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思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

タイマーIC 555を作ろう

2010-02-15 00:03:47 | 電子回路
有名なタイマーIC、NE555(LMC555)は、1971年にシグネティクスが世に送り出して以来、現在も広く使用され続けている、リニアICの傑作中の傑作と言われています。基本機能は単安定マルチバイブレータ(ワンショットマルチ)を高精度に実現するものですが、回路を組み合わせることにより、無安定マルチ、VF変換器、FV変換器、PWMコントローラなどを簡単に作ることができます。

で今回は息抜きというか、そのこと自体にあまり意味はないのですが、タイマーIC、555を作ってみようというものです。といっても、データシートに載っているブロック図の通りにコンパレータとRSフリップフロップを組み合わせるだけですが、作ることで555の理解が深まり、応用のアイデアも広がることと思います。

コンパレータには単電源駆動が可能なオペアンプLM358を用い、RSフリップフロップはスタンダードC-MOSの4011で構成しています。配線図付きの豪華版ですぞ。
(^^)

関連記事:555を使ったPWMコントローラ 2010-02-19
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フレームグランド(大地接地)の意味

2010-02-13 16:12:48 | 電子回路
「とある電子機器」のSGは金属ケースに接続されています。さて、この金属ケースをFGに落としますか?それとも落としませんか?仮にFG=0Vとした場合、金属ケースの電位は10Vかもしれないし、100Vかもしれないし、1000Vかもしれません。また10V~1000Vくらいを交流的に変動しているかもしれません。しかし「とある電子機器」は何ら問題なく動作します。FGの電位とは無関係にVCC-SG間の電圧はまったく変動しないのですから。しかし、人が裸足でFGの上に立っていれば、その人の電位は0Vです。この時、金属ケースが100Vだったとして、もしその人が金属ケースに触ったらどうなるでしょう?

当然、感電して電流が人を通ってFGに流れます。つまりどの様な電子機器であれ、その筐体をFGに落としておかなければ危険なのです。つまり、FG接地の大きな目的の一つは「感電防止」です。洗濯機のボディーをアース線で大地接地するのと同じことですね。もう一つノイズ対策にも実は大きく関わります。というのも、どのような場所であれ、静電誘導ノイズは多くの場合、大地電位を基準として発生するからです。ということは、電子機器の金属ケースや信号線のシールド線を大地に1点接地する(大地と同電位にする)ことにより静電誘導ノイズに対して遮蔽することになります。

しかしながら実際の現場では、この大地への1点接地がなかなか難しく、1点と思っていたものが信号線の先端で2点目が落ちていたり、確実な理想配線は難しいものです。よって現場でのノイズ対策はカット&トライとなることが多くなるのです。このような事情によりSGとFGを電線やコンデンサなどで接続すると、FGのノイズがSGを伝達して回路の信号にノイズを与えるという説を唱える人がいますが、ほとんど迷信です。SGとFGが同一ポイントで確実に1点接地されていれば、対ノイズ性は最も強固なものになります。

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静電誘導ノイズを考慮した接地設計 2010-03-07
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コモンモードチョーク 2010-02-10
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コモンモードチョーク

2010-02-10 02:02:35 | 電子回路
上の図はコモンモードチョークに同相電流を流した場合と、逆相電流を流した場合の比較です。同相入力の場合は各々のコイル電流によってコア内に発生した磁束が加算され、コイルは大きな誘導リアクタンスになります。一方、逆相入力の場合はコア内の磁束が相殺され、誘導リアクタンスは極めて小さくなります。つまり一本の電線と同じになります。これが、ノーマルモード信号は通過させてコモンモードノイズを除去する原理です。
(誘導リアクタンス:コイルの交流に対するインピーダンス)

誘導リアクタンス:ωL(Ω) ω=2πf(rad/sec)
[ちなみに 容量リアクタンス:1/ωC(Ω)]

