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コーヒーカップの耳

「図書」のさだまさしさん

2019-11-29 23:10:50 | 本・雑誌
さだまさしが岩波の「図書」に連載していた「さだの辞書」というエッセイがこの12月号で最終回だった。
いつも興味深く読ませてもらっていた。
今回は「タロー・目が点・広辞苑」というタイトルで書かれていた。
「広辞苑」第5版に”目が点になる”が取り上げられたとき、さだのまわりは騒然となったと。
実はこの”目が点になる”は、さだのバックバンドのギタリスト、福田幾太郎(タローちゃん)が言い出し、それが広まったとのこと。その福田は最初、さだの音楽を理解していなかった。ところがさだが無理やり聞かせたカセットテープを聴いて、《「僕さ、君のこともグレープのこともよく知らなくてさ」と言い訳をするように口の中で小声で言った。》
それから、さだのアルバムのテープを全部聴いたというのだ。
それからは「さだ命」のような関係になる。そしてついにこんな言葉を福田は口にする。
「万が一、君が世界中を敵に回しても、僕は君の味方だから」と。
そういうなり彼はくるりと向きを変え、振り返りもせずに消えていったのだと。
それからわずか九日後、タローちゃんは突然交通事故で世を去る。
それから三十余年、さだは、世の中に批判されたときも、借金苦で悩んでいる時も、悲しい時も苦しい時も彼のその言葉に支えられて生きてきたと。
《そうして今でも見知らぬ誰かが”目が点になる”と言っているのを聞く度に、照れ笑いのタローちゃんが僕の前に現れるのである。タローちゃんは今「広辞苑」の中に棲んでいる。》
わたしの下手な要約だが、全文読めば感動は深いです。
さださん、さすがに上手いですねえ。
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