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鳥のさえずり、学習制御 脳内の特有物質を発見=理化学研究所

2007年09月17日 | 心のしくみ
 親鳥の鳴き声をまねて多彩なさえずりを身につける鳥は、脳に特有の物質が存在していることを、理化学研究所脳科学総合研究センターの生物言語研究チームが突き止めた。さえずりの学習能力を遺伝子レベルで解明する成果で、日本神経科学学会(今月10~12日)で発表した。

 鳥類には、生まれながらに持っている鳴き声しか出せない種類と、親から学び、成長するにつれて、さまざまな歌声を出せるようになる種類がある。両グループの脳機能の違いは、詳しく分かっていなかった。

 岡ノ谷一夫チームリーダーと松永英治研究員は、歌声の学習能力があるジュウシマツとセキセイインコの大脳を分析。学習領域の遺伝子の働きを調べた結果、アンドロジェンという性ホルモンの受容体と、細胞接着分子のカドヘリンが作られていることが分かった。学習能力がないウズラやハトでは、これらの物質は検出されなかった。

 鳥のさえずりは、雌を引き寄せる性行動の一種。性ホルモンが関係しているのはそのためとみられ、カドヘリンは脳の神経回路をつなぐ役割を果たしているらしい。

 岡ノ谷リーダーは「鳥が歌声を学ぶ脳の仕組みは、人間が言葉を学ぶ仕組みとよく似ている。人間がどのように言語を獲得したのかを解明する糸口になる」と話している。(長内洋介)

[産経新聞 / 2007年09月17日]
http://www.sankei.co.jp/culture/kagaku/070917/kgk070917000.htm