コモンモードノイズに対してはLが非常に大きな値となり、ノーマルモード信号に対してはLが理屈上0になるということですね。

下の図は電源回路に応用した例です。コモンモードノイズはコモンモードチョークとC2を経てFGに流し、ノーマルモードノイズはノーマルモードチョークとC1によるLCフィルタで減衰させてしまおうというものです。

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ノイズのまとめ「伝導と放射」2010-02-08
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ノイズのまとめ「伝導と放射」

2010-02-08 23:09:07 | 電子回路
ノイズは電源ラインなどに乗って運ばれる「伝導ノイズ」と、空中を伝搬してくる「放射ノイズ」の2つに分かれます。そして、伝導ノイズは「ノーマルモードノイズ」と「コモンモードノイズ」の2つであり、放射ノイズは「電磁誘導ノイズ」と「静電誘導ノイズ」の2つです。

図を見てください。元電源であるDC100Vを負荷①と「とある電子機器」が共有しています。この状態で、負荷①の電源スイッチが「開」になると、開閉サージが発生し、DC100Vラインの磁界、および電界が急激に変化(つまり電流、および電圧が急激に変化)します。

この時、サージ電圧は「ノーマルモードノイズ」として伝導ノイズになります。また、磁界および電界の変化は「電磁誘導ノイズ」、「静電誘導ノイズ」として放射ノイズになります。この伝導ノイズと放射ノイズが「とある電子回路」と「ローカル回路」を脅かすことになります。

しかし、「とある電子回路」は十分なノイズ対策をしてあるので大丈夫。元々DC100V-100Nに乗っているコモンモードノイズはコモンモードチョークとコンデンサによってFGに流し、開閉サージによるノーマルモードノイズは、ノーマルモードチョークによって減衰させます。電磁誘導ノイズと静電誘導ノイズは、シールド線付ツイストペア線ががっちりとブロックするということですね。

関連記事:
コモンモードチョーク 2010-02-10
ノイズと対策 ツイストペア、シールド線 2010-02-05
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ノイズと対策 ツイストペア、シールド線

2010-02-05 23:56:30 | 電子回路
距離の離れた2つの回路間を電線で接続し、信号を送受信することを考えます。この時に問題になるのは、空中の様々なノイズ源から信号電線にノイズが侵入することです。これは信号電線の長さが長くなるほど大きな問題になります。

では、信号電線の近くに存在するノイズ源とはどのようなものでしょうか?先ほど空中の様々なノイズ源といいましたが、実は、端的に見るとノイズ源は2つであり、1つは磁界、もう1つは電界です。磁界は電流の周囲に発生し、電界は電圧の周囲に発生します(当然ながら、電流=0A:磁界=0、電圧=0V:電界=0です)。この電流および電圧の大きさが変化すると磁界と電界の大きさも変化し、この変化が信号電線にノイズを乗せるのです。また、磁界、電界の変化の速度が速いほど、つまり周波数が高いほどノイズは大きくなります。例えば、信号電線に沿ってAC100V3Aの電力線があることを想像してみてください。電力線からは磁界も電界もふんだんに放射されています。

電流の変化、つまり磁界の変化によって信号線が受けるノイズを「電磁誘導ノイズ」、電圧の変化、つまり電界の変化によって信号線が受けるノイズを「静電誘導ノイズ」といいます。一般的には、前者を「誘導ノイズ」後者を「静電ノイズ」と呼ぶことが多いようです。

しかし、信号電線もむざむざノイズにやられて黙っているわけではありません。皆さんも使い慣れている、ノイズに対抗する妙手があるのです。図を見てください。

一番上が平行2線の信号線であり、もっとも無防備な状態です。これでは誘導ノイズも静電ノイズももろに受けてしまいます。2段目がツイストペア線です。2本の線をツイストすることによって誘導ノイズを極端に小さくすることができます。しかし静電ノイズに対してはまったく無防備です。3段目は平行2線をシールド線で覆いました。シールド線は必ず信号グランド(電源グランド)に1点接地します。この場合は、静電ノイズを極端に小さくすることができます。しかし誘導ノイズに対してはまったく無防備です。そして一番下がツイストペア線をシールド線で覆ったものです。これは誘導ノイズ、静電ノイズ共に強力に遮蔽します。最も理想的な信号電線と言えるでしょう。

