ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

ぜんそく:「原因細胞」を特定、新薬開発に期待=理化学研究所

2008年11月17日 | 遺伝子組替マウス
 アレルギー性ぜんそくなど気道過敏症の原因となる体内物質を作る細胞を、理化学研究所がマウス実験で突き止めた。ヒトにも同じメカニズムがあると考えられ、症状を抑えたり発症を予防する新薬の開発につながると期待される。17日付の米実験医学誌に発表した。

 理研によると、国内のアレルギー性ぜんそくの患者は約300万人。慢性化すると、気管支拡張薬やステロイドなどを用いる対症療法が中心となり、根本的な治療法は確立していない。発作的なぜんそくや、せきを起こす直接の原因物質は分かっているが、これらがどの細胞で、どう作られるのかは不明だった。

 研究チームは、マウスのさまざまな免疫細胞で遺伝子の働き具合を調べ、肺に多く分布するナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)にだけ出現するインターロイキン(IL)-17RBというたんぱく質に着目。人為的にNKT細胞を欠損させり、IL-17RBの働きを止めたマウスでは気道の炎症が起こらないことを確認し、IL-17RBを持ったNKT細胞が気道過敏症を引き起こす「悪玉細胞」だと結論づけた。

 渡会(わたらい)浩志・上級研究員(免疫学)は「アレルギーの原因物質にさらされた初期段階で何が起こるかが分かったことで、ぜんそくが慢性化する前に予防できるのではないか」と話している。【西川拓】

[毎日新聞 2008年11月17日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20081118k0000m040106000c.html

理化学研究所 プレスリリース
アレルギー性ぜんそくなど、気道過敏症を引き起こす悪玉細胞を発見
- アレルギー・炎症性疾患の根治が大きく前進 -
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/081117/index.html
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2008/081117/detail.html

細胞老化:たんぱく質の結合で抑制することを発見=東北大学

2008年11月17日 | 癌、腫瘍
 東北大の五十嵐和彦教授らのグループが、がん抑制遺伝子「p53」がつくるたんぱく質が、別のたんぱく質「Bach1(バックワン)」と結合すると、細胞の老化を抑えることを発見した。Bach1はp53の働きを調整する役割を果たしているという。五十嵐教授は「実用化に結びつくには時間がかかるが、がんや老化を制御する治療薬の開発につながる可能性がある」としている。

 p53は、老化の促進と、がん増殖の抑制という表裏一体の機能を持つ。Bach1は細胞に存在し、「転写因子」と呼ばれるたんぱく質の一つ。

 マウス実験で、正常な細胞では、Bach1がp53の働きを阻害しているが、Bach1を欠損させたマウスでは細胞老化が進行することを確認した。今後、Bach1がp53の機能を阻害する仕組みの解明にも取り組みたいという。

 研究結果は、16日付の米科学誌の電子版で発表する。【伊藤絵理子】

[毎日新聞 2008年11月17日]
http://mainichi.jp/select/science/news/20081117k0000m040107000c.html