チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

13日(水)の辺野古新基地建設問題に関する防衛省・農水省交渉の質問書全文

2015年05月12日 | 沖縄日記・辺野古

 明日(13日)、参議院議員会館で辺野古新基地建設問題に関する院内集会の後、防衛省・農水省交渉(午前)、海上保安庁交渉(午後)が開催される。午後の海上保安庁交渉の質問事項については昨日のブログで紹介したので、ここでは防衛省・農水省交渉の質問事項を全文掲載する。

 

辺野古基地建設をめぐる防衛省・農水省への質問(2015年5月13日) 

 

1. 翁長雄志知事による沖縄防衛局への海底作業の停止指示に対し、防衛局が出した執行停止申し立ておよび農水省の審査について 

 沖縄防衛局が海底に設置したコンクリートブロックがサンゴ礁を傷つけている問題で、翁長雄志・沖縄県知事は2015年3月23日、県の調査が終了するまで、海底面の変更するすべての行為を中止することを指示した。

 この指示を不当とする沖縄防衛局が、「指示取り消し」の不服審査請求と指示の効力停止を求める執行停止の申し立てを行ったが、30日、林芳正農水大臣は、翁長知事の指示の効力を一時停止する「執行停止」の措置を正式決定し、「決定書」を防衛局と県に通知した。

農水省の決定書では、「普天間代替施設建設事業が大幅に遅れ、周辺住民に対する危険性や騒音の継続による損害、日米両国間の信頼関係への悪影響による外交・防衛上の損害が生じ、重大な損害を避ける緊急性がある」としている。 

1) 今回の沖縄県知事の「指示」は行政指導にすぎず、行政手続法に基づく、不利益処分には該当しないのではないか。

2) 行政不服審査法の目的は、一方的な公権力の行使から国民を守るための法律である。今回のように、「海底作業の強行」という中央政府の公権力の行使に対して、沖縄県民を代表して知事が作業中止指示を出したことに対して、公権力を持つ政府が不服申し立てするのは、法の趣旨にあわないのではないか。

3) 同じ国の機関で行う審理に公平・中立性は保てないと考えるがいかがか。

4) 農水大臣が3月30日の判断で挙げた理由は、農水大臣が関与できる範囲を明らかに超えている。農水省として、漁業法や水産資源保護法にもとづき、水産資源の保護といった観点から判断を行うべきではないのか。

5) 執行停止には、審査に先立って今止めなくては重大な損害が生じるという緊急性が求められる。普天間飛行場の危険性除去があげられているが、19年間危険性を放置してきた日本政府が、わずか3日間の調査期間中の工事中止によってこうした損害が生じるというのは合理的ではないと考えるが、いかがか。

6) 今後、農水省が最終的な裁決を行うのは、いつになる見通しか。

 

2. 大型コンクリートブロック投下について 

1)  沖縄防衛局が2月に実施した調査でサンゴの破壊が見つかっていた問題で、破壊された94群体のサンゴのうち9割超の89群体は県が岩礁破砕を許可した区域の外だった。防衛局は「サンゴ礁にまで発達していないサンゴ類の損傷で、沖縄県の規制対象とならない」と主張している。サンゴ類の損傷が、沖縄県の規制対象にならないとする根拠は何か。

2) その後防衛省は国会審議において、本年1月以降、大浦湾の工事施工区域に沿って、「①フロートを伴うCB 29ケ、②ブイの設置に係るCB 20ケ」を投下したことを認めた[1]。しかし、現在、大型クレーン船が停泊している場所等、これらの49箇所以外にもCBが投下されているはずである。「岩礁破砕許可」の区域内か区域外かを問わず、沖縄防衛局が大浦湾に投入した全てのCBの重量別の数量、目的、投下場所を明らかにされたい。

3)  防衛局は、沖縄県知事が2月16日に「岩礁破砕許可区域外のCB等の新たな設置、移動の停止」を指示した後もCBを投下している(たとえば、2015.3.6 琉球新報参照)。防衛局が2月16日以後に投下したCBの重量別の数量、目的、投下場所(「岩礁破砕許可」の区域内か区域外かを含む)を明らかにされたい。

4) 今後、大浦湾に投下されているCBを移動させる予定はあるか。また、新たなCBを投下する予定はあるか。

5)  沖縄県知事は本年4月29日、この問題に関して臨時制限区域内での潜水調査を5月11日から行うとして、外務省及び防衛局に対し、調査が確実に実施できるよう早急な対応を求めた。米軍からは、4月22日、具体的な調査内容などを沖縄防衛局と調整の上、報告するよう外務省を通じて連絡があったというが、防衛局はこの県の要請にどのように対応するのか明らかにされたい[2]

 