それから、このノイズ遮蔽能力はもう一点注目すべき特性があります。自らの信号電圧、信号電流によるノイズを外に出さないのです。つまり入りも出も遮蔽してしまうわけですね。先ほどのAC100V3Aの電力線もシールド付きのツイストペア線にしておけば、誘導ノイズも電界ノイズも空中に放出されることはありません。これに、シールド付きのツイストペア信号電線を沿わせれば、全体として完璧な配線になりますね。

【少し学術的な話】
電磁誘導ノイズを受けるということは、ノイズ源と磁気結合しているということです。これによって信号電線に発生する起電圧は e=L・di(t)/dt です。

静電誘導ノイズを受けるということは、ノイズ源と静電結合しているということです。これによって信号電線に発生する起電流は i=C・dv(t)/dt です。

【シールド線を電源側のグランドに1点接地する理由】
接地点のインピーダンス(抵抗値)が高ければ、電界によって帯電したシールド線から接地点に電流が流れ込むことによりシールド線に電圧が生じます(オームの法則)。よって接地点のインピーダンスは小さいほど良いことになります。電気回路において、最もインピーダンスの小さな点は、電源の(+)端子か、(-)端子のどちらかですね。

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ノイズのまとめ 2010-02-08
RS485(422)の結線 2009-10-18
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オペアンプ入門⑤応用2

2010-02-04 00:00:17 | 電子回路
ここまでくれば、もう縦横無尽にオペアンプ回路の設計ができるようになります。図にいくつかの応用例を示します。

左の回路は、反転増幅回路を設計する際に、入力インピーダンスを小さくすることなく、大きなゲインを得ることを目的としています。ゲインは-{1+(R2 / R1)}で計算され、この回路の出力は-10.1Vとなります。もちろん、ゲインの公式を知らなくとも、順を追っていけば出力電圧は求まりますよお。

右のような回路も作れますが、この回路図を一見して、あれ?入力端のプラス、マイナスが逆じゃない?と思われたのではないでしょうか。実はこれでちゃんとネガティブフィードバックになっているのです。オペアンプの出力電圧が上がれば、トランジスタのコレクタ電圧は下がります。つまりトランジスタは逆極性で動作しますので、オペアンプの+入力端にフィードバックすることによって、ネガティブフィードバックになるのです。

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オペアンプ入門④反転増幅回路と応用

2010-02-01 21:53:06 | 電子回路
今度は目標値を0Vに固定して、5kΩの片端からSin波電圧を入力してみます。出力は瞬時に反応し、-入力端が常時0Vを保つように制御電圧を出力します。入力が1Vの時は出力は-2V、入力が0Vの時は出力は0V、入力が-1Vの時は出力は2V、結果として図に見るような出力電圧となります。

入力に対して出力の正負が反転するので、これを反転増幅回路といいます。ゲインは、5kΩをR1、10kΩをR2とすると、ゲイン=-R2 / R1となります。この辺りももう楽勝ですね。
(^^)

[オペアンプ回路の応用]

【加算回路】
入力抵抗を3個付けて、それぞれ図のような電圧を入力しました。さて出力は何Vになるでしょう。結果として、出力は-6Vとなります(正負が反転していることに注!)。何故そうなるかは、順を追って考えて見てください。皆さんにはもう解けるはずです。各入力電圧の加算値が出力されるので、この回路を加算回路といいます。

