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「あなたの旅立ち、綴ります」(2017年、アメリカ)

2018年03月21日 | 映画の感想・批評
誰にでも訪れる最期の日々、いわゆる終活を意識しはじめた老女が、最良の訃報記事を書いてもらおうと、若い記者と出会う。そこからお互いの人生が変わっていくという、どこか深刻な話のはずが、ユーモラスに、そして最後は明るく元気になれるお話し。

ハリエット(シャーリー・マクレーン)、豪邸に暮らしていて、メイドも庭師もいるのに、彼らの仕事が気に入らず、どんどん自分でやってしまう、美容院に行っても自分で仕上げてしまう、スーパーおばあちゃん。
(うわ、こんな人に仕えたくないわ)

彼女の訃報記事を書くことになった新聞社の女性記者、アン(アマンダ・セイフライド)はハリエットから渡された友人リストをもとに、ハリエットの人物像を取材するが、その評価は劣悪、教会の神父さんにまで悪態つかれるほど。

「良い訃報記事が書けないのはハリエットの人間性にある」とまで断言するアンも凄いが、受けて立つハリエットも負けていない。完璧な訃報記事に求める4つの条件を提示してくる。
「家族や友人に愛されること」
「同僚から尊敬されること」
「誰かの人生に影響を与えるような人物であること」
「そして記事の見出しになるような人々の記憶に残る特別な何かをやり遂げること(ワイルドカード)」

誰かの人生に影響を与える人物になるために、施設にいる黒人少女ブレンダ(アンジュエル・リー)に目を付け、教育を始める。
曰く「言葉遣いが美しいと賢く見える」(そうね、見直さなきゃ)
このブレンダもなかなかにファンキーな少女。ハリエットの若かりし頃はこんなだったのかも。

「ワイルドカード」として、アンの提案もあって出かけたラジオ局でいきなりラジオのDJデビューを果たす。
そこでの選曲センスも素晴らしいが、この言葉は一番心に響いた
「いい1日を送ろうとするな。いい1日を送ろうと努力することは退屈そのもので、それよりも、意味のある1日を送ろうとすることが大事である」と。

自らの人生を生きなおそうと渦を作り出し、若い人たちも変えていくハリエット。
アンもエッセイストになりたかったという夢を実現するため、歩き出す。

ハリエットが別れた夫(フィリップ・ベイカー・ホール)を訪ね、「君と結婚したことを後悔したことはない」と言われ、そっと肩を寄せる姿はなんとも可愛いい。素直なこういう一面も見せてくれる。
アンとブレンダと3人で楽しく過ごすひととき、静かに逝ったハリエットは本当に幸せな、最高の訃報記事を自ら作り出したといえる。


見ようと思った理由は、シャーリー・マクレーンとアマンダ・セイフライド。
アマンダは「マンマ・ミーア」、「ジュリエットからの手紙」「レ・ミゼラブル」「パパが遺した物語」などを見てきたが、若手の中では注目株の大好きな女優さん。
シャーリー・マクレーン、「ダウントンアビー」のシーズン4で、シャーリーがアメリカの大富豪役を演じ、マギー・スミスとの米英の女優対決シーンがおもしろかったこと。
前作の「トレビの泉でもう一度」も良かったし、シャネルの晩年の役も良かった。
恥ずかしながら今にして知ったが、「アパートの鍵貸します」が彼女だったとは。
来月で84歳になろうという、大女優。
強い女性の代名詞的な彼女、でもキュートだし、見ていてこちらの背筋がスッと伸びる爽快感をくれる女優さん、日本にはなかなか居ないかも。
上映館が少なすぎる。観られたこと自体がありがたい。(アロママ)

原題 THE LAST WORD
監督:マーク・ぺリントン
脚本:スチュアート・ロス・フィンク
撮影:エリック・コレツ
出演 シャーリー・マクレーン、アマンダ・セイフライド、フィリップ・ベイカー・ホール、アンジュエル・リー




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