3. 仮設岸壁(仮設桟橋)の建設および海上ボーリング調査について 

 沖縄防衛局は、大浦湾に延長:約300m、幅:17~25mもの巨大な「仮設岸壁」(防衛局は、当初、沖縄県への申請等では「仮設岸壁」と称していたが、その後、「仮設桟橋」と呼び方を変えた。ここでは当初の「仮設岸壁」という名称を使用する。)の設置を予定している。防衛局は、この「仮設岸壁」は、「海上ボーリング調査において、関連する船舶の係留及び資機材の積卸し等を目的として設置するものであり、代替施設建設事業そのものの作業に使用することはない。所要の海上ボーリング調査を終えた段階で撤去する。」と説明してきた[3]
 一方、中島防衛省地方協力局長は、本年3月26日の参議院外交防衛委員会において、「現時点では仮設桟橋を使用することなく海上ボーリング調査が実施できている。仮設桟橋の設置については、今後、海上ボーリング調査の実施状況などを確認していく中で検討していく。」と答弁した。また、「赤嶺政賢衆議院議員によると、防衛省地方協力局の担当者が『必ず必要というわけではない。なくてもボーリング調査は可能だ。』と説明したという。」、「設置しないままボーリング調査を終える可能性を防衛省が示唆」という報道もある(2015.5.3 琉球新報)。 

1) 大浦湾では本年3月から連日、海上ボーリング調査が進められており、報道では5月1日には5ケ所目の調査に入ったとされている。現在時点での海上ボーリング調査の進行状況を説明されたい。

2) 「仮設岸壁」を設置しなくても海上ボーリング調査が進んでいる現状をみれば、環境に深刻な影響を与える「仮設岸壁」設置の必要がないことは明らかである。「仮設岸壁」設置を断念されたい。

3) 昨年6月の第2回環境監視等委員会に提示された当初の資料には、大浦湾に合計4本の「仮設岸壁」「仮設桟橋」を造成すると明記されていた。ところが、防衛局は、設置本数や施工手順を改ざんして公表し、県にも改ざん後の資料を送付した。
そもそも、4本もの「仮設岸壁」「仮設桟橋」が海上ボーリング調査のために必要だとは考えられない。当初計画されていたこれらの4本の「仮設岸壁」「仮設桟橋」造成の目的は何だったのか説明されたい。 

4) 現在、沖縄県は、この「仮設岸壁」設置が海上ボーリング調査のためとは考えられないと疑義を示している[4]。そして県は、防衛局に対して、「仮設岸壁」の設置にあたっては公有水面埋立法にもとづく設計概要の変更申請の提出を求める検討を進めている。防衛局は、「仮設岸壁」を造成しようとする場合、県に設計概要の変更申請を行うべきではないか。 

5) この「仮設岸壁」造成のためにはどのくらいの工期が必要と見込んでいるのか。海上ボーリング調査の工期は本年6月30日までだが、もし今すぐ着工したとしても海上ボーリング調査終了までには竣工しないのではないか。 

6) この「仮設岸壁」は、使用される石材量:20,300㎥(大型ダンプで約5000台)という巨大なものである。この「仮設岸壁」造成のために、シュワブ基地内にはすでに網に入った大量の「石材」が積まれている[5]。必要な資材はすでにシュワブ基地内に全て準備されているのか。
 また、これら「仮設岸壁」のために準備されている網に入った「石材」はどういう種類のものか。産地、岩質、「洗浄の有無」等を明らかにされたい。 

7) 現在、シュワブ基地内では何棟もの旧米軍兵舎の解体工事が進められている。これらの解体工事では大量のコンクリート殻が発生しているが(アセス評価書では総量57,000㎥)、防衛局はこれらのコンクリート殻を「全て現地で再生路盤材等として利用し、外には搬出しない」、「海には投下しない」と説明している。これだけ大量のコンクリート殻を再生路盤材として利用するというのなら、その使用先を具体的に示されたい。
 現在準備されている「仮設岸壁」のための「港湾築堤マット」や「根固め用袋材」には、これらのコンクリート殻は使用されていないか。また、「仮設岸壁」の最上部には、「砕石舗装」(C=40、t=30cm)を行うとされているが[6]、この「仮設岸壁」の「砕石舗装」に、コンクリート殻を再生路盤材として使用する予定はあるのか。 

 

4. その他

1) 大浦湾に張り巡らされたフロート、オイルフェンスの撤去について 

 防衛局は現在、大浦湾一面にフロートやオイルフェンスを張り巡らせている。しかし防衛局が県に提出した埋立承認願書の「設計概要説明書」では、「本埋立工事を施行するに当り、埋立工事期間中の海水の濁り拡散防止を目的とした汚濁防止膜を展張し、工事の施行区域を明示するための浮標灯を設置する。」と記載していただけである。