【引算回路】(差動増幅回路)
この回路は+入力の電圧から-入力の電圧を引き算した結果が出力されます。よって出力電圧は2Vになります。何故そうなるかは、これも順を追って考えて見てください。まず、目標値(+入力端の電圧)が何Vなのかを求めることから始めます。この回路を引算回路、一般的には差動増幅回路といいます。

関連記事:
オペアンプ入門⑤応用2 2010-02-04
オペアンプ入門③非反転増幅回路 2010-01-27
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オペアンプ入門③非反転増幅回路

2010-01-27 22:33:31 | 電子回路
次に、前出の10kΩの抵抗を入れたフィードバック回路(ボルテージフォロワ)を少しいじってみましょう。

図のように、5kΩを追加してみました。さて、オペアンプの出力は何Vになるでしょう。オペアンプの出力は、とにかく+入力端の電圧と-入力端の電圧が等しくなったところで安定するのですから、出力がある電圧で安定しているとすれば、-入力端の電圧は2Vであるはずです。5kΩの片端は0Vですから、これはもうオームの法則で解けますね。

というわけで、オペアンプの出力は6Vになります。回路図で表す場合は、電源を省略して右の図のようにシンプルに書きます。この回路は、入力の2Vを3倍に増幅して出力する増幅回路といえます。この回路は一般に「非反転増幅回路」といい、ゲイン(増幅度)は、5kΩをR1、10kΩをR2とすると、

ゲイン= 1 +(R2 / R1)となります。

では次に+入力端に交流電圧を入力してみましょう。
+入力端に図のような1V(0-P)のSin波を入力しました。さて出力電圧はどのようになるでしょう。オペアンプの出力は電源電圧の範囲を自由に動いて、-入力端が+入力端と同じ電圧になるように変化しますから、-入力端の電圧(波形)も入力の電圧(波形)とまったく同じになります。とするなら、入力が1Vの時には出力は3Vとなり、入力が0Vの時には出力は0Vとなり、入力が-1Vの時には出力は-3Vとなって、右のSin波のような出力電圧になります。

ということで、ここでオペアンプとは何者か?ということについて簡潔に言い表すとすれば、「ネガティブフィードバックして使用する限り、+入力端の電圧を目標値として、目標値が静止していても変化しても、-入力端の電圧が目標値と同一電圧になるように制御電圧を出力する、目標値追値制御器である。」ということができます。私たちはこの制御電圧を入力に対する出力として利用し、高性能な増幅器などを構成できるのです。

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オペアンプ入門④反転増幅回路と応用 2010-02-01
オペアンプ入門②負帰還 2010-01-24
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オペアンプ入門②負帰還

2010-01-24 16:46:52 | 電子回路
さて、このような特性のオペアンプですが、いったいどのように使えば我々の役に立つのでしょうか。その方法はたった一つです。実は出力を(-)入力端に接続するのです。出力を(-)入力端に戻すので、これを負帰還(ネガティブフィードバック)といいます。ではさっそくやってみましょう。図をみてください。

出力を-入力端に直結した場合と、10kΩの抵抗を入れた場合の2種類を作ってみました。さて出力電圧はそれぞれ何Vになるでしょう。左の図で、仮に出力が3Vとすると、-入力端も3Vとなって出力は一気にマイナス側へ移動します。その結果出力が1Vになったとすると、-入力端も1Vとなって今度は一気にプラス側へ移動します。そして、出力が2Vになればどうでしょう。-入力端も2Vとなって+入力端と同じ電圧になります。つまりこの時には+入力端と、-入力端の差が0となり、出力電圧は2Vで静止し安定するのです。

では右の図の、10kΩを入れたほうはどうでしょう。先述のように、オペアンプの入力インピーダンスは∞Ωですから、出力電圧がどんな電圧であっても10kΩに電流は流れません。ということは10Ωの端子間電圧は0Vであり、この場合も左の図と同様、出力電圧は2Vです。さて、ではこの回路はどのように使われるのでしょう?下図をご覧ください。

「ボルテージフォロワ」
5Vで点灯するランプがあるとします。しかし、手持ちの電源は15Vです。そこで、抵抗を使って分圧し5Vを作りました。さて、この方法でランプは点灯するでしょうか?

