喫茶 輪

コーヒーカップの耳

『芦屋芸術』20号

2024-06-18 09:53:33 | 

芦屋の詩人山下徹さんからお贈りいただいた。

『芦屋芸術』20号。

詩が主だが、散文もあって167ページと重厚感がある。

パラっとめくったところに目に留まった山下さんの詩。

 

     「不透明になった」

    Ⅰ

   出来るだけ

   この世の塵を払い

   身を軽くして

 

   旅立ちたい

 

    Ⅱ

   文字を書くことは

   塵を払うことだろうか

   あるいは

   この世に 余分な塵を積むことだろうか

 

    Ⅲ

   塵を払おうとして

   塵が積もった

 

   透明になろうとして

   不透明になった

 

わが身に代えてなんか考えさせられる詩です。

 

散文では榎本三知子さんの「遠い日のことを思い出して」に注目。

中の一行に《昭和十八年、小学校(当時は国民学校と言った)に入学した。》とあって、その当時の思い出を書いておられる。

なんでもないような個人的なことが書かれているその中に、貴重な証言が含まれている。

因みに昭和18年はわたしの誕生年だ。

二篇の思い出が語られているが、どちらも素朴に書かれていて好感が持てる。

 序文のような文章が添えられている。

  ――脳内の小さな箱に隠し持ってきたもの

    折に触れて その箱のふたがずれて出てくるものがある

    今まさに行われているかの如き クリアーにその情景が浮かぶ――

 

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