チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

県民会議、沖縄県への要請行動---「埋立承認が取り消されれば、その時点でボーリング調査の中止を求める」

2015年07月24日 | 沖縄日記・辺野古

 7月24日(金)、基地の県内移設に反対する県民会議が辺野古新基地建設事業について沖縄県への要請行動を行った。県民会議からは、各団体の代表者ら5名、他に8名の県会議員さんらが同席された。県からは、池田基地防災統括監をはじめ、土木建築部海岸防災課長、農林水産部水産課長、教育委員会文化財課長らが出席した。

 7月16日に第3者委員会が報告書を知事に提出したが、我々が事前に県に提出していた要請書にはその点に触れることはできていない。そのため、再度、改めて話し合いの場を持とうと確認したが、とりあえず今日は、要請書の各項目についてのやりとりに入る前に、この問題について口頭で質問した。(以下、赤字が県の回答)

 我々は、「知事は第3者委員会の報告を『数字に間違いがないか』『誤解はないか』等の精査すると言っている。しかし、それでは、第3者委員会の弁護士や学者らが6ケ月にわたってまとめた報告書の内容について書き直しを求めることもあるということか。一刻も早く、承認の取消しをするべきだ。」と追求した。

⇒「報告書は百数十頁に及ぶ膨大なものですし、また内容が専門的な部分あるいは関係条文やいろんな資料もあるので、そのへんをまず確認したい。どのぐらい時間がかかるかは各部と調整しているが、今のところはまだ分からない。報告書を補正するというような考えはない。」

 また、「知事が一定の方針を出した後、防衛局への聴聞の手続が必ず必要なのか?」と聞いたところ、県は次のように答えた。

⇒「一般的な手続でいうと聴聞をするということになっている。ただ、法律要件的には必ず聴聞しなければならないということではない。最終的な結論はまだ決まっていない。」

 

 以下、県民会議が提出した要請書とそれに対する県の回答(赤字部分)について説明する。

***********

沖縄県知事 翁長雄志 様                  2015年7月24日                        

              要 請 書                         

                                                           基地の県内移設に反対する県民会議 

                                                   

 翁長知事が、辺野古新基地建設を中止させるために積極的な取組みを続けておられていることに敬意を表します。

 まもなく仲井真前知事の埋立承認の経過に瑕疵がなかったかどうかを検証する第3者委員会の答申が出され、知事も県民の期待に応え、最終的な判断を出されることと思います。しかし、政府は、「知事が埋立承認を取消した場合も工事を進めていく考えに変わりはない。」(5.26 菅官房長官)と言明するなど、事業強行の姿勢を変えていません。知事の埋立承認取消しに対しても、政府は再び行政不服審査請求、執行停止の申立を行い、形式的に知事の承認取消を「無効」にして工事を続行することを狙っているようです。

 こうした政府の強行姿勢を許さないためには、埋立承認の取消しだけではなく、あらゆる知事権限を駆使して対応する必要があります。

 私たちは5月1日にも県に要請を行いましたが、その後明らかになったいくつかの事実を加え、再度、知事が取り組むべき喫緊の課題として下記のとおり要請します。

 

                 記

 

1.埋立本体部分の岩礁破砕許可の手続には瑕疵があり、許可をただちに取り消すべきである

 防衛局が岩礁破砕許可の範囲外に巨大なコンクリートブロックを多数、投下した問題については、県の再三の要請にもかかわらず、米軍は臨時制限区域内への立入調査をまだ認めていません。

 この間、知事は、再三にわたって埋立本体部分の岩礁破砕許可(2014年8月28日、以下「岩礁破砕許可」)を取り消すと繰り返してこられましたが、まだ取消しに踏み切っておられません。許可の範囲外に大量のコンクリートブロックが投下されている事実は、防衛局から提出された資料等でも明らかです。知事は、いつまでも立入調査に固執せず、早急にこの問題について最終的な判断を下すべきです。

