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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

定電圧電源を作ろう④差動回路

2009-12-25 22:28:38 | 電子回路
「高性能定電圧電源の定番回路」

では先述の定電圧回路(制御)を一部修正してこの節を終えることにしましょう。まあ大したことではないのですが、先の定電圧回路はQRのIcがIeとしてツェナダイオードに流れ込みます。ツェナダイオードの電流変化はわずかですがツェナ電圧を変動させましたね。基準電圧が変動するのは定電圧回路にとって致命的です(と目くじら立てるほど大きな変動ではないですけどね。)よってツェナ出力にもエミッタフォロワを付けてツェナ電圧をできるだけ安定化させようということです。

はい、図の回路が定電圧電源回路のとりあえずの最終形態です。定番中の定番回路ですからこれもしっかりと目に焼き付けておいてくださいね。それから皆さんに一つだけ設問です。リファレンスの電圧は何ボルトですか?さてこの定番回路はQR1を追加しただけですね。このQR1については、先ほどツェナダイオードにエミッタフォロワを付けるとさらりと言ってのけました。しかしこの説明が第一義的に正しいのかそうでないのか実は筆者も「?」です。というのもQR1とQR2をこのように構成したものを「差動増幅回路」といってなかなか意味深で巧妙な回路なのです。この差動増幅回路に注目してみましょう。

例えばリファレンスの電圧が上がるとIc2が増えてその分Ieも増えてリファレンス電圧が変動してしまうのではないかという気がしますね。ところがそうはならないのです。Ieが増えればQR1、QR2のエミッタ電圧が上がりQR1のVbeが下がってIc1が減少し、その分Ieが減少して結果的にIeはほぼ一定値を保つのです。つまりIe=Ic1+Ic2で、Ieは一定値であり、Ic2が増加するとその分Ic1が減少し、Ic2が減少するとその分Ic1が増加するという動作をするのです。よってエミッタ電圧はほとんど変動しません。

ツェナ電圧=リファレンス=5.1Vの時Ic1=Ic2とすると、リファレンス電圧+αはIc2+α、Ic1-αとなり、QR1のVbとQR2のVbの差分αがQR2のVcとして出力されます。これが差動増幅回路といわれる所以です。

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差動増幅回路の妙② 入出力とゲイン
コメント (1)
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