左の図が抵抗分圧で作った5Vでランプを点灯させようとする回路ですが、これではランプに電流が流れていき、分圧の5Vが低下してランプは点灯しません。そこで、さっきのオペアンプ回路の登場です。オペアンプの入力インピーダンスは∞Ωですから、分圧の5Vが低下することはありません。また、出力インピーダンスは0Ωですから、ランプがいくら電流を流しても、出力の5Vも低下しません。というわけでランプは明るく点灯するのです。オペアンプのこの使用方法をボルテージフォロワといい、インピーダンス変換器としてよく用いられます。

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オペアンプ入門①理想オペアンプ 2010-01-19
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オペアンプ入門①理想オペアンプ

2010-01-19 23:47:57 | 電子回路
オペアンプは一般に上図のようなシンボルで表され、二つの入力端、出力端、+V電源供給端、-V電源供給端、の5個の端子をもっています。オペアンプの最も特徴的な性質を下記に示します。(理想オペアンプ)

① 入力端子の入力インピーダンスは+側、-側ともに∞Ωである。
② 出力端子の出力インピーダンスは0Ωである。
③ ゲイン(増幅度)は∞である。

入力インピーダンスが∞Ωというのはどういうことでしょう。左の図を見てください。電源電圧の15Vを10kΩと5kΩで分圧し、分圧電圧の5Vを+入力端に入れています。+入力端のインピーダンスは∞Ωですから、電流はまったく流れ込みません。よって、分圧電圧の5Vは電圧降下することなく、正確に5Vを保ちます。これは-入力端も同じです。

次に、出力インピーダンスが0Ωというのはどういうことでしょう。右の図を見てください。出力端が5Vを出力しているとして、10Ωの負荷抵抗を入れると500mAが流れ、1kΩの負荷抵抗を入れると5mAが流れます。このように出力電流がいくら変化しても、出力の5Vはまったく変化しません。これが、出力インピーダンスが0Ωであるということです。

最後に、ゲイン(増幅度)は∞というのはどういうことでしょう。下図を見てください。
電源は±15Vを与え、+入力端には2V、-入力端には例えば1Vを入力しているとしましょう。「オペアンプは+入力端の電圧から-入力端の電圧を引いた値に∞の倍率を掛け算し出力します。」図の例では、2V-1V=1Vですから、(1×∞)Vが出力される計算になりますが、出力電圧は電源電圧の範囲の値しかとれません。よってこの場合の出力電圧は+15Vでストップします。では、-入力端が3Vになったらどうなるでしょう。今度は出力が瞬時に-15Vになります。

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オペアンプとは何か? 2007-09-02
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反射と終端抵抗、周波数と電線長

2010-01-16 00:23:42 | 電子回路
一般に、終端抵抗(ターミネータ)は信号電圧の反射を防ぐために、ケーブルの先端部分に取り付けるものとされる。同軸ケーブルなら50Ωか75Ω、ツイストペアケーブルなら100~120Ωと抵抗値も決まっている。では、ケーブルの長さにかかわらず、また信号電圧の周波数にかかわらず、必ず反射が問題となり終端抵抗は取り付けなければならないのか?

