ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

タラソに精神安定効果=琉球大学

2008年11月01日 | 心のしくみ
投薬に頼らない治療を実証
 タラソテラピー(海水などを利用した自然療法)で、心の状態を安定させるとされる脳内物質「セロトニン」が顕著に増加するとの結果を31日、荒川雅志琉球大准教授(健康保養科学)らの研究グループが明らかにした。

 沖縄の海が心の健康にも効果を発揮する可能性を示したものとして注目されそうだ。7日、福岡市内である日本公衆衛生学会で発表される。

 セロトニンは、同じ脳内物質で快楽の情報を伝えるドーパミンや、不安などの感情に関係するノルアドレナリンの分泌をコントロールして精神状態を安定させる働きがある。現代病として知られるうつ病の人の多くにセロトニンが低下する傾向が認められることから、うつ病の投薬治療に利用されることもある。

 研究グループは、県内に住む30―50歳の男女計45人を(1)少なくとも週3回、海水中のエアロビクスなど計60分間のタラソを行うグループ(2)陸上で同様のリズム運動を行うグループ(3)何もしないグループの3群に分け、今年1―3月の10週間実験を行い、実験開始前と後に血中セロトニンの量を比較した。

 その結果、タラソを行った(1)グループはセロトニンが開始前より11%増えたのに対し、(2)と(3)のグループはほとんど変化がなかった。

 改善が水中での運動によるものか、海水中の何らかの成分によるものかなどは今後研究が必要だが、荒川准教授は「投薬に頼らない治療プログラムの可能性があることを実証できた」と指摘。沖縄の海を利用したメンタル・ヘルスツーリズムへの応用に期待を示した。

[沖縄タイムス 2008年11月01日]
http://www.okinawatimes.co.jp/news/2008-11-01-M_1-009-1_004.html


タラソ、タラソセラピー、海洋療法、初めて聞く単語でした。wikipediaにも載ってなかったし。リラックス効果はあるかなと連想できましたが。
?‥はてさて、血液中のセロトニンの量、セロトニンの働きは、脳内のセロトニン神経の働きに影響を与えているのでしょうか‥。
確かに沖縄の海水中でぼ~っとしているのがうつには良いのかも知れませんが、そこに行くまでが大変なんですよね。え?運動もしなきゃいけないの(!)

iPS細胞使いマウスの神経難病治療に成功=慶應義塾大学

2008年11月01日 | 再生医療
 さまざまな細胞や組織に分化する能力を持つ「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を使ってマウスの神経難病を治すことに、慶応大が成功した。岡野栄之・同大医学部教授(再生医学)は「ヒトの治療への応用には時間がかかるが、iPS細胞の効果を確認できた」と話している。

 実験に使ったのは「ミエリン形成不全症」という難病を発症させたマウス。神経から腕のように伸びる軸索を覆う「ミエリン(髄鞘=ずいしょう))」と呼ばれる細胞が生まれつき作れないため、脳からの命令がうまく伝わらず、震えや歩行困難などを起こす。

 研究チームは、別のマウスの体細胞に四つの遺伝子を導入して作ったiPS細胞から神経幹細胞を作り出し、病気のマウスの脊髄(せきずい)に移植した。8週間後、脊髄の神経細胞にミエリンができているのを確かめた。また、脊髄損傷で歩けなくなったマウスにこの神経幹細胞を移植したところ、歩けるようになったという。

 同大などは、ミエリン形成不全症のほか、アルツハイマー病、パーキンソン病などの患者から体細胞を提供してもらい、iPS細胞を作る研究を進めている。【永山悦子】

[毎日新聞 2008年11月01日]
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20081102k0000m040044000c.html



ES細胞や、iPS細胞による再生医療の実用化が日に日に身近に感じられるようになってきました。
この技術の問題点は感染症と細胞がガン化してしまう割合が高いこと、などだそうです。このようなハードルをクリアしていくと同時に、厚生労働省やFDA(アメリカ食品医薬品局)の指針といった法的なハードルもあるようですね。
「一日も早く」、と待ち望む人たちの願いがかないますように。