原案はイギリスの実話。2016年にイギリス史上最高齢の新人歌手が誕生。アルツハイマー型認知症を患うテッド・マクダーモットがCDデビューを果たす。テッドの息子が楽しそうに歌唱する父親の姿を動画サイトにアップしたことがきっかけという。
舞台を横須賀に置き換えての本作。
かつてプロ歌手を目指した間宮哲太(寺尾聡)。息子の誕生を機にその夢をあきらめたが、楽器店を営みながら地元のステージで歌声を披露し、町の人気者として活躍してきた。
東京でイラストレーターとして仕事をしている息子の雄太(松坂桃李)が幼馴染の結婚式に出席するために、横須賀に戻ってくるが、迎えに来るはずの父親が道を間違えたのか、現れない。どうにか結婚式には一緒に参列でき、父哲太は自慢の歌を披露することができた。
しかし、哲太はたびたび自宅の場所がわからなくなるなど、家族は不安が高じて、受診を勧め、アルツハイマー型認知症と診断される。
父の病気の進行を食い止めたい家族は、父の愛車(大きなアメ車)のカーステレオにカセットテープを差し込み、父が大好きだった歌を次々とかけ、一緒に熱唱する。その生き生きした姿を息子はスマホで撮影してSNSにアップしていく。楽しそうに歌う父の歌声は瞬く間に人気を博し、ついにはCDデビューの話が持ち上がるが、たまたま息子の手掛けたイラストが広告媒体にのっかり、それとCDデビューの話が重なったことで「ステマ」と揶揄され、父も息子も追い込まれてしまう。
ひたすら陽気だった父の病状は深刻化し、人格が変わったかのように暴力をふるい、妻(松坂慶子)をも混乱させる。実はそこには彼なりの理由があったのだが。「何かを必死で探している!」
家族はただただ戸惑うばかり。施設入所まで考えた息子だったが、「お父さんと最後まで一緒に寄り添いたい」という母の言葉に立ち止まる。
狂ったように探し物をしていた父はようやく目的のものを見つけ出し、息子はもう一度父をステージに立たせたいと準備を進める。果たして、そのステージに父は立てるのか!?
松坂慶子の母親、明るくて本当にチャーミング。どんとこいとどっしり構える姿がとても心強い。衣装もカラフルで可愛くて、こういう歳の重ね方をしたいと、お手本に見ている。
桃李君、今年も映画やドラマで大活躍。テレビドラマ『御上先生』、映画「フロントライン」では官僚役がぴったり。そういえば「新聞記者」でも悩める官僚だったっけ。
本作では、父の認知症に悩みつつも、とことん寄り添う息子の鑑。やわらかい役もよく似合う。
寺尾聡の歌がまたいい。目的はここにあったのよ。エンドロールではチャップリンの「スマイル」の日本語歌詞が字幕で流れる。どうやら監督さん自身の訳詞らしい。ずっと口ずさんでしまう。パンフレットをようやく購入して、記載されていることを期待したが、残念!!!
ライブシーンもよかったが、大きなアメ車の中で親子で歌うシーンが本当に素敵で、英語の歌詞は無理でもメロディーを口ずさみ、身体を揺らしてしまう。
認知症の表現、それぞれ症状のあらわれ方は違うのだが、見境なく行動しているのではなく、きちんと理由があること、その人のルーティーンワークを奪わないことなどなど、対処の仕方も知ることができた。
とはいえ、今後迎える自らの老年期、「認知症になって性格変わって荒れたらどうしよう」とぼやいたら、同級生の友人が『年を取ることは未知との遭遇なので楽しみたい』とコメントをくれる。そうよね、力強いわ。
(アロママ)
監督:小泉徳広
脚本:三嶋龍朗、小泉徳広
撮影:柳田裕男
原案:サイモン・マクダーモット:(「父と僕の終わらない歌」 浅倉卓弥 訳(ハーパーコリンズ・ジャパン))
出演:寺尾聡、松坂慶子、松坂桃李
舞台を横須賀に置き換えての本作。
かつてプロ歌手を目指した間宮哲太(寺尾聡)。息子の誕生を機にその夢をあきらめたが、楽器店を営みながら地元のステージで歌声を披露し、町の人気者として活躍してきた。
東京でイラストレーターとして仕事をしている息子の雄太(松坂桃李)が幼馴染の結婚式に出席するために、横須賀に戻ってくるが、迎えに来るはずの父親が道を間違えたのか、現れない。どうにか結婚式には一緒に参列でき、父哲太は自慢の歌を披露することができた。
しかし、哲太はたびたび自宅の場所がわからなくなるなど、家族は不安が高じて、受診を勧め、アルツハイマー型認知症と診断される。
父の病気の進行を食い止めたい家族は、父の愛車(大きなアメ車)のカーステレオにカセットテープを差し込み、父が大好きだった歌を次々とかけ、一緒に熱唱する。その生き生きした姿を息子はスマホで撮影してSNSにアップしていく。楽しそうに歌う父の歌声は瞬く間に人気を博し、ついにはCDデビューの話が持ち上がるが、たまたま息子の手掛けたイラストが広告媒体にのっかり、それとCDデビューの話が重なったことで「ステマ」と揶揄され、父も息子も追い込まれてしまう。
ひたすら陽気だった父の病状は深刻化し、人格が変わったかのように暴力をふるい、妻(松坂慶子)をも混乱させる。実はそこには彼なりの理由があったのだが。「何かを必死で探している!」
家族はただただ戸惑うばかり。施設入所まで考えた息子だったが、「お父さんと最後まで一緒に寄り添いたい」という母の言葉に立ち止まる。
狂ったように探し物をしていた父はようやく目的のものを見つけ出し、息子はもう一度父をステージに立たせたいと準備を進める。果たして、そのステージに父は立てるのか!?
松坂慶子の母親、明るくて本当にチャーミング。どんとこいとどっしり構える姿がとても心強い。衣装もカラフルで可愛くて、こういう歳の重ね方をしたいと、お手本に見ている。
桃李君、今年も映画やドラマで大活躍。テレビドラマ『御上先生』、映画「フロントライン」では官僚役がぴったり。そういえば「新聞記者」でも悩める官僚だったっけ。
本作では、父の認知症に悩みつつも、とことん寄り添う息子の鑑。やわらかい役もよく似合う。
寺尾聡の歌がまたいい。目的はここにあったのよ。エンドロールではチャップリンの「スマイル」の日本語歌詞が字幕で流れる。どうやら監督さん自身の訳詞らしい。ずっと口ずさんでしまう。パンフレットをようやく購入して、記載されていることを期待したが、残念!!!
ライブシーンもよかったが、大きなアメ車の中で親子で歌うシーンが本当に素敵で、英語の歌詞は無理でもメロディーを口ずさみ、身体を揺らしてしまう。
認知症の表現、それぞれ症状のあらわれ方は違うのだが、見境なく行動しているのではなく、きちんと理由があること、その人のルーティーンワークを奪わないことなどなど、対処の仕方も知ることができた。
とはいえ、今後迎える自らの老年期、「認知症になって性格変わって荒れたらどうしよう」とぼやいたら、同級生の友人が『年を取ることは未知との遭遇なので楽しみたい』とコメントをくれる。そうよね、力強いわ。
(アロママ)
監督:小泉徳広
脚本:三嶋龍朗、小泉徳広
撮影:柳田裕男
原案:サイモン・マクダーモット:(「父と僕の終わらない歌」 浅倉卓弥 訳(ハーパーコリンズ・ジャパン))
出演:寺尾聡、松坂慶子、松坂桃李