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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

神経細胞を正しく配線、“目印”のたんぱく質を発見=東京大学

2007年09月01日 | 再生医療
 動物の体内で神経細胞が正しく配線されるのに、不可欠な“目印”となるたんぱく質を、東京大大学院新領域創成科学研究科の能瀬聡直教授らがショウジョウバエで見つけた。

 伸びる神経細胞に対し、「こっちに来るな」と働きかけるもので、交通事故などで傷付いた神経の再生治療に役立つ可能性がある。米科学誌「カレント・バイオロジー」(電子版)で発表した。

 神経細胞は、「軸索」という突起を伸ばして、決まった相手の神経や筋肉などの細胞と結合することで、正しい神経回路をつくっていくが、その仕組みは詳しくわかっていなかった。

 能瀬教授、稲木美紀子研究員らは、幼虫になる前のショウジョウバエを解剖。筋肉に神経細胞が結合する過程を詳しく調べた結果、「Wnt4」と呼ばれるたんぱく質が、本来の相手とは異なる細胞と結合しないよう、伸びる神経細胞を拒絶する役割を担っていることがわかった。

 能瀬教授によると、神経回路の配線時に、神経細胞に「こちらにおいで」と働きかける、たんぱく質はこれまで3種類見つかっているが、「来るな」というたんぱく質の発見は初めて。

[読売新聞 / 2007年09月01日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070901it11.htm

筋ジストロフィーの進行抑える可能性、性機能不全治療薬に=ハーバード大学シュライナー病院、東京大学

2007年09月01日 | 遺伝子組替マウス
 全身の筋肉が徐々に弱くなる「筋ジストロフィー」の進行を、性機能不全治療薬が抑える可能性があることを、米ハーバード大シュライナー病院と東京大の研究チームが動物実験で突き止め、米科学誌電子版で報告した。

 同病院の安原進吾講師らは、筋ジスを発症するマウスの筋肉を、顕微鏡を使った特殊な方法で観察。その結果、筋肉が動いていない間は血流は正常だが、筋肉が動いた時に自然に増えるはずの血流が増えず、筋肉に供給する酸素が不足するなどして、細胞に障害が起きることがわかった。

 筋ジスを発症するマウスは、もともと筋肉の細胞が壊れやすくなっていることに加え、運動時の血液の不足が引き金となって、細胞が壊れることを確かめた。

 そこで、このマウスに血管を広げる作用のある性的不全治療薬「シアリス」(一般名=タダラフィル)を口から与えると、投与したマウスは薬を与えなかったマウスに比べ、首の筋肉細胞の障害が約4分の1に抑えられ、筋肉の障害を少なくすることに成功した。

 シアリスは、日本では7月に製造承認され、今月から販売が始まる予定。バイアグラも、ほぼ同じ薬理作用を持っている。

[読売新聞 / 2007年09月01日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070901i412.htm

バター風味食品香料、工場従業員に肺病多発=ユトレヒト大学(オランダ)

2007年09月01日 | 食品・栄養
 【ワシントン=増満浩志】バター風味の食品用香料「ジアセチル」が、製造工場の従業員に重い肺の病気「閉塞(へいそく)性細気管支炎」(BOS)を引き起こしていることを、ユトレヒト大(オランダ)などの研究チームが突き止めた。

 米国では、バター風味の香料を使う食品工場などで、BOS患者が多発している。ジアセチルは日本でも多用されており、厚生労働省は「情報を集めた上で対応を検討したい」と話している。

 研究チームは、2003年に閉鎖したオランダ国内のジアセチル製造工場の元従業員を追跡調査。生存者176人の中から、本来はまれな病気であるBOSの患者が4人も見つかった。米胸部学会の専門誌「呼吸器・クリティカルケア医学」9月号に発表される。

 BOSは、細気管支に慢性的な炎症が起き、肺機能が低下する病気。重症化すると肺移植が必要になる。米国では00年以降、電子レンジ用ポップコーンやその香料などを製造する工場から40人以上の患者が報告されている。

 日本香料工業会によると、国内では42社が年間計1・6トン(05年)のジアセチルを使って香料を製造。防護マスク装着や換気などの自主対策を講じている。ただ、米国立労働安全衛生研究所は03年末、香料を扱う事業所に対する勧告で、「防護マスクは、対策として(有効性が限られ)最も好ましくない」と指摘。設備の密閉による揮発防止などに重点を置くよう求めている。

[読売新聞 / 2007年09月01日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070901it01.htm