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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

脳内の情報伝達コントロールするタンパク発見P=三菱化学生命科学研究所、自然科学研究機構・生理学研究所

2007年09月08日 | 脳、神経
情報を伝える担い手である神経伝達物質の流れをコントロールしているタンパクを、三菱化学生命科学研究所と自然科学研究機構・生理学研究所の研究者たちが見つけた。脳神経精神疾患の新たな治療薬開発にもつながる成果と期待されている。

瀬藤光利・生理学研究所助教授(三菱化学生命科学研究所グループリーダー兼務)、矢尾育子・三菱化学生命研究所研究員らは、ユビキチン・プロテアソーム系と呼ばれるタンパク分解の仕組みが、神経細胞と神経細胞の間で情報の受け渡しを担っている神経伝達物質の放出にかかわっているのでは、と狙いをつけた。ヒトゲノムのデータベースに基づいて探索した結果、“壊し屋タンパク質(SCRAPPER)“と名付けた分解酵素を発見、実際にこの酵素が、生体内において神経細胞の先端から神経伝達物質が異常に放出するのを抑えて、適度に放出されるよう調節していることを突き止めた。

脳内の情報のやりとりは、シナプスと呼ばれる神経細胞同士のつなぎ目を介して行われることが早くから知られている。脳梗塞、アルツハイマー病、統合失調症、うつ病などの精神疾患で、神経伝達物質の異常放出が起きていることも推測されている。しかし、このシナプス中にあるシナプス小胞に入った神経伝達物質が、次の神経細胞に放出される仕組みは分かっていなかった。

この研究成果は、7日発行の米国の医学生物学誌「CELL」に掲載されたが、“壊し屋タンパク質”をイメージした漫画家、荒木飛呂彦氏によるイラストが、同誌の表紙を飾っている。

[サイエンスポータル / 2007年09月07日]
http://scienceportal.jp/news/daily/0709/0709071.html

科学技術振興機構 プレスリリース
脳内の壊し屋タンパク質を発見(脳梗塞や精神神経疾患の治療に期待)
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20070907/

イラストは"CELL"誌2007年09月07日号表紙
http://www.cell.com/

脳神経の伝達回路、一部解明=統合失調症研究に期待=理化学研究所

2007年09月08日 | 脳、神経
 脳で細長い樹木のような神経細胞同士が接合するシナプスでは、情報を送る軸索側の表面にある2種類のたんぱく質に応じて、情報を受ける樹状突起側の2種類のたんぱく質の分布が決まり、1対1の対応関係で結合することが分かった。理化学研究所脳科学総合研究センターの西村幸子研究員らがマウスの実験で突き止め、8日までに米科学アカデミー紀要電子版に発表した。
 この軸索の先端部にあるたんぱく質「ネトリンG1」と、根元部にある「ネトリンG2」は、統合失調症に関連する可能性があることが患者の調査で分かっている。シナプスの複雑な送受信回路の一端が明らかになり、発症メカニズムの解明が進むと期待される。

[時事ドットコム / 2007年09月08日]
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2007090800288

理化学研究所 プレスリリース
 2組のタンパク質のペアが脳の神経回路を“区画化”していることを発見
 - 複雑な脳における情報伝達経路を整理するシンプルな仕組み -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2007/070904/index.html