この答えを得るために、多くの専門サイトを閲覧してみたが、どうにも明確な回答を見つけることが難しい。どうやらケーブルの「特性インピーダンス」というものと反射は関わっているようであり、またケーブルの長さにかかわらず「特性インピーダンス」は一定値であり終端抵抗は常に必要と説明されていることが多いようだ。

ところが、目から鱗というか、灯台もと暗しというか、フリー百科事典Wikipediaに、かなり明確な回答が記述されていた。以下に同記事を転載する。

(伝送線路と配線:Wikipedia)
【多くの電気回路において、素子に接続される配線の長さはほとんどの場合無視される。これは、ある時刻における、配線の電圧が全ての点で同一であると仮定することができるためである。しかし、信号電圧が配線を伝達するためにかかる時間と同じくらいの時間で変化する場合、配線長は重要となり、その配線は「伝送線路」とみなす必要がある。別の言葉で言うなら、配線長に相当する波長の周波数を扱う場合、配線長が重要となる。

経験則では、ケーブルや配線の長さが波長の100分の1を超える場合、これを伝送線路とみなさないといけない。この長さでは、位相の遅延や配線における「反射」における干渉も重要となり、伝送線路の理論を用いて慎重に設計されていない系の振る舞いを予測不能とする。

解析においては、伝送線路は2端子対回路モデルとして扱われ、これは図の様に表される。

最も単純な場合、伝送線路の回路は線形であると仮定する。すなわち、反射が無いと仮定した場合、両端子間の電圧は、その端子から流れ込む電流に、(複素成分も含め)比例する。この時、伝送線路が、その長さ全体において均一である場合、2つのポートは交換可能であると考えられる。すなわち、この振る舞いは、「特性インピーダンスZ0」と呼ばれる1つのパラメータで記載が可能である。この特性インピーダンスは、伝送線路上の任意の点において同一の波形である複素電圧波形と複素電流波形の比を表している。同軸ケーブルではZ0は50もしくは75Ωであることが多く、ツイストペア線は約100Ω、一般的な平行線は約300Ωである。

伝送線路に、電力を入力する場合、ほとんどの電力が負荷に到達し消費され、電源への反射が極小となるのが望ましい。これには、電源と負荷のインピーダンスをZ0にすることが必要であり、この場合、伝送線路は、「整合」していると言う。】

ケーブルの特性インピーダンスについては、多くの専門サイトが詳しく解説しているので参照されたい。

さて、このWikipediaの記述を読み解くと次のようになるであろう。
電線で出力端子と入力端子を接続することは、出力端子の電圧と入力端子の電圧を同時刻において等しくするということが、そもそもの目的である。例えばファンクションジェネレータの出力端子に1mの同軸ケーブルを接続して、100Hzの正弦波を出力した時、ファンクションジェネレータの出力端の電圧と接続した同軸ケーブルの先端の電圧は同時刻においてほとんど一致している。この場合は何ら問題ない。

しかし、電気の伝播速度を30万km/secとすると、正弦波が1MHzの場合、波長は300mであり(波長=300[m]/f [MHz] )、もしケーブルの長さが100m程度もあれば、出力端の電圧とケーブルの先端の電圧は同時刻において一致しない。この時、ケーブルはもはや単なるケーブルではなく「伝送線路」に姿を変えており、伝送線路とは「特性インピーダンス」である、と言ってるのである。そしてこの場合において反射による干渉が問題となり、特性インピーダンスと整合する終端抵抗を取り付けて反射の発生を防ぐ必要があるということである。また経験則として、ケーブルの長さが波長の100分の1を超える場合に、これを伝送線路とみなさなければならないとしている。つまり信号電圧が1MHzの時、出力端と入力端を3mのケーブルで接続した場合は、そのケーブルは伝送線路であり、よって終端抵抗をとりつける必要があるということになる。

また、以上は正弦波で考えているが、信号波形が矩形波の場合は奇数倍の高調波成分を含むため、1MHzであれば1mのケーブルでも伝送線路とみなす必要があるだろう。

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定電流②

2010-01-13 01:48:17 | 電子回路
一般的な小信号用トランジスタ2SC495Aの定電流特性を確認してみましょう。

右のグラフのIc=1mAの特性をみるとVce=45Vまでなかなかの定電流特性を示していますが、これではVceの最小値が分かりません。左のグラフのIc=20mAの特性を見ます。「定電流①」のトランジスタ回路のICよりも20倍大きな値ですがVce=0.6V~0.8V以上で定電流となっています。Ic=1mAならばVce=0.4Vを下回っても定電流を保っているかも知れませんね。

