紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

オルガンのトレーン、ヤングとのバトルが熱い!グラント・グリーン~トーキン・アバウト

2007-08-06 22:16:48 | ジャズ・ギター
いかにもブルーノートが育んだ、ブルージーなギタリスト「グラント・グリーン」が、オルガンのコルトレーン「ラリー・ヤング」と、これまたコルトレーン学校の校長、「エルヴィン・ジョーンズ」とのトリオで録音したのが、このハードなアルバムです。
サウンドは勿論、ギター&オルガンのブルージーな音色ですが、演奏は「コルトレーンイズム」が伝承されて、抜群にハードなビンビンくる熱演です。
昨日に引き続き、夏の夜の寝苦しさをぶっ飛ばしましょう。

アルバムタイトル…「トーキン・アバウト」

パーソネル…リーダー;グラント・グリーン(g)
      ラリー・ヤング(org)
      エルヴィン・ジョーンズ(ds)

曲目…1.トーキン・アバウト・J.C、2.ピープル、3.ルーニー・チューン、4.ユー・ドント・ノウ・ホワット・ラヴ・イズ、5.俺らは老カウボーイ

1964年9月11日

演奏について…まず、ディア・ジョン・コルトレーン的な驚異の名演は、表題曲の「トーキン・アバウト・J.C」で決定!!
「エルヴィン」のポリリズムドラムスに煽られ、「グリーン」はブルージーさは変えずに、しかしいつも以上にハードにギターをかき鳴らす。
「ヤング」は…筆舌し難い程の熱演・名演。
正しくオルガンを弾くライオン、オルガン界のトレーンの面目躍如で、ものすごいハードで、超絶技巧のオルガンサウンドがシャワーの様に降り注ぐ。
この1曲だけで名盤の仲間入りでしょう。

しかし、2曲目「ピープル」での、バラードチューンで今度は「グリーン」がやってくれる。
その演奏は、甘く切ないバラードではなく、かと言って激しいバラードでもない。
適度に知的で己を見つめれる様に礼節を重んじつつ、決めるフレーズはバシッと決めて、ブルージーな所では適度に情感を込めて、テクは勿論素晴らしく、中庸の美学的な渋いプレイをガッツリ演っているんです。

3曲目「ルーニー~」では、「ヤング」が跳ねて翔んで、縦横無尽に駆け巡る演奏をしますが、ホーンでは無いのでそこには苦しさはなく、遊び心や余裕も感じられる演奏です。
「グリーン」はサイドに徹し、「エルヴィン」は空間的なドライヴィングでサポートします。

4曲目「ユー・ドント~」では、「グリーン」がやや翳りのあるトーンで、渋みのある、しかしとてもロマンティックな音色で、美しいテーマを導く。
「エルヴィン」はブラッシュ・ワークで二人を優しく抱擁する。
そして「ヤング」は、ここではとても円やかで、暖色系のトーンで「グリーン」を包み込む。
この二人の優しさに癒されて、「グリーン」のカデンツァは飛んで行くが、とても叙情的で、カッ飛びではない。
その後の「ヤング」のカデンツァも控えめで、どこまでも優しい。
1曲目「トーキン~」が、男らしい剣豪の斬り合い演奏だとするならば、この曲はとても幻想的で、美女が主役のイリュージョン・ショーですね。
いずれにせよ、アルバム中2番目に指を折る名演です。

終曲「俺らは老カウボーイ」は、3人の絡み合いが良い。
サッカーに例えると、「グリーン」は個人技ドリブルでグイグイ弾き捲って突破し、「ヤング」はブロック・トーンからシングル・トーンへのサイドチェンジ攻撃で相手のディフェンダーを切り崩し、「エルヴィン」は、おかず満載のすごテクで直接フリーキックを決めて応酬する。

このワールドカップは、2対0で完勝です。