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シネマ見どころ

映画のおもしろさを広くみなさんに知って頂き、少しでも多くの方々に映画館へ足を運んで頂こうという趣旨で立ち上げました。

「ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ」(2016年アメリカ)

2017年08月11日 | 映画の感想・批評
 マイケル・キートン演じる主人公の全く売れないシェイクミキサーの販売員が、ある日、突然、ドライブスルーから8台もの注文が入り、遠方から遥々車を飛ばして、その店を突然、訪問(偵察)する所から物語が始まる。その店とは、マクドナルド兄弟が運営するハンバーガー店だったのである。
 マクドナルド兄弟は、品質重視で、拡大路線は取らず、自分達の目の届く範囲で、着実に経営するタイプ。一方、主人公は、このハンバーガー店を見て、すかさず、マクドナルド兄弟とフランチャイズ契約を交わし、全米に店舗を拡大させていくのである。シェイクの原料をアイスクリームでは原価が高いので、パウダーに変更する等、品質を落とさないよう工夫するが、あまりにも拡大のスピードが速く、品質の心配をするマクドナルド兄弟と徐々に軋轢が出てきてしまう。挙句の果てには、訴訟にまで至ってしまうのである。
 仕事一辺倒で妻とも離婚し、新パウダーを紹介してくれた事業家の妻を奪い取り、勝手に、「ファウンダー」と名乗り、マクドナルド兄弟との口約束まで破って、兄弟の店舗を閉店まで追い込んでしまうのである。
 「アメリカンドリーム」という言葉は、作品の中でも出てくるが、この物語は本当にそうだろうか。「成功」とは何か。「幸せ」とは何か。もう一つ付け加えると、「ファウンダー」とは何だろうか。どの会社にも「創業の理念」はある筈だ。ただ、それを転換するべき時が来る可能性はある。それは、「時代」が変化しているからだろう。しかし、本作品はそれには当てはまらないと思う。主人公は「創業(=ファウンダー)の理念」を踏みにじった傍若無人な印象しか残らない。
 この映画は実話がベースとなっているそうだ。映画自体は、展開が早く、無駄が無く、コンパクトに纏まられた印象があるが、日頃親しんでいる「マクドナルド」(実際は、この年齢になるとほとんど行きません。すみません)が、こんな風に大きくなってきたのかと思うと、より足が遠のいてしまう感がするのは私だけだろうか。
(kenya)

原題:「The Founder」
監督:ジョン・リー・ハンコック
脚本:ロバート・シーゲル
撮影:ジョン・シュワルツマン
プロデューサー:ドン・ハンドフィールド
出演:マイケル・キートン、ニック・オファーマン、ジョン・キャロル・リンチ、ローラ・ダーン、パトリック・ウィルソン、B・J・ノヴァク、リンダ・カーデリーニ他