ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

女性ホルモン:「破骨細胞」調節し骨量維持=東京大学

2007年09月07日 | 創薬
 骨を作る細胞に作用していると考えられていた女性ホルモンが、骨を分解する「破骨細胞」の寿命を調節して骨量を維持していることを、東京大などの研究グループが突き止めた。これにより、女性ホルモンの欠乏によって閉経後に骨粗しょう症を発症するメカニズムの一端が明らかになった。新しい治療薬開発にもつながる可能性があり、7日付の米科学雑誌「セル」(電子版)に掲載される。

 健康な人では、骨をつくる骨芽細胞と、骨を分解・吸収する破骨細胞との働きが釣り合い、一定の骨量が保たれる。閉経などにより女性ホルモンが欠乏するとこのバランスが崩れ、骨がすかすかになる骨粗しょう症を引き起こす。しかし、そのメカニズムは分かっていなかった。

 研究グループは、さまざまな細胞に存在し、女性ホルモンに結合する受容体に着目。骨表面の破骨細胞からこの受容体をなくしたマウスを、遺伝子操作によって作った。

 このマウスは足の骨と背骨で骨量の低下がみられ、通常のマウスに比べて破骨細胞の数が増えていることが分かった。

 通常のマウスの破骨細胞に女性ホルモンを投与すると、「アポトーシス」と呼ばれる細胞死を引き起こす遺伝子の働きが活発になり、破骨細胞の細胞死が進んだ。しかし、女性ホルモン受容体を持たないマウスの破骨細胞では、遺伝子の働きに変化はなく、細胞死も進まなかった。

 グループの同大分子細胞生物学研究所の加藤茂明教授は「女性ホルモンは骨を吸収する細胞が長く居座らないようにする働きをしていた。破骨細胞の女性ホルモン受容体を活性化させる物質が見つかれば、新たな治療薬につながるかもしれない」と話している。【下桐実雅子】

[毎日新聞 / 2007年09月07日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070907k0000m040166000c.html

精子:おおもと細胞が特定場所に存在=京都大学

2007年09月07日 | 遺伝子組替マウス
 京都大医学研究科の吉田松生(しょうせい)助教(生殖細胞学)らのチームは、精巣内で精子を作るおおもととなる細胞「未分化型精原細胞」が、血管近くなど特定の場所に存在することを発見した。また、この細胞が分裂しながら分化する際、精巣全体に広く移動する様子の動画撮影にも成功した。精子の形成過程の解明や、将来的には男性不妊の問題解決などにつながる基礎となるという。成果は6日(米東部時間)、米科学誌「サイエンス」(電子版)に掲載される。

 哺乳(ほにゅう)類の精子は、精巣内に曲がりくねった状態で詰まっている「精細管」の中で形成される。チームは、マウスに蛍光遺伝子を組み込んで“おおもと細胞”が光るようにしたうえで、露出させた精巣の一部を顕微鏡に固定。3日間、コマ送りでビデオ撮影した。

 その結果、おおもと細胞は、精細管を取り巻く血管や、男性ホルモンを作る細胞の近くに多く存在していることが判明。血管の場所を移すと、おおもと細胞もその近くへ移った。また分化して精子になるにつれ、精細管内で分布が均一になるように動いていった。

 吉田助教は「精子の形成過程はいまだに謎が多い。次の課題は、おおもと細胞が好む場所で、どんな物質が出ているかを探ること」と話している。【鶴谷真】

[毎日新聞 / 2007年09月07日]
http://www.mainichi-msn.co.jp/science/kagaku/news/20070907k0000m040167000c.html