 ただ、この問題については、「許可条件違反」という問題の前に、そもそも前知事による「岩礁破砕許可」の審査の過程には、次のような瑕疵があり、許可そのものを取り消す必要があります。

 ① 防衛局の申請書の「床掘・浚渫」の図面は、そのままでは長島の一部が消失してしまうような大雑把なものでした。また、埋立区域外でも「床掘・浚渫」が行われますが、この長島近くの床掘部分の面積は「岩礁破砕の面積」(172ha)には含まれていません。

 ② 今後も最大57トンのコンクリートブロック102ケをはじめ、総数286ケものコンクリートブロックが投下されることが明らかになりました。県・水産課はこの問題について、「昨年8月の岩礁破砕許可の中で汚濁防止膜を固定するコンクリートブロックの投下は認めた。ただ、15トンを超えるブロックの設置には新たな許可が必要かどうか協議する必要がある」とコメントしています(2015.7.2 琉球新報)。しかし、当時の「岩礁破砕許可」には、汚濁防止膜の「施工要領図」に簡単な概略図はありますが、コンクリートブロックの重量、個数、投下位置等はいっさい示されていません。また、これらのコンクリートブロック投下は、「岩礁破砕の行為」、「岩礁破砕行為の面積」等にもいっさい記されていません。また、係留シンカー(37.5トン、50ケ)についての記載もありません。 

 このように、当時の岩礁破砕許可申請の内容は全く杜撰なものでしたが、県は、それを十分にチェックすることなく許可してしまいました。許可の手続に瑕疵があったことは明らかであり、「岩礁破砕許可」そのものが取消されるべきです。

⇒「現状回復や許可の取消しも視野に入れているが、その行政判断を行うためには、県自らが調査して事実を確認する必要がある。引き続き、米軍への立入許可を求めていきたい。」

⇒「岩礁破砕許可の審査の過程に瑕疵があり、許可そのものを取消すべきというご指摘については、まだ検討できていない。大きな問題なので今すぐにお答えすることはできない。」

⇒「今後、埋立承認の取消ということになれば、埋立本体部分の岩礁破砕許可についても、取消の行政処分が必要となる。」

 

 2.「仮設岸壁」(仮設桟橋)造成について、防衛局に対して、「設計概要の変更申請」を行わずに工事着手することは絶対に認められないと通知すること

 防衛局が大浦湾に設置を予定している「仮設岸壁」は、長さ:約300m、幅:17~25m、埋立(石材)量:20,300㎥(大型ダンプで5000台以上)という巨大なものです。設置のためには、公有水面埋立法にもとづく「設計概要の変更申請」が必要ですが、防衛局は、「海上ボーリング調査のため」、「海上ボーリング調査が終われば撤去する。」とし、その手続を取ろうとしていません。

 しかし、海上ボーリング調査はまもなく終了することから、今から「仮設岸壁」造成に着手しても、それは海上ボーリング調査のためではないことは明らかです。防衛局も、「現時点では仮設桟橋を使用することなく海上ボーリング調査が実施できている。仮設桟橋の設置については、今後、海上ボーリング調査の実施状況などを確認していく中で検討していく。」と表明せざるを得なくなっています。

 5月1日、県の担当者は、「(立入調査等について)知事ら三役とも相談して検討します。」と表明されましたが、その後の取組の経過をお教えください。また、県として、防衛局に対して、この「仮設岸壁」の設置はもう行わないのかどうかを確認してください。 

⇒「防衛局は仮設桟橋は海上ボーリング調査のためと言っているので、設計概要の変更申請の手続を求めることはできない。ただ、今ごろ着工しても遅いという考えは県も持っており、再度、防衛局に申し入れて確認していきたい。」

 

