electric

思索 電子回路 論評等 byホロン commux@mail.goo.ne.jp

静電誘導ノイズを考慮した接地設計

2010-03-07 21:21:22 | 電子回路
黒い点線で囲んだ部分が静電誘導ノイズ源です。静電誘導ノイズは図に示すように、多くの場合大地電位を基準(0V)として発生し、電子機器の各部に静電結合します。「静電誘導ノイズ1」は電源ラインのコモンモードノイズ、「静電誘導ノイズ2」は電源ラインのノーマルモードノイズ、「静電誘導ノイズ3」は信号線に結合している例です。

静電誘導ノイズを遮蔽する常套手段は、伝達したノイズを発生源に電流として戻すことです。よって大地接地は不可欠となります。本図の場合は電源フィルタのYコンデンサの中点と、回路電源のマイナス側をSGとして金属ケースに接続し、その接続点を大地に落としています。大地接地に用いる電線等は短く太いほど好ましいと言えます。

赤と青の点線でノイズ電流の経路を示しています。静電誘導ノイズ1~3によるノイズ電流のすべてがノイズ源に戻っていることを確認してください。

更に、回路電源のマイナス側をSGとして金属ケースに接続していることと、シールド線をSGに1点接続していることにはもうひとつの意味があります。これにより、信号線電位、信号帰線電位、その他回路素子の接続点電位が、SGに対して相対的に変動することなく固定されるのです。相対電位が変動しないということは、そこにノイズ電位が乗る余地が無いということですから、これも強力な静電誘導ノイズ対策になります。

まとめると、本図の対策は静電誘導ノイズをノイズ源に戻すことにより遮蔽し、更に回路とSG間電圧の相対変動をゼロに固定するという、2段構えの構成になっています。

関連記事:
製品に見るシールド線処理、接地方法 2010-03-12
フレームグランド(大地接地)の意味 2010-02-13

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 定電流負荷の動作点の妙 | トップ | 西本智実のドヴォルザーク「... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

電子回路」カテゴリの最新記事