紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ジャズ界の超新星、上原ひろみのセカンド・アルバム「ブレイン」

2007-08-26 23:11:56 | ジャズ・ピアノ・ソロ~トリオ
いやー、すみません。
ここの所、仕事が忙しくお疲れモードなのにプラスして、テレビで、バレーとか水泳とか、世界陸上とかのスポーツや、近年話題作の映画、諸々が多くて、毎日見てしまって、ブログが更新し難くなってます。
それにも増して、仕事から帰って、夜中にパソコンに向かいっぱなしで、夫婦の会話も少なくなって、(妻)からも苦情が出ています。(苦笑)。。。

そんな訳で今後ブログを「毎日更新」して行くのは難しそうですが、出来るだけ頑張りますので、宜しくお願いします。

今日紹介のアルバムは、一寸前に話題になった名盤、新進の邦人女流ピアニスト、「上原ひろみ」のセカンドアルバムです。

アルバムタイトル…「ブレイン」

パーソネル…リーダー;上原ひろみ(p、keys)
      アンソニー・ジャクソン(b) ※2、5、8、9曲目
      トニー・グレイ(b) ※1、3、4、7曲目
      マーティン・ヴァリホラ(ds)

曲目…1.カンフー・ワールド・チャンピオン、2.イフ…、3.ウィンド・ソング、4.ブレイン、5.デザート・オン・ザ・ムーン、6.グリーン・ティー・ファーム、7.キートーク、8.レジェンド・オブ・ザ・パープル・ヴァレー、9.アナザー・マインド

2003年12月9日~11日 1~8曲 テネシー州「サウンド・キッチン」録音
2003年12月1日 大阪ブルーノートにて ライブ録音

原盤…TELARC CD-83600 販売…ユニバーサル・ミュージック
CD番号…UCCTー1990

演奏について…圧倒的なパフォーマンスで、オープニング曲「カンフー・ワールド~」から演奏が始まる。
正統的?なピアノジャズを期待すると、アララと思うが、このハードなロック?フュージョン?いやー、「テクノ」演奏は悪くない。
ベースの「グレイ」の硬派な弾きっぷりがこのサウンド(演奏)の肝となり、ぐいぐいと引っ張る。
「上原」もハードなピアノから、前衛的なキーボードにチェンジし、カンフーの痛快さとスピード感を見事に表現している。
二人を繋ぎ合わせている、ドラムス「ヴァリホラ」の、空間を司るタイムキーピングとタイトなドラミングも抜群のテクニックで聴き物。

2曲目「イフ…」はがらりと変わって、ミドルテンポの正統的な4ビートジャズが展開される。
タイトに締まった音色で、スーパー・ベーシスト「アンソニー・ジャクソン」が、ガツッとカッコイイベースを決めて、「上原」はハイセンスなピアノアドリブを奏でる。
私、性差別などをするつもりは毛頭無いが、ここでのピアノも迫力満点で、マッチョな男性ピアニストが弾いている様な錯覚を起しそう。
繊細なシングルトーンと、マッシブなブロックコードの対比が良いねぇ。

3曲目「ウィンド・ソング」…曲調の最初のイメージは、「ジョージ・ウィンストン」か「加古隆」の、ロマンティックなピアノ演奏です。
「上原」は、ここではとても女性らしい繊細な演奏で、マッシブでパワフルなピアノを奏でるだけではない、演奏表現の多面性を見せつける。

4曲目、タイトル曲「ブレイン」…この曲こそ、「上原」が目指してしる音楽、「ジス・イズ・ワールド・オブ・ウエハラ」でしょう。
ドビュッシーの様な、印象派?のキーボードによる、不思議音楽から曲は始まる。
その後、エキゾチックなメロディ・テーマを、アコースティックピアノに変えて、素晴らしいアドリブソロで、変幻自在に展開して行く。
急速調の部分は、まるで「チック・コリア」の様な、超絶技巧で弾きまくる。
緩小節では、繊細に軽やかな美音で仕上げて行き、最後はまた冒頭の不思議音楽に戻ってフィニッシュとなる。
「上原ひろみ」…何と言う恐るべし、才能溢れるピアニストだろう。

5曲目「デザート・オン~」…個人的には4曲目と同率首位の名演奏だと思う。
ややハイテンポなチューンで、ピアノトリオの規範的な演奏がなされる。
ここでの「上原」は、仮想「ビル・エヴァンス」になって、ハイセンスのアドリブを縦横無人に弾きまくる。
当然、バックの二人、「ジャクソン」と「ヴァリホラ」も、仮想「エヴァンス・トリオ」の「ラファロ」と「モチアン」みたいに素晴らしいトリオ演奏をして、彼女を完璧にサポートする。
現代の「ザ・トリオ」の名演奏ですね。

6曲目「グリーン・ティー~」…この曲も「上原」の才能を見せ付ける1曲で、ロマンス・フィーリングが漂う、ピアノソロ曲です。

ハードなフィーリングのフュージョン系の7曲目「キートーク」、上品なフィーリングのピアノ・タッチで、トリオが渾然一体となる8曲目「レジェンド~」と、「上原」のピアノ・ワークも素晴らしいが、「グレイ」「ジャクソン」のそれぞれのベーシストの秀逸な演奏テクニックも最高レベルの演奏です。

日本盤にのみ収録された、ボーナス・トラック「アナザー・マインド」は、大阪ブルーノートでのライブ録音だが、「上原」は、ダークな音色のトリオ演奏が序奏でなされ、中途では、センチメンタルな叙情性たっぷりなアドリブソロを奏で、ライブ演奏が高揚を見せ始める。
ここから、「上原」はアバンギャルドな演奏を始めて、「ヴァリホラ」は、シャープで、飛び切りクールな感覚のドラムで皆を鼓舞し、「ジャクソン」も応えて、グイグイドライヴして行く。
見事なトリオ演奏が形成されてエンディングを迎える。

これは「上原ひろみ」の2枚目のアルバムだが、彼女の音楽的な懐の深さ、根底に持っている多種多様の音楽コンセプト、そして表現を可能にする確かなテクニックと、この後の演奏活動、アルバム制作について、大きな期待が持てるアーティストだと思う。
「上原ひろみ」…恐ろしいタレント(才能)のミュージシャンです。




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2 コメント

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良いですよね、ひろみちゃん。 (garjyu)
2007-08-30 22:11:06
遅いコメントで、すいません。

上原ひろみ良いですよね。
最初 Time Controlを聴いて、ぶったまげ、その勢いで、今手に入るCDは全て買ってしまいました(DVD付のSpiralも良かった。彼女の笑顔は最高です。)。ジャズというジャンルの音楽かどうかはさておき、今、私のなかでは、最も旬なミュージシャンです。

http://garjyu.at.webry.info/200704/article_29.html
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遅レス大歓迎です(嬉) (えりっく$Φ)
2007-09-01 01:07:53
本当に「上原ひろみ」良いですね。
garjyuさんの解説を読まさせて頂きました。
とても、感動された様子が良く分かり、私も「上原ひろみ」…これから、ハマリそうです。
実は、恥ずかしながら、彼女のアルバムはこの1枚しか持っていませんので、これから「お小遣い」が貯まったら、少しずつ購入して行きます。
独身の頃は毎月数十枚、CD&LPを買ってましたが、最近は(妻の眼も怖く)月にほんの数枚しか、買えません。。。トホホ。。。
まぁ、それでも現在、2千600枚程度は、CD&LPで持っているので、できるだけ、それらを再掘して、今後も紹介して行きます。
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