Ieはエミッタ抵抗で決まります。Icはコレクタ抵抗の影響を受けず、ひたすらIc=Ieの定電流であり続けます。このおかげで私達は電圧増幅回路のゲイン(増幅度)をRc/Reと簡単に決めることができ、またIcの値はエミッタ抵抗で自由に決めることができるので、Vcの動作点なども簡単に設計できるわけですね。Icを定電流にしてしまうトランジスタの機能ってホントに素敵でしょ?
(^^)

トランジスタ以外にはFETやMOS-FETもほとんど同じ機能を持つ定電流素子です。FETの和訳は「電界効果トランジスタ」ですから、トランジスタという名称に定電流という意味が含まれているのかも知れませんね。他にはCRD(定電流ダイオード)というものもありますが、これはダイオードというよりも、FETのG-Sを短絡したようなものです。

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定電流①

2010-01-08 21:30:31 | 電子回路
定電圧源があれば定電流源もあります。定電流源の回路記号は図のように瓢箪(ひょうたん)で表します。とにかく定電流なのですから、その意味は読んで字のごとく常に電流が一定なのです。仮に左図の電流源を1Aの定電流源とすると、R=10ΩならRの端子電圧、つまり定電流源の端子電圧は10Vです。100Ωなら100Vです。1Ωなら1Vです。そして0Ωなら0Vとなります。とにかく抵抗値がどんな値でも電流値は変わらず1Aなのです。ふむふむ、それがどうした。ってところですかな?

もう少し我慢して付き合ってください。定電圧源の内部インピーダンスは直列に入りましたが、定電流源の内部インピーダンスは右図のように並列に入ります。そして定電圧の場合とは逆に、抵抗値が大きければ大きいほどよい定電流源となります。
 
定電流:I=I1+I2ですからRiが大きいほどよいことは図から明らかですね。うん?わかんない?I2が一定だったらまだいいんだけど、Rの値で端子電圧が変動するとI2も変動してしまうわけですね。はてさて、この定電流という概念がなぜ私達にとって重要かというと、まず第一に私たちはもっぱらトランジスタを使うことになるからです。実はトランジスタは定電流を実現する代表格の素子なのです。

そのことによって電圧増幅など私たちにありがたい機能をたくさん提供してくれるのです。ではトランジスタの定電流機能を見ていきましょう。

さて下図の回路の場合、IEの電流値はいくらですか?これはもう、ちょちょいのちょいで1mAとなりますね。いまはIBは考えません。よってIE=ICです。このICが実は定電流なのです。コレクタ抵抗CR=10kΩとするとCRの両端電圧は10Vです。CRが1kΩなら両端電圧は1Vです。CRが100Ωなら両端電圧は0.1Vです。CRが50kΩなら両端電圧は50V...、ちょっと待ってください。それでは電源電圧を越えてしまいます。

そもそもICが定電流を保つためにはC-E間にある程度の電圧を必要とします。CR=10kΩの場合はコレクタ電圧が10VですからVce=9Vです。これは全然問題ありません。CR=18kΩの場合はVce=1Vとやや怪しくなってきます。

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スルーレート

2010-01-06 22:09:16 | 電子回路
オペアンプには「スルーレート」という応答速度を示す特性があります。スルーレートが大きいほど応答速度が速く高周波信号を処理することができます。理想オペアンプではゲイン=∞などといいますが、このスルーレートも∞が理想です。例をみてみましょう。

オペアンプをボルテージフォロワ(ゲイン:×1)とし、図のように直角に立ち上る電圧を入力した時、入力がそのままの形で出力されるのが理想応答です。しかし実際には応答速度は有限値であり、中段の図のような台形波となりスルーレートが大きいほど立ち上がりの角度が急峻になります。

