★ 私のクラシック音楽館 (MCM) ★ 蔵 志津久

クラシック音楽研究者 蔵 志津久によるCD/DVDの名曲・名盤の紹介および最新コンサート情報/新刊書のブログ

●クラシック音楽●新刊情報

2024-06-18 09:44:52 | 新刊情報



<新刊情報>




書名:指揮者 小澤征爾~世界のOZAWA 軌跡と継承~

編者:音楽之友社

発行:音楽の友社(ONTOMO MOOK)

 2024年2月6日、世界的指揮者の小澤征爾が逝去した。享年88。1959年ブザンソン国際指揮者コンクール優勝以降、次々と世界の名門オーケストラの音楽監督を歴任、2002年にはオペラの殿堂であるウィーン国立歌劇場の音楽監督に東洋人として初の就任を果たすなどして、世界のクラシック音楽界の頂点に上り詰めた。一方、新日本フィルの立ち上げ、サイトウ・キネンオーケストラの結成、水戸室内管弦楽団での総監督を務めるなど日本でも精力的に活躍。また、教育活動にも精力的に取り組み、小澤征爾音楽塾、小澤国際室内楽アカデミーなどで後進の指導にあたった。日本が誇る世界のOZAWAの八面六臂な活動を追い、次世代への継承を紹介する。ウィーン国立歌劇場、ウィーン・フィル、ベルリン・フィルでの公演データ、ディスコグラフィ付き。【目次]】序章 巻頭言 片山杜秀/略年譜 第1章 挑戦と飛躍 アメリカ名門オーケストラでの活躍 第2章 世界の頂点 ウィーン国立歌劇場音楽監督、ウィーン・フィル、ベルリン・フィル 第3章 日本での活動 世界に通用するオーケストラを。教育活動への情熱的取り組み ディスコグラフィ


書名:史料で読み解くベートーヴェン

著者:大崎滋生

発行:春秋社

 ベートーヴェンの伝記や作品史を構成してきた数々の逸話と対峙し、史料を通じてその真実性をあらためて検討する。虚飾や誇張、思い込みや誤解によって、「楽聖」というクリシェとともにひとり歩きしてしまった「孤高の天才芸術家」という虚像――巧みな演出によりその虚像を作り出したシンドラーや、それに翻弄され続けた多くの研究者たちの言説を、書簡や会話帖を活用して徹底的に検証し、フランス革命前後の激動の時代、政治・社会情勢に翻弄されながら、雇い主なきフリーランスの芸術家として、金銭問題や人間関係をどうにかやりくりしつつ、作曲から出版にいたる創作活動を続けた、等身大のベートーヴェンの生き様が、より高い精度で立ち現れてくる。「ベートーヴェン像再構築」「ベートーヴェン完全詳細年譜」を経た著者が、ベートーヴェン研究の核心にあらためて一石を投じる。


書名:近衞秀麿の手形帖~マエストロの秘蔵コレクション~

監修:近衞音楽研究所

発行:アルテスパブリッシング

 フルトヴェングラー、ストラヴィンスキー、シャリアピン、ストコフスキー……大音楽家70人の手形を原寸大・オールカラーで観る!日本楽壇の父、近衞秀麿が蒐集したコレクションを一挙公開。巨匠たちの素顔がよみがえる!表紙に「Forget Me Not」という題字の記された3冊の手形帖──。指揮者・作曲家として、黎明期の日本楽壇を牽引した近衞秀麿(1898–1973)は、交流した音楽家たちにこの手形帖を渡し、そこに手形とメッセージを残してもらうことを生涯の愉しみとしていた。同書は、近衞が1935年(昭和10)から1971年(昭和46)まで、戦前から最晩年まで36年間にわたって蒐集しつづけた大音楽家たちの手形70点を、関連資料とともに収載したものである。「日本楽壇の父」と崇められながら、ひとりの音楽愛好家として巨匠たちへの憧れを隠すことのなかった近衞のコレクターとしての姿と、20世紀の巨匠たちの素顔が垣間見える貴重なコレクションである。【近衞秀麿(このえ・ひでまろ、1898-1973)】1898年、 貴族院議長および学習院院長を務めた近衞篤麿の次男として東京に生まれる。異母兄は日本の総理大臣を務めた近衞文麿(1891-1945)。今日のNHK交響楽団の前身である新交響楽団を結成し、日本の交響楽の普及・発展の基礎を確立する一方、ベルリン・ フィルハーモニー管弦楽団やフィラデルフィア管弦楽団など欧米各地のオーケストラを指揮し、国際的な評価を得た。また、フルトヴェングラーやストコフスキーといった指揮者、リヒャルト・シュトラウス、 シベリウス、ストラヴィンスキーといった作曲家たちと親交を結び、 近衞との交流を通して来日した音楽家も少なくない。


書名:音楽を信じる~We believe in music!~

著者:村井邦彦

発行:日本経済新聞出版

 教科書にも載っている国民的愛唱歌「翼をください」で知られ、数々の個性的な名曲で歌謡曲に新風を吹き込んだ作曲家が、デビュー間もない24歳で音楽出版社「アルファミュージック」を旗揚げする。高校生だったユーミンの才能を見出し、今や世界の若者が「シティポップ」としてもてはやす質の高い楽曲やコンセプトアルバムを次々と世に送りだし、アメリカのレコード会社と契約を結んで、YMOの世界進出を成功させる。その多面的な活躍を貫く「村井邦彦」の美学の源泉が、同書の此処かしこから顔をのぞかせる。80年に及ぶ半生の時々の出来事を、カメラで活写するようにつづった自伝は、新しいカルチャーの勃興期に誰と誰が出会い、そこでどのような化学変化が起きたかがみずみずしく描かれており、時代を経ていささかも古びることはない。平成から令和にかけて登場したミュージシャンにとって、あたりまえのスタンダードが実はいかに新しく過激なものであったか、そのことを新たに発見する書になるであろう。あこがれからではなく、最初から等身大で欧米とフランクに向き合えた人たちが生み出した日本の音楽のアイデンティティーが、たしかにここにはある。
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