 であれば
fc=0.375 / 2π・0.01μ・35
fc=170.5kHz ----- 解
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