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アルツハイマー病進行の仕組み解明=熊本大学

2007年09月13日 | 創薬
 熊本大薬学部付属創薬研究センターの水島徹教授(39)らの研究グループは10日、アルツハイマー病の原因となるたんぱく質「ベータアミロイド」の生成を促進させる物質を突き止めたと発表した。アルツハイマー病は脳挫傷や脳卒中などで症状が進行することが知られており、水島教授は「脳内の炎症が病気を進行させる仕組みが分かった。今後の新薬開発に役立てたい」としている。

 研究は2005年7月から、小野薬品工業(大阪市)と共同で実施。今回の成果は今月3日、米国生化学会誌の電子版に掲載された。

 水島教授によると、ベータアミロイドの生成を促進するのは、「プロスタグランジンE2」と呼ばれる生理活性物質。炎症の発生を細胞に伝える働きをすることで知られているが、新たに神経細胞の表面にある「受容体」と呼ばれるたんぱく質と結合し活性化することで、脳にベータアミロイドを蓄積させることがわかった。

 受容体はEP1~EP4の四つがあり、マウスを使った実験でEP2とEP4がベータアミロイドの生成を促進することが判明。一方、受容体の働きを止める薬を使うと、ベータアミロイドの生成が抑制されることが確認されたという。

 アルツハイマー病の国内患者は約200万人。炎症などが原因で引き起こされる場合が多いと見られている。アルツハイマー病に詳しい北海道大大学院薬学研究院の鈴木利治教授(51)は「進行のメカニズム解明は大きな成果。治療薬開発へ新たな道が開かれることを期待したい」と話している。

[読売新聞・九州発 / 2007年09月13日]
http://kyushu.yomiuri.co.jp/news/ne_07091104.htm