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<抗うつ剤>服用24歳以下で自殺行動 米FDAが警告強化

2006年12月14日 | 心のしくみ
 【ワシントン和田浩明】
米食品医薬品局(FDA)は12日、日本でも販売されている「パキシル」(塩酸パロキセチン水和物)などの抗うつ剤すべてで、服用すると自殺のリスクが高まるとの添付警告の対象を、現行の「小児と思春期の患者」から24歳以下に拡大するよう精神薬の諮問委員会に提案した。同委は対象の拡大を妥当と判断した。
 FDAがパキシルやプロザック、ゾロフトなど11種の抗うつ剤に関する372件の治験データ(計約10万人分)を調べたところ、18~24歳の患者で偽薬を服用した場合に比べ、自殺や自殺未遂、自殺願望を持った事例が有意に多かったという。
 米メディアによると、警告の強化は自殺した患者の家族らが求めているが、臨床医などからは「有効な薬の使用に歯止めをかける場合もある」と慎重な対応を求める意見も出ている。パキシル製造元の英グラクソ・スミスクライン社の今年1月の発表では、「世界100カ国以上で使われ、1億人以上の使用実績がある」という。
 FDAは04年、抗うつ剤に「服用開始後の初期に小児や思春期の患者で自殺リスクが高まる」旨の警告の添付を義務付けた。今年5月には抗うつ剤を服用する若い患者に自殺衝動が高まる傾向が見られるとして、医師に対し服用者を慎重に観察するよう警告した。
 ◇添付文書で注意…厚労省
 グラクソ・スミスクライン日本法人によると、パキシルの売上高は昨年国内で約500億円に上り、抗うつ剤の中で国内シェアは最大という。厚生労働省は今年6月、パキシルの添付文書で「若年成人に投与中に自殺行動のリスクが高くなる可能性が報告されているため、注意深く観察する」との注意喚起を行った。今回のFDAの対応については「情報収集し、新たな対応が必要かどうか検討したい」(安全対策課)と話している。

【江口一】
[2006年12月14日/毎日新聞]
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061214-00000046-mai-soci