ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

免疫反応の「制御役」特定 アレルギー構造解明=九州大学

2007年09月03日 | 免疫
 ぜんそくや花粉症、アトピー性皮膚炎の原因となるアレルギー反応を制御する分子メカニズムを、九州大生体防御医学研究所の福井宣規(よしのり)教授(免疫遺伝学)らの研究グループが世界で初めて解明し、2日付の米科学誌ネイチャー・イムノロジー(電子版)に発表した。アレルギー疾患の研究や、リウマチなど自己免疫疾患の治療への応用が期待される。

 抗原(ダニや花粉、食物などアレルギー反応の原因)が体内に入ると、免疫をつかさどるヘルパーT細胞(リンパ球)は、侵入物を直接攻撃するTh1細胞やTh17細胞、抗体を使って排除するTh2細胞に分化。ヘルパーT細胞のバランスが崩れ、Th1細胞やTh17細胞に過度に偏ると自己免疫疾患、反対にTh2細胞が増えすぎるとアレルギー疾患に陥る。

 インターロイキン4と呼ばれるサイトカイン(細胞間の情報伝達をするタンパク質)がTh2細胞への分化を促すことは分かっていたが、抗原の刺激がインターロイキン4の生産につながる仕組みは不明だった。

 福井教授らは、抗原を認識するT細胞受容体からインターロイキン4受容体への信号伝達を、リンパ球を活性化させる分子DOCK2が制御していることを突き止めた。遺伝子操作でDOCK2を欠損させたマウスは、アレルギー疾患を自然発症するという。

 福井教授は「DOCK2に作用する医薬品ができれば、ヘルパーT細胞のバランスを整えて自己免疫疾患や移植後の拒絶反応の予防など、さまざまな疾患の治療に貢献できる」と話している。

[西日本新聞 / 2007年09月03日]
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/science/20070903/20070903_001.shtml