紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

サックス職人の隠れ名盤…ソニー・スティット~コンステレイション

2007-08-11 23:38:26 | ジャズ・アルト・サックス
ジャズの歴史を作ったり、自己確立(スタイル)をする為などに、決して身を置かなくとも、私達ジャズ好きの記憶に残る名プレイヤーが、「ソニー・スティット」であり、彼の隠れ家的名盤が、今日紹介するこのアルバムです。

アルバムタイトル…コンステレイション

パーソネル…リーダー;ソニー・スティット(as、ts)
      バリー・ハリス(p)  
      サム・ジョーンズ(b)
      ロイ・ブルックス(ds)

曲目…1.コンステレイション、2.ゴースト・オブ・ア・チャンス、3.ウェッブ・シティ、4.バイ・アクシデント、5.レイズ・アイディア、6.カスバ、7.イッツ・マジック、8.トプシー

1972年6月27日録音

新基本データ→音源…旧コブルストーン・レーベル、アメリカ・ミューズ原盤
視聴アルバム…SME・Records 
CDナンバー…SRCS 9556

演奏について…まず一言で言って、ジャズの世界的なムーブメントとして、「エレクトリック・マイルス」に端を発して、このアルバムが録音された時代は、まさに「フュージョン」全盛期であるが、流石「ソニー・スティット」…時代に感化されず、ストレート・アヘッドなバップジャズを、バックの3人の名人と共にガッツリと演奏していて、実に気持ちが良い。
演奏曲で言うと、彼の人生の一部の様な「パーカー作品」や「タッド・ダメロン」「バド・パウエル」の作品(ビ・バップ&ハード・バップ仲間)の作品が多く有る中で、オリジナル曲の4曲目「バイ・アクシデント」が最高に決まっている一曲です。
とにかく「スティット」の溢れ出てくるアドリブの名フレーズの連続に、そしてガッチリガードを固める脇役3人のサポートに感激を受けるでしょう。

アルバムタイトル曲「コンステレイション」…似非パーカーとも言われた「スティット」が、本家の作品を迫真のアドリブを奏でて、ある意味本家を(超えた)演奏が抜群です。
「ハリス」もとてもバッピシュな演奏で、それに応える素晴らしい演奏です。

「ダメロン」作の「カスバ」は、ラテン好きな私には、とても心地よい曲で、ここでは、「ハリス」が洒落てハイセンスなシングル・トーンのアドリブを演奏する。
「スティット」はかなり寛ぎの演奏をするが、ラテンリズムをバシっと決める「ジョーンズ」と「ブルックス」のリズム演奏も乗っていてgoodです。

2曲目「ゴースト~」と、7曲目「イッツ・マジック」では、「スティット」がアルトで、とても叙情的なバラードを歌わせる。
ヒッピーでグロテスクでサイケデリックな時代から、アメリカ黄金の50年代へ、一気にタイムスリップした様な、とてもロマンティックな名演です。
音色としては、「ホーキンス」を彷彿とさせますね。
「ケーリー・グラント」か「ハンフリー・ボガード」が、美女と、バーボンorドライマティーニを洒落たバーで引っ掛けている様子が眼前に浮かびます。

終曲「トプシー」…個人的に大好きな名曲で、とにかく「カッコ良い」の一言。
「スティット」の硬派な吹きっぷり、「ブルックス」のぶっ飛びドラム、この二本柱の演奏を、飾り付ける「ハリス」のアドリブの煌めき、そして「ジョーンズ」の実直なサポートと、完璧な1曲です。