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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

Δを循環する第3高調波

2009-09-26 02:10:11 | 電子回路
図は、三相交流電圧の降圧、昇圧を目的としてよく使用されるYΔ、ΔY変圧器のモデル図です。YY、ΔΔで構成される場合もありますが、そもそも変圧器は1次側の電圧を降圧あるいは昇圧することを目的とするもので、その意味において、YΔ、ΔY 構成は合理的です。以下にそのポイントについて記します。

YΔ、ΔY の合理性

① Y型の相電圧は線間電圧の1/√3であり、1次側Yと2次側Δの巻線比が1:1であれば、2次側の線間電圧は1/√3に降圧される。またΔ巻線の線間電流は相電流の√3倍である。つまり、YΔ型は1次側電圧を降圧し2次側から大きな電流を取出す場合に合理的な構成といえる。
②ΔY 型は YΔ型の逆説として、昇圧に対して合理的であることが理解できる。
③またYΔ、ΔYの大きなメリットは、「コアの磁気飽和」によって生じる第3高調波がΔ巻線に循環電流として流れることにより、純度の高い(歪みの少ない)正弦波を出力として取出せることである。

と、一般的によく説明されます。
①②はいいとして、なぜ第3高調波が循環電流になるの? なぜそれで出力歪が小さくなるの?って疑問が湧きません?私だけかな?(^^;

で、これも確認してみましょう。添付図の右端の「Δ結線」を参照してください。
ia ib ic は 図に示す相電流とします。

 iAはa端子からa相に入出する電流
 iBはb端子からb相に入出する電流
 iCはc端子からc相に入出する電流 とします。

もし、iaに3次高調波が含まれているとするなら次式のようになります。
(3次高調波が含まれなければiA=ia )

 iA=ia・sinθ-i3・sin3θ 
 iB=ib・sin (θ-2π/3)-i3・sin3(θ-2π/3)
  =ib・sin (θ-2π/3)-i3・sin3θ 
 iC=ic・sin (θ+2π/3)-i3・sin3(θ+2π/3)
  =ic・sin (θ+2π/3)-i3・sin3θ 

再度、並べて書けば
 iA=ia・sinθ-i3・sin3θ 
 iB=ib・sin (θ-2π/3)-i3・sin3θ 
 iC=ic・sin (θ+2π/3)-i3・sin3θ
 
変圧器から線間電流が流れるとき、a、b、c 相に3次高調波(i3・sin3θ)を含む相電流が流れます。しかし相電流に含まれる3次高調波電流は、各々振幅も位相も同じですからΔ結線内を循環し外部電線に入出しませんね。よって、abc端子から外部に出入するiA iB iCは、相電流から3次高調波が差し引かれ純度の高い正弦波になります。

[解説] そもそも相電流の位相差は、相電圧の位相差に起因します。つまり相電圧の位相差が端子間電圧となり、相電流が流れるわけです。ということは相間に位相差の無い3次高調波電流の端子間電圧はゼロ(端子間電圧に現れない)ということになります。

関連記事:
「相電流(相電圧)と線間電流(線間電圧)」2009-09-25
「三相交流(YΔ結線)」2009-09-25

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