スルーレートは1μsecあたりの立上がり電圧(V/μsec)で表します。右の図は左に比べてスルーレートが大きい例です。このような場合は1μsecあたりの換算値になります。概ね10V/μsecくらいでしょうか。左の方は4V/μsec程度ですね。

高速オペアンプの誉れ高いLF357のスルーレートは50V/μsec、汎用のLM741は0.7V/μsecとデータシートに記載されています。私がよく使うLM358はデータシートにスルーレートの記載がありませんでした。恐らくお話にならないくらい遅いのでしょうね。またLM358はマイクロパワーのオペアンプですからそんなことはハナから問題にしていないのでしょう。それでもボルテージフォロワなら1MHzくらいまでの信号は扱えるのです。

ちょっと冗長ですがスルーレートについては一般解説も載せておきます。以下はNECエレクトロニクスのホームページからです。

【スルーレートとは、大振幅のパルス波形入力に対する応答性を規定したもので、1μs当たりの出力電圧の変化量(単位:V/μs)で表示します。一般的にスルーレートはAv=1のボルテージ・フォロワ回路のパルス応答によって規定されています。図にμPC451のパルス応答特性を示します。

このスルーレート(応答性)が悪い場合、たとえばオペアンプに入力信号として10kHz以上の周波数の電圧を印加し、出力を数V以上の大振幅で動作させると出力波形が三角波のようになってしまう現象が発生します。さらに周波数を上げていくと急速に出力振幅が減少し、正常な特性が得られません。したがって、使用条件によって最適なオペアンプを選択することが大切です。】

NECのHPにしては説明が不適切ですね。日本語も下手くそです。ボルテージフォロワの動作で、たかだか10kHzのsin波入力が、三角波出力になってしまうような汎用オペアンプなんてあるのでしょうか。遅いLM358でも数100kHzくらいまではへっちゃらです。1mV(0-P)以下の入力信号で1000倍に増幅して出力するのならまだ話は分かりますが。

そうそう、さっきは無いと言いましたが、LM358のスルーレートがパルス応答特性として載っていましたので右隣に添えておきました。μPC451よりちょうど2倍速いですね。0.2V/μsecくらいでしょうか。因みに調べてみたところμPC451は+5V単電源使用のオペアンプでした。

関連記事:オペアンプとは何か? 2007-09-02
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FETの相互コンダクタンス(gm)

2010-01-03 03:16:47 | 電子回路
[知らなくてもいい話]

トランジスタの増幅率はhFE(直流電流増幅率)で示されましたが、同様にFETにも単体の増幅率を示すパラメータがあります。それがgm(相互コンダクタンス)です。hFEはトランジスタを語る上で欠くことのできないものですが、gmの場合はそれほど云々されません。というのもhFE=Ic/Ibは常に正比例の関係にあり設計計算が楽なのですが、gm=ΔId/ΔVgsは特性図に見るようにVgs(Id)の動作点をどこに取るかで変わるのです。

つまりhFEとgmは使われ方が逆で、hFEは回路を設計する折に必要ですが、gmは設計後に決まるわけです。gmはデータシートのId-Vgs特性とVgsの動作点から読み取ります。

2SK30AのId-Vgs特性をGRタイプで見て見ましょう。Vgs=-1.6VではΔId/ΔVgs=1、Vgs=-0.8VではΔId/ΔVgs=1.5くらいです。これは平均変化率ですから、Vgsの各ポイントにおけるIdの増分は接線の傾き、つまりgm=dId/ dVgs ということですね。

ということで、gmという言葉はもう忘れてしまいましょう。FETはIdssを実測してId-Vgs特性と照らし合わせて使ってください。

関連記事:
相互コンダクタンスとエミッタインピーダンス 2007-11-19
FETの話① 2009-12-07
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