シネマ見どころ

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「レジェンド&バタフライ」(2023年、日本映画)

2023年03月08日 | 映画の感想・批評
東映70周年記念という触れ込みの大作。前宣伝も華々しかったし、京都、滋賀のロケ地が目白押し。監督が「るろうに剣心」シリーズの大友啓史。3時間近い長編。
何と言ってもキムタク、そして有名どころの信長。話題には事欠かない。
と、少々うがった気持ちで斜めに構えていた。公開日からほぼ1ヶ月たって、一番近いシネコンのリニューアルぶりを期待して出かけた。あれまあ、チケット売り場に行列!シニア層ばかり・・・・私もその一人なんだけど。
軽い気持ちでチケット売り場に並んで真っ青になった「タイタニック」の座席確保の緊張がよみがえる。
恐る恐る会場に入ってみると、それほどでもなく。ただ鑑賞マナーの悪さには辟易。ご同輩たち、ここはリビングじゃないのよ、もう少し映画館に来てるって忘れないでね。

余計な感想が多くなりました。本題に入ろう。

キムタク、ううん、やっぱりキムタクなのか。対して、綾瀬はるかもそれほどのファンではないものの、アクションもお見事だったし、最期を迎えるシーンなどはじんわり。
子ども時代に観た大河ドラマの本能寺で濃姫が一緒に闘ったシーンが私の「濃姫」ゆえ、そうか、こういう解釈もありかと。
安土城で信長が濃姫の介護に勤しむシーンは温かみがあった。
ドラマはどこまでも史実に忠実でなければならないというものではない。歴史とは誰が書き残すかでストーリーは変わるもの。新たな解釈も面白ければよいかと、私は思う。
ただ、貧民窟での殺戮シーンは気持ちの良いものではなかった。あの体験が二人の関係性を対立から共感に変えていくのに必要だというのだろうが。
延暦寺焼き討ちも、ちょっとしんどいシーンが続いた。
その分、いくつもの合戦シーンを文字だけでスルーしたのかな。
ちょうど25年ぶりの「タイタニック」再上映も話題の時期だけに、南蛮船に乗って大航海に乗り出す、あの夢落ちも興味深い。
光秀が本能寺の変を起こす理由も、もっと深く描いてほしかった。
家康さん、誰が演じてたの?
エンドロールで気づいた時は思わず唸ってしまった。キムタクもこういうサプライズができると面白いのだけど。ファンのみなさん、ごめんね。
画面は映画館の事情なのか、少し暗くてそこが残念。セリフも聞き取りにくい。ほんまに、リニューアルしたの?変わってないやん!
ロケ地の紹介パンフレットを見るとごく近所が使われている。そんなことも鑑賞の大きな理由だったが、途中でそれもどうでもよくなった。という事はそれなりに引き込まれて見られたという事か。もう一度見に行きたい気持ちはわいてきたかな。「あそこはここなのね!」と確認したい。これほどのキャストをよくぞ地元に知られないように撮影したスタッフさんたちの努力に敬意を払いたい。
ちょっと斜め見の鑑賞記です。(アロママ)

監督:大友啓史
脚本:古沢良太
撮影;芹澤明子
出演:木村拓哉、綾瀬はるか、伊藤英明、中谷美紀、宮沢氷魚