 防衛局はこれまで沖縄県に対し、ブイやフロートはボーリング調査のために設置したとし、「必要がなくなれば撤去する」と説明してきた。これに対して沖縄県は、「調査が終わった後も撤去しないまま本体工事に着手すれば、埋立承認時につけた留意事項[7]に抵触する。」、「ボーリング調査で設置されたブイやフロートは埋立本体工事に入る前に全て撤去する必要がある。」、「ブイやフロートを再設置しようとする場合は、公有水面埋立法に基づく『設計概要の変更申請』が必要」という見解を示している(2015.5.2 沖縄タイムス、2015.5.3 琉球新報)。

 防衛局は、県の指示に従い、ボーリング調査終了後、これらのフロートやオイルフェンスを全て撤去することを確認されたい。 

2) 工事の実施設計についての沖縄県との事前協議について 

① 防衛局は昨年11月以降、すでに「ケーソン新設工事」「二重締切護岸新設工事」等、8件(総契約額 422億円)の埋立本体工事の契約を締結している。海上ボーリング調査もまだ終了しておらず、実施設計もできていないのに業者との契約を急いだ理由は何故か。 

② これらの埋立本体工事の実施設計が完成するのは何時か。 

③沖縄県は、埋立承認の際、「『1 工事の施工について』工事の実施設計について事前に県との協議を行うこと。」という「留意事項」を付している。中谷防衛大臣は、この夏頃には埋立本体工事に着手するという見解を示したが(本年3月3日 衆議院予算委員会)、その後、菅官房長官は3月6日の記者会見で、埋立工事の着工前に県と事前協議する必要性を認め、「事業者として誠実に対応することは当然だ」と述べた。

 県はこの事前協議について、「量によってかなりの時間や労力がかかる」という見解を示しているが(2015.5.2 琉球新報)、防衛局としても「誠実に対応する」ことを確認されたい。 

3) 海上保安庁の過剰警備により抗議船転覆事件やケガ人が続出していることについて防衛局は事業者としての責任を認め、海上保安庁に過剰警備の中止を求めること

 本年4月28日、大浦湾で、海上保安庁の保安官たちによって市民の抗議船「ラブ子」が転覆させられるというとんでもない事件が発生した。4名が海に投げ出され、そのうち1名は救急車によって病院に搬送された。まかり間違えば人命にもかかわる大変な事件であった。(本年2月10日にも、「ラブ子」に定員を越える保安官たちが乗り込み、転覆寸前となって乗員らが海に投げ出されるという事件が起こったばかりである。)[8]

 これらの事件だけではない。この間、海上保安庁のゴムボート等が市民の抗議船に全速力で追突し、抗議船が大破するという事件も続いている。また、昨年8月以降、何名ものカヌー隊や抗議船のメンバーらが海上保安官の暴力行為によって負傷させられてきた[9]

 当初、海上保安庁の規制の理由は、「工事現場の安全確保」であった。防衛局はこれらの事件や負傷者が相次ぐ事態に対して、事業者としての責任がある。海上保安庁に対して、負傷者が相次ぐような過剰な警備を行わないよう申し入れるべきであると考えるが、いかがか。

                                    以 上



[1]  <参考>

 *2015.3.26 衆議院安全保障委員会での中島防衛省地方協力局長の答弁(赤嶺議員質問)

  ・フロートを伴うブイのCB(29ケ)   

    10トン 1ケ、 15トン 1ケ、 20トン 19ケ、 45トン  8ケ

  ・ブイの設置に係るCB(20ケ)

    2トン  12ケ、 4トン 3ケ、 10トン  2ケ 、  15トン 3ケ                                                 

[2] 「(防衛局は)『計画書の内容を確認し、安全確保の観点から必要な助言を行う。早急に県農林水産部と調整したい』と回答した。」(2015.5.1 沖縄タイムス)

[3] たとえば防衛局から沖縄県への回答文書や、本年2月24日の糸数慶子参議院議員の質問主意書に対する答弁書等。

[4] 「沖縄県土木建築部の伊禮年男統括監も『確かに今から着手するのは何のためかと思う』と首をかしげた。」(2015.5.2 沖縄タイムス) 

[5] 基地内には、これらの袋材に入った大量の石材が積まれていることは、本年1月17日の「ニュース23」、3月4日の琉球新報、3月13日の琉球放送テレビ等で報道された。 

[6] 「第2回環境監視等委員会資料」(2014.6.20、3頁)。長さ:300m、幅12mの「砕石舗装」(t=30cm)には、1,080㎥(大型ダンプで270台)もの砕石(C-40)が必要である。しかし、防衛局が県の照会に対して回答した文書には、「砕石舗装」の記載はなく、「樹脂製敷板」を置くとされているだけである。 

[7] 埋立承認の際、県は「工事の実施設計について事前に県と協議を行うこと」等の「留意事項」を付している。 

[8]  本年5月7日、「ラブ子」の船長は、海上保安官たちを艦船転覆罪(4月28日の事件)、同未遂罪(2月10日の事件)で告訴した。 

[9] うち4名が、暴行をふるった海上保安官らを特別公務員暴行陵虐罪で告訴している。

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