江口節さんからお贈りいただきました。
江口節詩集『扉が開くと』(編集工房ノア刊・2200円(税共)。
カバー装画は坪谷令子さん。
灰谷健次郎さんの本の挿絵を描いておられましたね。
また雑誌「輪」の同人だったかな?
「喫茶・輪」の店名は、その同人誌からヒントを得たものでした。
そのこと後に伊勢田史郎さんにお話をしたことでした。
先ず「あとがき」を紹介しましょう。
清らかな「あとがき」ですね。
江口さんのザックリとした詩の歴史がわかります。
「あとがき」を含めて85ページ。比較的短い詩が並びます。
読ませていただきましたが、これまでの江口さんの詩よりも力が抜けたような書きぶりに思えます。
これはわたしの個人的な感じです。ま、元より江口さんは力んで詩を書く人ではなかったとは思いますが。
二篇紹介しましょう。
「スキージャンプ」です。
わたしはこの詩から杉山平一先生の詩を連想しました。鮮やかですね。
これは「記念日」。
あたたかな時の流れを感じます。
ほかの作品にも触れておきます。
「彼方から」。CT検査がモチーフになっています。
わたしもよく経験する、というよりごく最近も体験しました。
あの機械(江口さんは「釜」と表現しておられます)の中に入った時、これは詩になると思うんですよね。心に留めておこうと思うんです。でもわたしにはなかなか難しくて、江口さんの手腕に敬服します。
次の「世界」も検査がモチーフ。こちらは緑内障視野検査がユーモアも交えて書かれています。
わたしは経験ないのですが、いかにも、と想像が出来ます。詩人の力でしょうね。
「日暮れ眼鏡」も面白かったです。「人生の折り返し点は とうに過ぎた」と始まりますが、軽く仕上げておられて好感が持てます。
ほかにも「杏」ユーモアが漂っていて好きでした。
江口さん、好感度抜群の詩集、ありがとうございました。どうかお元気で。