紫のオルフェ~何でもかんでも気になる音楽、名曲アルバム独り言

ジャズ、ラテン、クラシックを中心として、名曲、アルバム演奏者を紹介します。&私の独り言を…

ザ・ケリー・ダンサーズ~ジョニー・グリフィン

2007-08-13 23:24:09 | ジャズ・テナー・サックス
リトル・ジャイアント、「ジョニー・グリフィン」が、各国のフォーク・ソングを題材にして、「バリー・ハリス・トリオ」をバックに従えて?豪放且つ叙情的なテナーをブロウしている、傑作アルバムがこれです。

アルバムタイトル…ザ・ケリー・ダンサーズ

パーソネル…リーダー;ジョニー・グリフィン(ts)
      バリー・ハリス(p)
      ロン・カーター(b)
      ベン・ライリー(ds)

曲目…1.ザ・ケリー・ダンサーズ、2.ブラック・イズ・ザ・カラー・オブ・マイ・トゥルー・ラヴズ・ヘアー、3.グリーン・グロウ・ザ・ラッシェズ、4.ザ・ロンドンデリー・エア、5.25 1/2デイズ、6.オー、ナウ・アイ・シー、7.ハッシャバイ、8.バラッド・フォー・ムッシュ

1962年1月29日(1、4曲) 1961年12月21日(2,6,7曲)
1962年1月5日(3,5,8曲) NYCにて録音

音源…リバーサイド、ビクター・エンターテインメント発売
CDナンバー…VICJ-5139

演奏について…まず、大好きなこの1曲、7曲目「ハッシャバイ」は最高です。
「カーティス・フラー」の「ブルースエット」の「ラヴ・ユアー・マジック~」にくりそつなメロディで、豪快且つ叙情的なアドリブで、この佳曲を歌い上げる「グリフィン」に、バックもハードバップの名残か?「ハリス」のマイナー調のメロディを奏でるシングルトーンも美しく、「ライリー」のおかずパートも好ましく、「カーター」もそこここで、ベースソロをブイブイ言わしていて、4人が渾然一体となった名演奏です。

次いで2曲目「ブラック・イズ~」は、スタートでは情感たっぷりなメロディで「グリフィン」が演り始める。
「ライリー」は品格あるブラッシュワークで、「カーター」は締まった音色のベースでこれを支える。
そして「ハリス」は、メロディを飾る様にアドリブを被せて、更に曲を彩る。
すると、「グリフィン」が、いよいよ伝家の宝刀「グリフィン節」を抜き、曲は最高潮達する。
しかし、流石「グリフィー」…どこまでも歌心は忘れずに、そして、ダンディズムの極みのバラッドが完成を見せる。

4曲目「ザ・ロンドンデリー~」では、「ハリス」が魅惑のメロディで序奏を弾くと、「グリフィン」がまたも優しきテナーを朗々と吹き続ける。
この曲では、とにかく「ハリス」が非常にリリカルなアドリブソロを連発する所が最高の聴き所でしょう。
リズムの二人は、慎ましいぐらいにとても控えめな演奏だが、逆に自己主張出来ているのは、流石ですね。

8曲目の静寂のバラッド演奏も良いですよ。
「コルトレーン」の「バラード」程、気高くは無い物の、「グリフィン」もとても良く歌わせた、そして優しき音色で、労わる様なメロディを紡ぎ、バック3人は同じく優しき調べで演奏の脇を固める。

タイトル曲「ザ・ケリー・ダンサーズ」では、「グリフィン」は、端からガンガン吹くと言うスタンスでは無く、かなり余裕を持ったスタートで朗々と吹き始める。
しかし、ベースの「カーター」が、ガッツリとラインを野太く弾いてからは、「ハリス」はバッピシュな演奏で洒落を語り、「グリフイン」も高揚して来る。
いかにも「チャーリー・パーカー」縁の曲&演奏と感じるでしょう。

5曲目「25 1/2~」は、アルバム唯一のブルース演奏だが、「グリフィン」のブルース良いねぇ。
元来ブルース吹きでは無い彼だが、思い切り吹き切った演奏に魅力が感じられる。
「ハリス」も他曲とは一線を画して、非常にブルージーなトーンのアドリブをかまし、「グリフィン」は、ハイトーンでガンガンブローイングして、感情を押さえたフォークソング演奏から解放されて?、豪放テナーを吹き捲る。

6曲目「オー、ナウ~」は「グリフィン」オリジナルのバラード曲だが、とても渋く決めた「グリフィン」が、超カッコイイんだなぁ。
「ハリス」も、ここではモーダルなサイドメン演奏をして、更に渋く決めている。
「カーター」の後半のボウイングも渋いねぇ。