3.前知事の昨年12月5日の設計概要変更(「工事用仮設道路の追加」)の承認を取り消すこと

 仲井真前知事は、任期切れ直前の昨年12月5日、防衛局から出されていた「工事用仮設道路の追加」の設計概要変更申請を承認しました。この工事用仮設道路のうち「仮設道路①」は、同時に出されていた「埋立土砂運搬方法の一部変更」(埋立土砂発生区域のB・Cブロックの土砂を、辺野古ダム湖面上部に設置したベルトコンベアでAブロックに運ぶのではなく、国道329号線を経由してAブロックにダンプトラックで運搬する方法に変更する)に伴い、工事用仮設道路を「国道329号のシュワブ基地第2ゲート前からAブロック内をまわって国道を高架道路で渡り、大浦湾の埋立区域に繋げるように設置する」というものです。この工事用仮設道路は、資機材の運搬のためだけではなく、埋立土砂の搬入にも使われるものです。

 ところが、防衛局は本年1月15日、この「埋立土砂運搬方法の一部変更」の申請を取り下げてしまいました。そのため、全ての土砂はベルトコンベアで運搬するという当初の計画に戻ることとなり、昨年12月5日の「工事用仮設道路の追加」の承認は、その前提が消滅し辻褄のあわないものとなってしまいました。

 この点について、5月1日、県の担当者は「確かに前提条件が消えたことは分かる。どういう形で取消ができるか検討していく。」と表明されました。防衛局は知事の埋立承認の取消し前に工事をできるだけ進めようとしており、すぐにでもこの「工事用仮設道路」の造成に着手する恐れがあります。そのため、埋立承認の取消しに先行してこの「工事用仮設道路の追加」をただちに取消すことが必要です。 

⇒「埋立承認が取消しとなれば、設計概要の変更の承認も取消となる。」

 

4.設計概要変更申請の手続なしに大浦湾に張り巡らされているフロート、オイルフェンスをただちに撤去させること

 現在、大浦湾には一面にフロートやオイルフェンス(以下、「フロート等」)が張り巡らされています。防衛局は「工事の施行区域を示すため」に設置したといいますが、実際には、施行区域とは全く関係のないところにもフロート等が張り巡らされています。中には、フロートが3~4重に張り巡らされている箇所もあります。

 防衛局が県に提出した埋立承認願書には、「工事の施行区域を明示するための浮標灯を設置する」と記載されているだけですから、これらのフロート等の設置には、県に対して「設計概要変更申請」の手続を行う必要があります。

 この点について、5月1日、私たちの要請に対して県の担当者は、「海底ボーリング調査のために設置されたフロートは、埋立本体工事に入る前に全て撤去する必要がある。」、「再度設置する場合は、設計概要の変更に該当し、知事の承認を受ける必要がある。」と認めました。知事も、その後の記者会見で、「ボーリング調査後はフロートの撤去を指示する。」、「再設置には、埋立承認の際の留意事項に基づき、県との実施設計協議が必要」と言明されています(5月18日、6月18日の記者会見)。

 ところが、井上防衛局長は、「フロートは撤去せず、本体工事でも使用する。」、「仮設の場合、県との実施設計協議の対象にはならないことを県と確認している。」と開き直っています(2015.6.14 沖縄タイムス)。県は、再度、防衛局に対して、ボーリング調査後はフロート等を撤去すること、再設置しようとする場合は「設計概要の変更申請」が必要と強く指導すべきです。 

⇒「ボーリング調査が終わった時点で撤去されなければ、埋立承認の際の留意事項に反することとなる。撤去しない場合は、しかるべき対策を講じる。」

 

5.「仮設工事」「準備工事」であっても、県との事前協議を行わせること

 まもなく予想される知事の埋立承認取消しに対して、政府は現在、「知事が埋立承認を取消しても工事を進めていく」と開き直っています。しかし、仲井真前知事が埋立を承認した際、「工事の実施設計について事前に県との協議を行うこと」等、4点の「留意事項」が付されており、防衛局が県との協議なしに本体工事に着手することは認められません。

 ところが、井上防衛局長は前述のように、「仮設の場合、県との実施設計協議の対象にはならない」と主張しています。終了後に撤去するものは「仮設」というのなら、「フロート」だけではなく、「工事用仮設道路」、「陸上作業ヤード」、「海上作業ヤード」、「汚濁防止膜」等は全て事前協議の対象から外されてしまいます。また、埋立本体工事の準備にかかわる工事が、「準備工事」と称して事前協議にかけずに強行される恐れもあります。

 海上ボーリング調査終了後、防衛局の工事強行が危惧される工事には次のようなものがあります。

1.国道329号線を跨ぐ「工事用仮設道路①」の高架橋設置

2.大浦湾沿岸での「工事用仮設道路②」の造成

3.シュワブ基地内での陸上作業ヤード造成(旧米軍兵舎解体跡地)

4.本体工事に備えた石材・砂や資機材等の搬入

5.本体工事の準備のための大型コンクリートブロック(「係留シンカー」、「アンカーブロック」)の大浦湾への投下 

 これらの工事を県との事前協議なしに先行させることは許されません。防衛局に対して、「仮設工事」、「準備工事」にかかわらず、全て県と事前協議を行うよう指示してください。 

⇒「工事用仮設道路」「汚濁防止膜」「海上ヤード」等、仮設工事であったとしても、事前協議の対象となる。」

 

 6.「碇石(いかりいし)」等の文化財調査について

 本年2月下旬、名護市教委がシュワブ基地辺野古付近の浅瀬で、琉球王国時代の中国船や琉球船のいかりに使われていた「碇石」に似た石を見つけました。その後、県教委は「碇石」と鑑定し、文化財に認定しました。

 シュワブ基地内の文化財については、名護市教委が7月2日から試掘調査を開始しています。来年2月末までと言われていますが、今回、「碇石」が発見されたことから、調査期間、調査範囲はさらに増えるでしょう。

 また、「碇石」が海底で見つかったことから、今後は県教委が海域部の調査に入ることになります。「碇石」は、当時の交易の状況を知る手掛かりとなる学術的にもきわめて貴重なものですから、県教委として広範囲の海域をきめ細かく調査されるよう要請します。

⇒「陸域、水域とも名護市教育委員会が調査をする。ただ、名護市から要請があれば県教委としても協力する。」 

 

<最後に>

 知事が仲井真前知事の埋立承認を取消された場合、前知事が埋立承認後に出した「設計概要変更申請」(工事用仮設道路の追加等)の承認、埋立本体部分の岩礁破砕許可等もその前提がなくなることから、同時に取消されるものと思います。

 しかし冒頭にも述べたように、政府はあらゆる手法で知事の埋立承認の取消しを形式的に「効力停止」にして、埋立事業を続行することを狙っています。その場合でも、仲井真前知事による「設計概要変更申請」(工事用仮設道路の追加等)の承認、埋立本体部分の岩礁破砕許可等は、前述のようにそれぞれの承認・許可の過程に瑕疵があったわけですから、知事は、埋立承認の取消しに連動した形ではなく、それぞれの理由でこれらの承認・許可を取消しておけば、防衛局は簡単には作業に入れません。

 また、海上ボーリング調査も本来は「公共用財産使用許可」の手続が必要でしたが、県は、「埋立承認後は不要」としてきました。したがって埋立承認の取消しに伴い、防衛局はその手続を終えるまではボーリング調査を続けることはできません。またボーリング調査の根拠がなくなったのですから、大浦湾に張り巡らされているフロート等を撤去させることも必要です。

⇒「ご指摘のように、埋立承認が取り消されれば、海上ボーリング調査については公共用財産使用許可の手続が必要となる。おっしゃったとおりに対応していきたい。」

 埋立承認の取消しがまず何よりも重要ですが、知事はそれと同時に、あらゆる知事権限を行使して政府の事業強行を許さない取組みを進めていただくよう要請します。

                                    (以上) 

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 22日の辺野古・大浦湾---久し... | トップ | <検証>防衛局、埋立本体工... »
最新の画像もっと見る

沖縄日記・辺野古」カテゴリの最新記事